親切なクムジャさんのレビュー・感想・評価
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高校生ぶりに視聴
当時この映画を観た際に、多大な衝撃を受けた。10年ほど前は割と女性の性加害を映画の中で出すシーンはなかったので、高校生の私から本当にショックだった思い出がある。
めちゃくちゃ映像が変わる、とりあえず。久々に見てこんなおしゃれ映画な感じだったかしら?なんて思いながら、見させてもらいましたが、内容は少し物足りなさを感じてしまう側面もある。
主役の女優の演技が光った映画といっても過言ではない。パクチャヌク初期映画の独特な忌々しさはなかなか今では感じられないので、それでしか摂取できない栄養分みたいなものが好きな人にはおすすめ。
私は個人的にそこが好きな方なので、楽しく視聴させてもらいましたが、人をめちゃくちゃ選ぶし良作?と聞かれる微妙なところかもしれないとも言える。
これをゼロ年代に出していたことに意味があるのかもしれないと思った。
伝道師の吉幾三はどうなったんだ?!そして、ビー玉もいいけど、ガッちゃんは?!
13年もの間、無実の罪で服役したイ・クムジャ。刑務所内では顔が光っていたり、北の囚人に優しくしたり、魔女に復讐したり、腎臓移植したり・・・これはもう「親切」という言葉で表現できるものではない!わけがわからないほどの慈愛の精神に満ちた聖女のような女性だ。ということで、囚人仲間たちからも尊敬され、出所後に復讐しやすくなったクムジャさん。仲間は泊めてくれたり、拳銃を作ってくれたり、皆彼女を応援してくれる。
パク・チャヌク監督の復讐三部作最終章であるこの作品。イ・ヨンエが可憐で内に秘めた復讐心を静かに燃えさせる女性を演じるために、『復讐者に憐れみを』『オールドボーイ』とはかなり印象が違っていました。特に刑務所内の落ちつきのある色彩と、出所後泊まることになる部屋の赤と黒の不安定な色彩の対比。そして、女性らしくケーキ屋で働くという明るさと復讐シーンの暗さの対比が面白いのです。それでも、主人公の痛いエピソード、痛い映像によって重い空気が漂ってきました。さすがパク・チャヌク。その辺りは三部作として一貫性を保ってます。
最も凄いのは終盤の復讐シーン。こんなパターンは見たことがない。全く想像できませんでしたよ。あのシチュエーションで人間の心理がどう動くものか、殺したって死んだ人間が戻ってくるわけではないといった葛藤もあり、とんでもないことに巻きこまれた人間でも特殊な状況に置かれると・・・しかし、ちょっと笑えるところで救われる。
イ・ヨンエの衣装の変化、特にラストの黒レザーで顔を半分隠す彼女は魅力爆発。チェ・ミンシクは脇ながらも怪演。ソン・ガンホやシン・ハギュンの友情出演もある(見逃してる)。今後人気が出そうなキム・シフや、ちょっと可哀想なイ・スンシン。最強の怪演だったのは魔女役のコ・スヒだ!(と、これだけカタカナで書くとわけわかりませんね)
【2005年11月映画館にて】
復讐の果てに得たものは?
パクチャヌク監督作品はオールドボーイが初。正直あまりあわない作風だなあと当時感じた(ファンのかたはごめんなさい)
パッケージの女優さんきれいやな〜と前から気になっていた。たまたまWOWOWで観られることになり鑑賞。
雰囲気はやはり独特。カラーが強い。
あまり好きな世界観ではないのだけれど、クムジャさんが最終的にどのような復讐をするのか最後まで頑張って見守ることにした。
強い復讐心を持ち13年計画をあたためてきたクムジャさんの執念は理解したけれど、被害者遺族たちの心理を利用して復讐を果たした時点で共感できなかった。被害者遺族にも手を下す権利はあるからというクムジャさんの配慮もあったのかもしれないが。
最後のシーン、復讐の果てに見たものは…あまりにも救われない現実。子どもが母の背中で3回数えるシーンが印象的やった。
天使
OPから、もう傑作の予感もりもり。
白く滑らかな画像を黒い線が這い手に腕に伝いながら赤い花を咲かせつつ瞳のアイシャドウへ、そこから涙。
出所するクムジャさんは真冬の中、逮捕されたときのままの薄手のワンピースで黒く強い瞳でカツカツ歩く。
宣教師の白い人生をと差し出された豆腐を払いのけ落ちるのはシンバルのバシャーンという音。
この作品はそんな演出や幻想などがところどころに散りばめられているのでドキドキする。
刑務所の中で誰にでも親切だったクムジャさん。
言葉で、行動で、命をかけ、殺人を犯し、人々に親切をし復讐の為の駒を作り上げる。
濡れ衣を被せたパクに復讐するために様々な物を用意し、彼の同僚として人を送り込み、美しい妻を宛てがう。
全ての人々がクムジャさんの親切と優しさ、暖かさにまるで宗教の様に集い命令を遂行する。
赤いアイシャドウ、赤いヒールを履いたクムジャさんは親切ではなく多くの駒を持った復讐者となる。
パクとの子供の行方を追いオーストラリアまで行くも愛されて育ったジェーンは韓国に行きたいと着いて来てしまう。
パクを拉致し、これから拷問かな?と思っていたら足を撃ち抜くだけだったので少し物足りなさを感じたが、実はパクを捕まえなかった故に他にも子供も攫われていた事が判明。
計4件。
その家族を招集し、子供達の悲惨なビデオを観せる。
そして選択を委ねる。復讐するか、警察に渡すか。
この時「ヨット」のワードでゾワリと涙が出た。
少しダルいかと思ったけど、常識的に考えれば人を傷つける、殺すなど抵抗があるに決まってる。私だって嫌だよ。誰もが怯えながら武器を取る。
最後、ビデオを観て倒れたおばあさん。誰もが血飛沫を浴びぬ為ビニールを被っていたが1人気丈にも中に入り、首に一本のハサミ。それには孫の名前。
皆で後片付けをし、皆でケーキを食べる。
黒いケーキには赤い蝋燭。
犯人を殺しても子供は帰ってこない。その一連の行動はとても虚しく写った。そこに天使が通る。
赤いアイシャドウを拭き取り歩くクムジャさん。
ジェーンに白いケーキを渡し、白く生きてと。笑顔のジェーンはクリームを笑顔で舐めそのクリームをクムジャさんへ。
口を開けないクムジャさん。白く生きていけないのだ。
どんな思いでケーキに顔を埋めたのか。
白く生きたい思いなのか、悲しみなのか。
ジェーンのくだりとか全体的に少し長いかなとは感じたけどクムジャさんの人生を語るにはジェーンは欠かせない。
パクをスピーカーにしてジェーンに思いを伝え、3回以上謝ると言えたのが良かった。
真っ赤なアイシャドウとシスターフッド
パク・チャヌクの復讐三部作のファンなので、久しぶりに再鑑賞しました。初めて鑑賞した時に思わなかったことなのに今回再鑑賞して思ったことは、クムジャさんは女性の怒りの象徴であり、真犯人は韓国家父長制度(男性優位社会)の象徴なのではないかということでした。本作はシスターフッドを描いたフェミニズム作品なのではないかと。
クムジャさんは刑務所の中でシスターフッドの中心的な人物でした。かつての聖母は、出所後に抵抗の色である真っ赤なアイシャドウを塗り、拳銃を手に入れて復讐を誓います。そして児童達の父母にも壮絶な復讐の権利を与え、実行するという実に勇ましい行動を取ります。我が子を殺害された父母をみても、母の方が俄然肝が据わっていましたよね。
そもそも真犯人の思考そのものが家父長的で、家父長が行き過ぎると弱い者への殺人も厭わなくなるというのを示唆している様に感じました。家父長制の本質にあるのは暴力なんですよね。
暴力に対してはきっちりと暴力で裁く。復讐者の虚しさは復讐者が感じるものであり、第三者が指摘するものではない。だからラストシーンでは、観客の感じ方も様々になっていると思います。
本作が上映された約20年前は世界的に現在と比較して女性差別が強く、本作の様なシスターフッド的な作品は欧州や欧米でしか発表されてなかったか、ほんの少ししかなかったと記憶しています。そんな時代の中、シスターフッドが韓国作品でしかもバイオレンスというのが驚きでした。前衛的な本作は今の韓国エンタメの盛り上がりの予兆を感じさせくれます。やはり、時を経て再鑑賞した作品は、まさかな発見がありますね。
復讐を果たした先に…
心の救済は無かった。死んだ人は帰ってこないし、後悔は消えない。これが言いたかったことなのだろうか。イ・ヨンエの清廉さとグロい復讐のギャップが本作の見どころ。冒頭は時系列が飛ぶシーンや幻想的なシーンもあり、このあたりが鬼才パク・チャヌクの手法なのだろうが、好き嫌い別れると思うし、個人的には分かりにくく、好みではなかった。
面白くなるまでに時間がかかるスロースタートな映画
序盤は時系列がコロコロ変わり、登場人物も多く相関図が分かりづらくて混乱した。さらにテンポも悪く中盤までは退屈。全体像が見えてきたのが終盤で面白くなるまでに時間がかかるスロースタートな映画だった。
演出面は音楽と人物を舐め回すようなカットが多くてくどい。オシャレな感じを出してる感が苦手かも。単純に韓国映画特有のゴリゴリの復讐系を期待してたから自分には合わないなー。
最後の処刑シーン、被害者たちでゾロゾロ殺しに行くのはシュールで面白い。警官がナイフの使い方教えたり、順番待ち中に身代金の話をしたりリアルに感じた。緊迫感あるシーンなのにコントっぽく見える。シリアスとコメディの絶妙なライン。
「親切」の衣を着せた強(したた)かさ。
服役中も、他人(他の服役囚)に親切にできるほどの余裕を持つことができたということは、それだけ、クムジャが心の奥底に秘めた英会話講師・ペクへの復讐の念が固かったからということなのでしょう。
出所後の他の服役囚たちの協力が得られるようにとの計算も、彼女にはあったのかも知れませんけれども。
それでも、彼女の親切が、結果として他の服役囚たちの協力を呼び起こしていったと見るのが妥当なように思われます。
評論子としては。
結果として、被害児童の親たちにも、復讐のチャンスを作ってあげるほどの、彼女の「親切」も、その決意の固さの成せる業(わざ)とでもいうべきでしょう。
彼女の「決心の硬さ」から来る彼女の所為の「恐ろしさ」のほか、少しく「捻(ひね)りの利いたサスペンス」としては、そこそこの良作の範囲には置くことのできた一本だったと思いました。
評論子は。
(追記)
服役中から復讐の決意を固めてきたクムジャでしたけれども。
しかし、復讐からは本当の心の(魂の?)救済は得られなかったというのは、彼女にしてみれば割り切れない矛盾だったことだとは思いますけれども。
復讐からは何も生まれないという監督からのメッセージが、そこに含意されていたとみるのは、評論子の穿(うが)ち過ぎというものでしょうか。
(追記)
韓国では、子供の行方不明(誘拐)少なくないらしいですけれども。
「かつて」か「現在でも」かは、決して韓国の国内事情に明るくはない評論子には分かりかねますけれども。
しかし、身代金目的にしろ、労働力としてにしろ、そのことをテーマとした作品は、数多く製作されて公開されているとは承知しています。
評論子がいま住んでいる街でも女子高校生の行方不明事件が発生しており、事件の発生は2001年なのですけれど、彼女が最後に目撃された大型ショッピングセンター近くのバス停には、彼女の(当時の)写真入りで、情報提供を呼びかける立て看板が設置されていたりもしています。
それでも、比較的には治安のよい国に生まれ育って、いまも生活していられることの僥倖を、評論子は思わずにはいられません。
(追記)
極限状態にある人たちの精神状態を活写することに長けている監督さんなのでしょうか。
本作のパク・チャヌク監督は。
そういう中でも、ある種のユーモアを交えながら。
そんな作風の監督さんとお見受けしました。
評論子には。
本作は、評論子が観てきた作品でいえば『別れる決心』『JSA』などを手懸けた同監督の手になる、『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』と並ぶ、いわゆる「復讐三部作」の一本となる作品だそうです。
そういう雰囲気を感じさせないタイトルとは裏腹に、本当に怖い、怖い一本でした。
これからご覧になる方は、タイトルのニュアンスには騙されることなく、相応の覚悟を決めて鑑賞することを、いちおうお勧めしておきます。
パク・チャヌクの到達点
刑期を終えて出所したクムジャに、出迎えた司祭が盆に載せた豆腐を差し出す。真っ白になって出直せという、出所者へのはなむけだ。しかしクムジャはそれを撥ね退ける。これから始まる彼女の壮絶な戦いへの決意を新たにするように。
「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」に続くパク・チャヌク復讐3部作の最終章だ。その卓越した映像表現と衝撃的な復讐劇の展開は前2作に勝るとも劣らない。復讐する者の怨念と哀しみ、そしてそれを見つめる作者の慈愛に満ちた眼差しは、むしろ、本作においてより深いものになったと言ってよい。
復讐にこだわりながらもこの作者が描くものは、それによって得ることが出来る壮快感や溜飲が下がる思いといったものではなく、復讐心にとらわれた人間の心の暗闇、苦しみや悲しみである。パク・チャヌクの描く主人公たちは復讐に突き進むことに躊躇しない。そのつのりつのった怨念が噴出する時、常人には思いもよらない残忍な方法で、その思いを晴らすのである。だがそのあとに来るものは何か。本作が前2作を凌ぐ秀作だと確信するのは実はここにある。
復讐を遂げはしたもののクムジャの心は晴れない。彼女はその復讐に巻き込んだ人々に自分の作ったケーキをとり分ける。その黒いケーキが彼女の心の暗闇を象徴している。それを他者に分け与えることで自身の暗闇を少しでも晴らそうとするかのようだ。そしてクムジャは娘のために真っ白なケーキを作る。その真っ白なクリームを娘は指で掬いその指を舐め、今度は母のためにクリームを指で掬う。しかしクムジャはそれを舐めることが出来ない。そんな母を許すように、娘は母の代わりにそれを舐める。たまらずクムジャは真っ白なケーキに顔を埋めてしまうのだ。
真っ白になれなかった自分を真っ白なケーキに埋め尽くしてしまおうとするその母を、娘が優しく抱きしめる。そんなふたりの上に真っ白な雪が降りそそぐ。荒んだ心も何もかも、真っ白になれと祈るように雪がふたりを包んでゆく。
復讐にこだわり続けたパク・チャヌクが第三作にしてようやく辿り着いた心の救済。映画史上稀に見る美しいラストシーンである。
綺麗なお姉さんと汚いおじさん
劇場公開時鑑賞。『オールドボーイ』に衝撃を受けたパク・チャヌク監督の新作だったのと、清純派まっしぐらという印象のイ・ヨンエ(チャングムはチラチラ観てた)が復讐する人物ということだったのだが。
頭をカチ割られた後では、感覚が麻痺したせいか、生ぬるく感じた。ガンホさんが出番は少ないながらも印象に残る。
【美しきイ・ヨンエが演じる”クムジャさん”の”チャングム”とのギャップが凄き作品。イ・ヨンエさんと言えば、「チャングム」じゃなかったのかい!。美しき人の壮絶な復讐物語である。】
■ある男に娘を人質に取られたイ・クムジャ(イ・ヨンエ)は、誘拐殺人犯の身代わりとして13年を刑務所で過ごす。
優しく美しい彼女は「親切なクムジャさん」と慕われていたが、全ては復讐のためだった。
やがて刑期を終えたクムジャは、仲間の協力を得て男、ペク先生(チェ・ミンシク)を拉致する。
◆感想
・いつも通り、パク・チャヌク監督作品は、とっつきにくい。
― 分かり易いのは初期の「JSA」だろう。-
・だが、パク・チャヌク監督作品は近作の「別れる決心」を含め、キチンと見ないと分かりにくいが、今作は可なり分かり易い。
・イ・ヨンエ演じるクムジャさんは、誘拐した子殺しとして長年獄に繋がれるのであるが、真犯人は別にいた。
ー この辺りの描き方が粗いので、評価は低いのであろう。-
<イ・ヨンエさんと言えば、小学生時代に観ていた「チャングムの誓い」である。子供心ながらに、こんなに美しい人がいるんだ!と思った事を思いだす。
だが、今作でのイ・ヨンエさんは非情なる人である。吃驚である。
けれど、彼女の復讐する姿は、美しく、且つ非情なるのである。>
パクチャヌク、えげつない。
異次元だよ、この人。
悲劇の極冠だと思う
あのラストシーン、誰が思い付くよ。
周りを真っ白にしていく中で、
クムジャさんだけが白くなれず、
むしろ漆黒に染まってしまって、
もう手の打ちようがないのよな…。
けれども周りはそんな彼女を天使のように
見ているという。
こんな皮肉あるんかいな。
あと、心臓が悪いお母さん。
なに彼女の顔。もう最高だったんですが。
笑ってしまうくらい、怖かったよ。
韓国映画って音楽もいいのよなあ…。
あの曲が流れるだけで、作品のクオリティを上げるというか、高貴なものとさえ思えてくるのよ。
あと演出というのか、カメラ割というのか。
すべてに凝っていて、ワンシーンワンシーンが
贅沢なんですよ。
もうパクチャヌクだいすき。
また絶対映画作ってほしい。
なんだろう。
魅力的な人物作りがうまいのか、
それとも飽きさせない展開がうまいのか。
わからんな、全てが魅力だな。
余計に語らないのも、また良いのよ。
いや、にしても…
クムジャさんの魂は救われなかったか…。
切ない復讐劇
主人公の考えた計画は面白かった
設定は良いですし、お話としても悪くないのですが、もうひとつ強烈な印...
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