真夜中のピアニストのレビュー・感想・評価
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48時間居座っても追い出されないのか?
口の悪さは父親ゆずりで、ピアノの才能は母親ゆずりといった28歳のトム(ロマン・デュリス)は不動産ブローカーという職業。買い取った建物に居座るホームレスに対してネズミや水で追い出し工作をする毎日なのです。偶然再会した彼の亡き母親のマネージャーでもあったピアノの恩師から「オーディションを受けてみないか?」と言われ、母親から受け継いだ遺伝子が10年のブランクを経て甦る。猛特訓してピアニストを目指そうとするが、彼のレッスンを受け持った教師はフランス語を全く喋れない中国人留学生だった。
映像はフィルムノワールによって犯罪と紙一重の商売と音楽の世界の区別をわかりやすく表現していて、ハンディカメラでありながらほとんどぶれない安定感によって安心して観ることができるのです。父親の再婚相手だとか、同僚の浮気のアリバイ作りとか、不安定なはずなのに落ち着いてる風に思えるくらいです。そうした日常とその日常から逃避したくなる心の葛藤。父と母双方の遺伝子が彼の運命をもてあそんでいるような面白さがありました。
留学生ピアノ教師のレッスンも順調に進みますが、他で女性と関係を持つトムなので、ここでロマンスが生まれることもありません。しかし、事件は終盤になって一気に押し寄せてきて、彼の運命も変わってしまうのですが、その2年後のストーリーが面白かった。
父を死に追いやったロシア人を殺すチャンスがあったが殺さなかったというのは両親の遺伝子には関係なく、女流ピアニストの教えに他ならないような気がします。また、コンサート・ピアニストにはならずにマネージャーとなったことで、実の父があのマネージャーだったのではないかと妄想も膨らんでしまいました・・・
【2006年3月映画館にて】
おフランス映画。
フランス映画に教師として場違いな中国人が出てくるのが良かった。 言葉が通じない、教師の年齢が若い、そんな中での教師と主人公のやり取りは観ていて面白かった。 ラストは正直…ですが、それまでの過程は十分楽しめる映画でした。
「さすがフランス映画」って終わり方です
ちょっとした偶然がその人の運命を揺さぶり、動かしていく。内なる衝動を抑えきれない主人公はそのまま突っ走るが、当然のように現実はそれほど甘くはない。ここまではいたってオーソドックスな展開。特に新鮮でもない。 それでもあのエンディングはちょっと意外。でも、よくよく考えるとフランス的で思わずにやりとしてしまいました。 主演のロマン・デュリス、若いのに地に足のついたかっこよさでいいですね。ハリウッドや日本のどこかふわついた役者よりも全然貫禄がありました。そして中国人ピアニストもよかったです。フランス映画の中では中国の人もとてもオリエンタルに写るのだから不思議なものです。 特段印象に残る映画ではなかったが、それでもこんな地に足のついた映画を観て育ちたいものです。
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