「所謂“お化け屋敷もの”とは一線を画す怪作。」シャイニング image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
所謂“お化け屋敷もの”とは一線を画す怪作。
原作者にも原作の熱烈なファンにも不評な映画版だが、原作に忠実かどうかということを度外視すれば、映画単体としての評価はもはやホラー映画の古典として名画の地位を確立していると言って良い。ちなみにこのレビューを書いた時点で、私は原作を読んでいない(映画版の『ドクター・スリープ』を鑑賞してから、読んでみたい気持ちになっているが)。
本作を端的に言い表せば“お化け屋敷”についての話なのだが…主人公が徐々に精神を蝕まれていくプロセスの描写なんかはまるでサイコスリラー的で、主人公が斧を持って追いかけてくるあたりは、人が人を襲っているようなリアリズムがある。そこにさらに“シャイニング”と呼称される超能力要素も絡んでくるわけだが…住人が幽霊や悪魔に取り憑かれて恐怖に陥れられていく単純な“お化け屋敷もの”とは随分と毛色が異なる。
この作品の異様さと恐怖を煽る演出には、カメラワークが大いに貢献していると個人的には思っていて、もっとも象徴的なのは主人公が妻を追って扉を斧で叩き割るシーンの、斧を振る動作に合わせてカメラを左右に大きく振るカメラワーク。全く狂気の沙汰だが、極めて効果的であることには間違いがない。他にも注目すべきシーンは多々あるので、未見の方は是非自分の目で確かめていただきたい。
ちなみに、この作品のバージョンにはインターナショナル版と、それより20分程度長い北米公開版があって、近年ソフト化されているものは後者のものが多いようだ。個人的には後者をおすすめします。
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