「あれ?」リンダ リンダ リンダ なさんの映画レビュー(感想・評価)
あれ?
レビューはどれも高評価ばかり。リマスター版。期待して行ったにも関わらず、個人的には最後の演奏シーンはアツかったものの、全体的には「時間が経つのが遅い」「何なら時間を返してほしい」と感じた作品だった。
恐らくこの映画でどう感動したかは高校時代の過ごし方にもよるのだろう。少なくとも、高校3年間を部活と勉強に捧げた私には刺さらなかった。
バンドするならもう少し全力でしろよ、寝坊したなら忘れ物するなよ、今告白する場合かよ、そして結局何も言えないのかよ、ひたすらツッコミたくて仕方なかった。
そして、恵の夢のシーンやソンが一人でメンバー紹介してる場面など、ストーリーには不要な無駄な描写が多い!果たして必要あるのか?
やたら綺麗にまとめてあるのも気になった。遅刻したバンドがブルーハーツ演奏するだけでそんなに観客はアツくなるのか?そもそもその前の元メンバーたちの歌や演奏でなぜそんなに人が集まるのか?
私が無駄なシーンと定義したところが、高校生の彼女たちには、そしてそれを振り返る人には、キラキラしたものに感じられるのだろうか…。私が無駄をひたすらに拒み、生産性をひたすらに求める大人になってしまっただけなのだろうか…。もしそうだとしたら、少し悲しい。
後記
この映画、私が手に入れられなかった高校時代を描いてるからこそ腹が立ったのかもしれないな。大していい大学に行けなかったのに、勉強だけは死ぬほどしてた。生理が止まるまで部活をしていたのに上に行けなかった。私は死に物狂いで努力したのに結局実ってない。だからこそ、ああいうダラダラしてもなお結局成功しちゃった😉みたいな展開に苛立つのかもしれないな。いつまでも過去に縋ってる自分、情けない…。
この映画自体、「如何に無駄を愛するか」「人生における無駄がどれほど尊いか」を描いた映画だと思ってます。後日談でどうなるかは不明ですが、おそらく彼女たちにとって「練習を経てバンド演奏をしてステージに立った」というこの時間は将来の何の役にも立ちません。しかし少なくともその瞬間、もしくはこれから先彼女たちが大人になった後にはきっと綺麗で儚い思い出になっているはずです。そういう「何の役にも立たないけど輝いている時間」が、人生においては尊いものなんだということをこの作品は言いたいのではないでしょうか。
もちろん私が感じた感想ですし観る人によって捉え方は全然違うと思います。なさんが学生時代に全てを投げ打って取り組んだ物事は、「無駄」などではなくほぼ全てが今の自分に自然と活かされているからこそ、無駄な時間を愛するこの映画に辟易とされてしまうのかもしれません。その考えは決して否定できるものではありませんし、その感想もまたこの作品の本質だと思います。
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