花様年華のレビュー・感想・評価
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リマスター上映?のようですが、今見てもよい映画。
今年250本目(合計526本目/今月(2022年8月度)26本目)。
第二次世界大戦(狭い意味での日中戦争)が終わって、少し経った香港をテーマにする映画。テーマの大半はやはり「ラブストーリー」で、男女ともに「不純な愛」をバックに持つ映画です。
まぁ、確かにリバイバル上映といっても原作「それ自体」はかなり古いようで、確かに他の方が言われるようにいろいろ突っ込みどころ(毎日チャイナドレスを着る人がいるのかとか、(映画って、放映時間は決まっていますが)なかなか終わらないラストあたりの恋愛パートなど)気になる点もないわけではないですが、この方(監督)の一連の作品群の最初のほうにあたる作品で、それら含めて「のちの作品(まだ放映されていない。ミニシアターなので2週間に分割されている)ブラッシュアップされているのかな、というところの期待も込めて減点なしにしています。
なお、アマゾンやネットフリックスでは無料で見られるようで、その関係であれもこれも書くとネタバレになりかねないので、ネタバレになりうるような細かい評価は避けます。
作品としてはここにもあるように「今週の公開枠」ではあるものの、リマスター版という扱いでの「公開枠」で、だから特殊な扱い(すでに2年越しで感想を書かれている方がいる通り)になりますので、見る見ないはここの特集などもなく結構迷いは生じがちだし、そもそも論で(4Kリマスター版として。とはいえ、ミニシアター中心なので、2K扱いでの放映でした)放映されている映画館が少ないという部分はあるにせよ、これから見る方へのスポイルが生じるので、あれこれ書かないことにします。
あえていえば、多少なりとも戦後の香港の文化や、「演劇そのものの文化」(シェークスピアやモリエール、などは普通に出ます)知っていると有利かな、というところです。
そんなことある?!
お話としては、諸々突っ込みたくなる設定。
こんなに毎日チャイナドレス着てる人いる?!とか。
旦那さんと奥さんが一切映らなかったり。
毎回廊下のカットがインサートあったり。
映画としてとても面白い。
計算されつくれた演出
ウォン・カーウァイらしい色遣いとカット割り、進行。
そしてなんとも切ない。
マギー・チャンがなんとも美しいこと……。
この距離感だったからこそ、引きずったんだろうな。
人生にこんな思い出がひとつあってもいいかもしれない。
これはお気に入り
この監督さんちょっと苦手なんだけど、これは抒情的で官能的で文学的で芸術的で優雅で、ほんとに美しい。
ただし、いつでも観れるという作品ではありません。時間の流れがちがうから。
ゆったり時間が取れて少し感傷的な時に見るとほんとグッとくる。
元気はつらつな時にはたぶん最後まで観れない(笑)
香港加油
Netflixで。
ウォンカーウェイはブームの頃に「欲望の翼」「恋する惑星」くらい観たはず。でも当時の私にはむずかしかった。。
からの突然のトニー・レオンブームで重い腰を上げたわけです。
過去の回想であることを想起させる枠組みなので、なんとも言えないメランコリー感、つまりことが起きる前から充満している巨大な喪失の予感。
そのため序盤から2人の一挙手一投足に緊張感が漲ります。
子犬のような目🐶のトニー・レオンはもちろん、とにかくマギー・チャンの演技の細やかさがすごいと思いました。ほとんどセリフがなくても感情の揺れを雄弁に伝えてくる。
クールな低音ボイスに色気ダダ漏れの眼差し、そして完璧なスタイリング。。
あんな人が隣で寂しそうにしてたらそりゃ誰でもちょっとおかしくなっても仕方ない。
ウォン・カーウァイといえば映像のポップさが印象にあったため今回、脚本がうまいんだなーと感心してしまいました。
シチュエーションの作り方とか活かし方(たとえば大家さんの麻雀のくだりとか、互いの配偶者が登場しない画面、電話に出ないマギー→不在?→タイプライターの音→在室、みたいな最小限の表現での伝え方が)がナイス。
身勝手なパートナーや窮屈な生活にフラストレーションを抱きながら、かといって開き直り、はっちゃけることもできない奥手な2人は結局のところ似たもの同士。
まるで中学生同士みたいに不器用でもどかしく、でもたぶんきっとそういう相手だから惚れちゃったんだろうな。
かつての恋愛の終焉とかすかな始まり、もし別のタイミングで出会ってたら、もっと先の未来から振り返って見たら、などさまざまな可能性がパラレルに重なるところがおそらくこの作品の狙い。
「花様年華」とはいい時代、幸福だった過去を回想している歌謡曲から取られたタイトル。
それは返還によって変わってしまう香港そのものの暗示でもあるでしょう。「みんな出て行く」「今後が不安」なんてセリフもあったことだし。。
残念ながら未来人としてはその予感の結末も実際に知っており、ただ震えるしかないわけですが(そのうえ主人公は新聞社勤め)。
ただ中盤以降はややダレ感、単調さがあったかも。「キサス・キサス・キサス」の連打もちょっとギャグっぽかった。
オチは序盤からおおかた想像つくわけですが、それを基準にあっちかな?いやこっちかも?と細かい振幅にいちいち揺さぶられる。
逆に、その予感が明確になってしまうと、そんなでもないかな。
あと必殺のパターンが決まってるので、それの繰り返しでちょっと飽きるのもあるかな。
今ここにはない恋愛、かつてあったいい時代、目の前にありながら失うことがわかっているもの、などについての映画でした。
大人の恋愛
2021年6月22日
映画 #花様年華 (2000年香)鑑賞
大人の恋愛映画
#トニー・レオン と #マギー・チャン の官能的な魅力が溢れた映画でした
二人の関係がどこまでだったのかは見る人によってイメージとか理解とかが違うかもしれません
人によってはイライラするかも!
マギー・チャンの妖艶さとラテンスタンダード
イギリスのBBCが2018年発表した史上最高の外国語映画ベスト100のうち、ベスト10に、「七人の侍」「羅生門」「東京物語」「甘い生活」(フェデリコ・フェリーニ)らと並んで「花様年華」が選ばれている。第53回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞をトニー・レオンが受賞している。
マギー・チャンの色鮮やかなチャイナドレス姿と気持ちを抑えた苦しい表情、そこから滲み出る妖艶さ。そして、スペインのアルモドバル監督を思い出させる「赤」を際立させる画面構成にマギー・チャンの物憂い表情はまさに「絵画」の様。個人的にはトニー・レオンは「インファナル・アフェア」の印象が強く別の俳優の方がよかったのではと思った。
そして何といっても音楽が良かった。バイオリンを基調とした悲しめの曲の間に、ラテンスタンダードが何度か繰り返し流れる。ナットキングコールが歌っている「Aquellos Ojos Verdes」「Te Quiero Dijiste」「Quizas Quizas Qquizas」の三曲。愛の歌であり、キサス・キサス・キサスの「多分ね」とはぐらかす歌であったり。ラテンでは超有名で大好きな曲。これが場面の切り替え時に効果的に流れるのでとても気に入っている。
全体のストーリー展開を追うのではなく、その場面の風景や背景、二人のしぐさや表情、そして音楽を味わうのがいいと思う。
Netflix
【鮮やかな赤に彩られた禁断の恋。梅林茂の美しくも哀切な弦楽曲が悲恋の二人の姿を際立たせている作品。抑制したエロティシズムが蠱惑的な魅力を生み出している作品でもある。】
ー 舞台は、1962年の香港から始まる。同じ日に同じアパートに越して来たチャウ(トニー・レオン)夫妻とチャン(マギー・チャン)夫妻。お互いに、連れ合いとの時間が少なく徐々に惹かれ合って行く・・。ー
■感想<Caution! 内容に触れています。>
・チャウのネクタイを見て”主人と同じネクタイ・・”と言う、チャン夫人の切なげな表情。
徐々に親密になって行く二人の発端である。
・チャウとチャン夫人がレストランで食事をするシーン。チャン夫人はチャウに”奥様の好きなメニューを・・”と頼み、チャウはチャン夫人に供されたステーキにホースラディッシュを優しく添える・・。
ー 抑制していたお互いへの想いが、表面に出るシーンである。嬉しそうなチャン夫人の横顔。それを、優し気に見つめるチャウ。ー
・劇中、頻繁に映し出されるクリストファー・ドイルによる、結婚指輪。
― クリストファー・ドイルは今作を最初に鑑賞した際には、余り気に留めていなかったが、「ある船頭の話」での美しき山河の風景や、鮮やかな近接ショットに驚き、「ばるぼら」の淫蕩感溢れるショットの数々で、その稀有な才能に遅まきながら気づいた・・。ー
・雨中の密会のシーン。
”独身の時は、色々出来た・・。結婚生活って難しい・・。”
”君は夫と別れない・・。僕が去る・・。ー
・花様的年華の歌がラジオから流れるシーン。
美しい調べと、二人にとっては皮肉な歌詞・・。
<その後、チャウはシンガポールに赴き、1966年に再び香港に戻った時には、華の様に楽しかった時を過ごした面影は残っていなかった・・。
実に、切なくも美しい悲恋を、華やかな赤で彩った作品。
趣がとても良く、トニー・レオンとマギー・チャンの切なくも美しき佇まいが印象的な作品。
森田芳光監督の「それから」
ーこの作品も不倫に踏み出す男女を描いている・・ー
でも、その美しき映画音楽で見る側を魅了した、梅林茂の哀切な弦楽曲も作品に彩りを添えている。>
最高!
まるで覗き見をしているようなカメラ手法に、鑑賞者は否が応でも背徳感を煽られる。そして紫煙で煙ったような切ない映像。なんとも艶めかしくも色っぽい。
あと一歩を踏み出さない大人の恋に痺れた。
襟の高い細身のチャイナドレスがこの上なく美しい。細くてしなやかな長い首と背筋、腰、腕。アップにした豊かな黒髪とイヤリング。もう、大人の女の心意気そのものである。
(それは当時の香港の心意気そのものかもしれない。)
それが、カーテンや花瓶とマッチしたシーンの美しさは溜息しかない。
さてさて。
昨今のリモートワーク。正面顔との対面は、用事を済ますだけならいいけれど、「横顔」や「間合い」から生まれる「うつろい」「あいまい」「色気」がなくなっているのではないか。こんな映画を見ると、画面の真ん中に本人がいるのが、実に無味乾燥に思えてくる。
赤、紅、緋 せつなくて苦しい
チガウ、チガウ、チガウ、何度も見た映画なのに別の映画のようだった。チガウ、映像が色と音の濃厚さが。「何を」でなくて「どんな風に」。今までの自分の理解が浅薄なことがわかった。誰?どこ?役割と会話、時間軸という層が塗られてそのまた上に別の層が塗られて混ぜて混ざったという映画だった。色彩がクリアなのでマギーの黒髪もトニーのポマード髪も一筋一筋が美しく輝いていた。4Kだからよく見えたのか、二人の各配偶者の後ろ姿や髪型や声をはっきり認識できた。二人がステーキ食べる場面が肉々してワイルドで多分この時二人は美味しくモリモリ食したんだろうと微笑ましかった。アンディ・ラウと違ってトニーの耳は小ぶりだった。マギーは握り箸だった、可愛いかった。電話と大写しの時計はドキドキする小道具だった。トニーはずっと左薬指に結婚指輪してたけれど、マギーは左中指に繊細でおしゃれな指輪をしていた。マギーのチャイナドレスは全て右脇ファスナーだった。着るのは大変だけれど背中シルエットがそれで美しくなる。マギーチャンのヘアメイクも完璧。私の宝物映画。(2022.8.30. 映画館)
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台詞が極限まで削り取られているから少しのことばと電話越しの無言が饒舌だと感じてしまう程に濃厚でした。マギーの衣装が素敵で目を奪われた。チャイナドレスって襟が高いんだ、ほっそりとした長い首のマギーは本当に美しく着こなしていた。柄も布も季節に合わせられる感じで日本の着物みたい。トニーはポマードつけた短髪に白シャツとタイで60年代の男の色気満載でした。そして二人の目と手がすべて。トニー、目だけでもう最高の演技でした。
二人の練習シーンが良かった。一つ目は夫の浮気を問い詰める練習、夫役はトニー・レオン。二つ目は互いの配偶者がどんな会話をきっかけに親しくなったかの想像練習。三つ目は彼と別れる練習。一つ目と三つ目の練習の後で、マギー・チャンは泣いてしまう。練習なのに…。三つ目の後の涙が一番悲しかった。美しくて本当にかわいらしかった。
タクシーの中で自分の肩に相手が頭をもたれさせるがままにして手まで繋いだらもう伝わりあってしまうでしょう。トニーはアンコールワットで木に見立てた岩の隙間に無言の声を絞り出して秘密を囁いて土と草でその隙間を埋めた。トニー・レオン良すぎです。訴えるような眼差しが素敵すぎでした。
音楽も濃厚、チェロがとても効果的だった。カーウァイ監督の映画にはスペイン語の歌がとても似合う。疲れている時は重いけど元気であれば何度も見ることができる映画です。
おまけ:一人だけの夕飯だったら気軽に屋台に行って麺類などを持参の容器に入れてもらってという食生活はコンビニエンス!プラスチック使わなーい!でとてもいいと思いました。共同キッチンはいい部分もあり面倒な部分もあり。香港映画の食事場面とても好きです。
セリフなんていらない
トニー・レオン扮するチャンの妻、マギー・チャン扮するチャウ夫人の夫が不倫するわけなのですが、両者とも顔を見せません。それだけに二人に感情移入させることができました。
チャンは常に訴えかけるような眼差しでチャウを見つめるのだが、彼女は必ず目をそらしてしまいます。時代背景が現代とは違う60年代、お互いのパートナーと同じように不倫することができずにいることにイライラさせられます。時代が現代だとこんなストーリーは作れませんよねぇ。
それにしてもトニー・レオンの演技力が素晴らしかった。台詞が要らないくらいに目が訴えてました。だから、エンディングも遠景じゃなくレオンをアップにするだけでもっと素晴らしい映画になったと思う。
大人の雰囲気
大人の雰囲気です。
撮り方や音楽、主役2人の感じ。
マギーチャンの衣装が素敵です。
先に不倫を始めたそれぞれの妻夫は顔を出しません。
夫を問い詰める練習、別れる練習をする場面でチャン(妻)は泣いてしまう。印象的だった。
一線は越えたくないとチャンは言っていたがその場合もやはり不倫なのだろうか?という気もした。恋してるという感じ。手を繋ぐだけだがすごく色っぽかった。
ただゆったりとして大きく何かが起きる事はないことで「長いなぁ」とか思ったり、ぼーっとしてきて「この賃貸のシステムどうなってんだろう?どこで麻雀してる?」とか「それどんな料理だろ」とか雑念が浮かんだ自分は芸術センスが無いんだと思った。笑
キサス キサス キサス スクリーンの中でラジオから流れてくる曲って...
キサス キサス キサス スクリーンの中でラジオから流れてくる曲ってなんて、叙情的なんでしょう!
やっとみた「花様年華」このラジオから流れるのは、”キサス キサス キサス”その悲しい色気のある曲に心を奪われる。切ない話でどっしりと重くのしかかるが、女性の優雅な動きと、チャイナドレスの上質な生地とフォルムが目に美しく、画面から目が離せない。
30年代のラテンブームを知る人なら、耳になれた曲じゃないかと思う程の有名な曲らしい、この「キサス キサス キサス」男性の問いかけに、女性はたぶんとしか返さないという歌詞だそう。届かない思いを想像して、ますます切なくなる。
切ない気持ちを、脳内麻薬切れとさっさと片付けずに、たまには浸るのも良いかもしれない。
とにかくトニーレオン
トニーレオンがひたすらかっこいい。前半でふらっと廊下を歩くだけでかっこいい
ラストコーションとちがって、こんなにプラトニックだったんだねえ
赤いカーテンやチャイナドレス床のタイルなど鮮やかな色と模様が楽しめる。
bestiaでみて、雨の音の表現が際立っていた
ウォンカーウァイは電話好きだなあ。
現代だったらスマホをどう扱うのかな?
しかしあのカンボジアは???
記憶からも抜け落ちていた
中華系の人たちはシンガポールくらいなら気軽に転職できるのか。たくましいしいつもごはんはおいしそう。
ウォンカーウァイが好きなレストランや屋台知りたい
美しい映像
ウォン・カーウァイの天使の涙が大好きでした。あの頃みたウォン・カーウァイの映画はとてもクールで斬新で、言葉であらわせない魅力にあふれていました。
上映当時にこの映画も映画館でみましたが、まだ不倫がよくわからない年齢だった事もあり、ストーリーは記憶になく美しい映像とクールすぎるチャイナドレスだけが鮮明に記憶に残っていました。
改めて見直しましたが、どんな終わりだったかいっさい記憶にない理由がわかりました。互いの配偶者は一切登場しない単調なプラトニック不倫。不倫のドロドロ感のない、キスシーンさえない不倫ドラマ。主人公の二人と同居してるほのぼのとした別家族の目を盗みながら進行するプラトニック不倫はさながら、団地の隣同士の家に住む高校生の恋愛を彷彿させます。とっても単調です。いや、今時の高校生のほうがもっとあれこれありますね。
人によってはとても退屈かもしれません。
けだるい雰囲気の中に潜む不安と寂しさと恋心
総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
はっきりとした出来事を見せるのではなく、漠然とした不安や想いといった感情を場面場面に散りばめて雰囲気を作り出す手法が上手い。けだるい雰囲気の中に終始チャイナドレス姿の女が寂しさと艶かしさを感じさせ、芸術的な映像美として残る。なかなか物語が動かないうえに具体的な描写がないので退屈しそうなものだけど、感情を表す雰囲気作りが巧みなために退屈の手前で留まっている。
ところでこの当時の香港女性はチャイナドレスを日常的に着ているものなのだろうか。自分が21世紀に香港に行ったときはさっぱりいなかったが。
煙草の煙に揺らめく官能
何の前情報もなしに鑑賞しましたので、しばらくして本題が見えて来ました。
不倫している伴侶達の素顔をはっきり映さない代わりに、浮気される当人達については繰り返される音楽とスローモーションや静止画を使い、大人の心の揺れをじっくり描写して行きます。
まるで撮影のように、本番とリハーサルを行う2人…。恋愛とは、結局やり直しが効かないということを最後悟ったのでしょうか。
既婚者の秘めた恋愛は、どこにも漏れてはならない神秘なのだということでしょうか。
よく分からない所もあって飽きそうなのに飽きないのは、監督の腕ですね。
孤独な人妻の美しい佇まいが印象に残りました。
あと爆買いの文化的背景も、ほんの少し垣間見えました。
英語のタイトルは「In the Moon for Love」
2000年香港映画。98分。2010年48本目の作品。好きな映画監督といえば、ルコント、コーエン兄弟、そしてウォン・カー・ウァイ。本作はウァイ監督の代表作であり、主演を務めたトニー・レオンがアジア人として初めてカンヌの男優賞を取ったとか。
内容は;
1,お互いに伴侶をもつ男女がアパートの隣人になる。
2, そして、お互いにそれぞれの伴侶が不倫をしていることを知る。
3,2人の距離はどんどんと縮まっていく。
本作のテーマは「秘密」。その秘密とは男女の性関係を軸にした、禁断の思いや事実、現実、その他諸々。秘密が明るみになって運良く同時に不幸に陥った2人は、つかずはなれずの関係を保ちながら性の交わりを結ぶことなく、じれったく、そしてたゆたうように目的もなく関係を続けていく。
男は女の秘密を知ろうとし、女はかたくなにその内なる秘密を守っていく。そんな2人が向かえるあの結末は果たして幸せだったのか、それとも不幸せだったのか。性の興奮をはじらうかのようなため息が作品の至る所に聞こえ、そのあまりにも大人な色気にうっとりとしてしまうような作品。
世の中の常識という契りに縛られながらも、息を押し殺しながら、許されざる関係に進もうとする衝動とやりきれなさ、そしてちょっと危険な安堵感が凝縮した98分。まるで月の美しさに見とれたような作品でした。
じつは、これ、既に5回は観ています。
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