「まあまあの映画」回路 stoneageさんの映画レビュー(感想・評価)
まあまあの映画
2001年公開、黒沢清監督作品。
この作品、第54回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞しています。
ホラー作品が海外の賞を受賞するなんてなかなか珍しい…と言うか、この監督さん、どちらかと言うと、海外での評価の方が高いですね。
まぁ、そんな事よりも、単純に面白ければ、それでいいんです…観る側としては(笑)
で…
なかなか難解な物語です(笑)
作品中、初っ端から「奇妙な事」が連続して起こり、それについては何の説明も無いため、我々観る側が色々と想像しなければいけません…もちろん「なぜ?」の説明も無く、作品は終了します…はっきり言って、こういう映画、苦手です(笑)
難解とは言っても、ヒントになる場面や台詞はいくつかありました。
タイトルの「回路」という言葉ですが、台詞の中に「この世とあの世を繋ぐ"回路"」「"回路"は開かれた」みたいな言葉が出て来たと思います。恐らく、それは例の「あかずの間」やPCがその役割をしているのではと思いました。得体の知れない(幽霊が存在するような)未知の世界を、未知の人たちと無限に繋がる事(=出会える事)が出来る様な来たるべきネット社会に例えているんだろうなという事は、容易に想像出来ました(恐らくこの映画が制作された2000年頃って、今みたいにSNSとかが成熟する前ですよね)。しかし、この作品は、ご気楽に未知の人(=幽霊)と"繋がれる"と言うよりも、向こうの世界がこちらの世界を侵食し始めるんだと、その不穏な状況を描いています。
そう考えると、この作品はホラーというよりも、もうSFに近いなと思いました。
確かに、暗闇の中を蠢く謎の黒い影や、突然消えたり現れたりする人影って、日本人がイメージする典型的な"幽霊"って感じで、その演出はなかなか怖かったんですが、テーマが分かってくると一気に冷めてしまったというのも正直なところです(笑)
ジャパニーズ・ホラーの代表作として扱われているようですが、私的には、ドラキュラとか貞子とかゾンビとか、"バカでも"分かりやすいホラー作品の方が性に合っているなと思いました(笑)
*終末論的なラストは、後年の作品『散歩する侵略者』にも通じる世界観かなと思いました。
*毎度思うのですが、国際舞台に出て行くような作品には、視覚効果とかもう少しお金を掛けて欲しい…安っぽい演出効果は、何だか観ているこちら側も恥ずかしい…笑
*VODにて鑑賞。100円ケチって、300円で観たら、ブロック・ノイズだらけでした(笑)