「セピア色に閉じ込められた美しさ」花様年華 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
セピア色に閉じ込められた美しさ
実際にセピア色という訳ではなく、全体の雰囲気がセピア色に彩られている良い映画だ。女優陣のチャイナドレスがとても美しい色と柄で仕立てられているのだが、何故かセピア色に思えてしまう。時間がこの映像には閉じ込められている。そして内容は、伴侶を持つ大人の「抑制」に尽きた作品。ここでも主人公たちは閉じ込められている。気持ちはとうに結ばれてはいても、肉感的な現実の結び付きはそこには無い。端折った形の「アベレールとエロイーズ」の如く歪なピューリタン的態度である。しかし、「抑制」がとても美しく描かれた内容である。映像もそれに合った美しい流れで見事捉えている。あの時代に撮られた素晴らしい作品である。
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