勝利への脱出のレビュー・感想・評価
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オーバーヘッドキック
一言「見てなかったけど、あれね!」。
ペレが出演してて、サッカー監修もしている。
聞いたことはあった。めちゃくちゃ美味しい役でした。
試合のシーンなんて、「サッカー翼」状態(多分)。
マイケル・ケイン(大大好き!)が、元サッカー選手で捕虜。
ドイツ軍は「プロバガンダ(宣伝)的に」ドイツ軍VS連合軍捕虜の試合が組まれて。
その試合の最中に、脱走しようと計画。
これだけの内容。わかりやすいし、なんとなく結末は予測できる。
なのにちょっと、ほろっと。
スポーツのフィールドでは、その国籍や政治情勢は、関係ない。
そこにあるのは、スポーツマンシップのみ。
(スタローンのキーパー役、熱い)。
最後「prayers」と、連合チームの選手紹介が出てきて。
あ、ペレ以外にもたくさんいろんな国の名選手がいた様子。
道理でうまいはずだわ。
なので、アラカン世代から上の方なら、もっと見応えあるかも。
面白かったです。見逃さずによかった〜。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「これから我々が見るのは、プロバガンダではなく、歴史的試合」
スポーツの熱さを感じる
なにげに傑作
とても映画的な枷
北京オリンピック(2022)が面白い。いい意味でもわるい意味でも劇的で胸があつくなる。
世の中は出来レースだと思う。ことがある。
政治や経済。スポーツと文化。高野連。WHOの見解。ノーベル賞、映画賞、文学賞。地球温暖化。むろんオリンピックも。北京ではそれを裏づけるような策略や恣意がはっきりと見える。
その諦観が深化していくと、ひとによっては、どりょくが無意味におもえてしまったり、頑張るのはばからしいと投げやりに生きるのが常態化することがある。とりわけ新型コロナウィルス禍下にあって、せけんには自棄的な気分/気配がただよっている。
ところが。策略と恣意によって圧制されているはずなのに、スノボのハーフパイプの彼は、前人未踏の大技をやってのけ金をとった。体制側のたくらみをくつがえしてしまった。そんな不屈の精神を「世の中は出来レースだ」と諦観をきめこんでいる厭世論者は反証できるだろうか。
いうまでもないが、自分で自分の身をそこなうと、それまでのことになる。ひとはたんなる生き物にすぎない。だめにするならだめにするなりのことが起きる。
じぶんはどちらかといえば偏屈なので岡村孝子の歌詞みたいな希望に満ちた話はきらいだし、そもそもそんな玉じゃないが、基本てきに、やらなければ、はじまらない。戦ってみなければ何者であるかを証明できない。
『1942年8月に第二次世界大戦下のウクライナで行われた、ディナモ・キエフの選手を中心に編成された「FCスタルト」対ドイツ空軍の兵士により編成された「フラッケルフ」との親善試合(死の試合 )をモデルとしている。史実では2試合が行われ5-1、5-3とスタルトの勝利に終わるが、面目を潰されたドイツ軍は報復としてスタルトの選手達をバビ・ヤールなどの強制収容所(スィレーツィ強制収容所)へ送り、多くの選手達が処刑されている。』
(ウィキペディア「勝利への脱出」より)
負けなきゃころされる。だけどやるならプライドがある。その劇的なダイナミズムをすくいとっている。映画は史実から取材しているものの、かんぜんにエンタメに寄せている。ジョンヒューストンの大胆な、ありえない話になっている。
(ヒューストンは)雄々しさに特長がある。骨太、勇壮、毅然。映画版ヘミングウェイ。それでいて俗っぽかった。ぜったいに大衆的であろうとしていた。文芸域に入らないようにバランスしていた。その頂点が王になろうとした男や本作だったと思う。
いま見ると大味だが、大昔見たとき(ものすごく)胸が熱くなったのをおぼえている。映画に対する評がその当時の興奮と渾然一体化している。
マイケルケインとスタローンという呉越も楽しかった。記憶ベースだが、むかし勝利への脱出は語り草の名画だった。学校で「(昨日の洋画劇場の)勝利への脱出見た?」「ああ見た!見た!」という会話を交わした記憶がある。
オリンピックが(禍下で弱った民衆に)夢と希望をあたえる──てな感じの調和論調がだいきらい。だけどドラマはある。それは映画的だ──という話。
芸は身を助く
前半、ゆるゆるの捕虜生活に驚いた。あんな軽々に脱走なんて考えられる...
私これ好き
●脱出だ!!
うまくはないのに、なんだか楽しい
いや、その、サッカーシーンとか、あんまり迫力ないんですよね。ペレのところとかは決まったねぇという感じではあるんですけど、スタローンのところとか、すごいあっさりしているように感じちゃいましたよ。省エネ撮影かっ!ってぐらい、サクッと撮ってる感じなんですよね。ジワジワ盛り上げる気がまったくなしというね。
しかし何だか面白いのがジョン・ヒューストンらしいなぁって思いました。だって第二次世界大戦におけるドイツ国内の捕虜収容所が舞台で、脱出モノですよ。それだけで楽しそうじゃないですか。しかもサッカーの試合がそこに絡んできて、パリのレジスタンスも登場! まぁ、地下組織なわけですから、地下に潜るわけですよ。そしてサッカースタジアムでのパリの大観衆の捕虜側への声援まである、と。どの要素を取ってみても、それだけで楽しそうですもんね。
言ってみれば、ジョン・ヒューストンって、すごい素直なんだろうなという気がしましたね。素直に映画を撮ってる気がします。まぁ、その素直さ、アフリカの大地で解放されちゃったりするわけですけどもね・・・
登場人物たちですら想像できなかった結末
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 80
ビジュアル: 70
音楽: 70
ドイツびいきの不公平な審判が配置されていて、ペレ相手にサッカーではなくボクシングの試合をするドイツ選手がいて、それなのに味方は一人抜けて10人しかいない。そんな状況でも点を取り返すとかは絶対有り得ないとは思わないけれど、ちょっと信じ難いなあとも思う。ハーフタイムで意地と誇りをかけて試合の継続をすることになったとき、試合の経過が気になると同時に選手たちの脱出が出来なくなってどうなるのだろうと考えた。
しかし現実性はとにかくとして試合は劇的な動きを見せるし、しかも選手たちのその後の運命に関して最後には誰も計画していないし想像もしていない状況が流れとして起こるし、こういうことになるとは意表を突かれた。ドイツの支配に苦しむ観衆がフランス国家を歌い緊張と熱気が盛り上がった後で一気に流れ込む情熱が、とても爽快な結末を見せてくれた。
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