ハリウッド的殺人事件 : 映画評論・批評
2004年1月15日更新
2004年1月24日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
2人のキャラの対比を楽しむ刑事コメディ
ハリウッドの観光名所を舞台に、いかにもハリウッド的な殺人事件が勃発。それを捜査するのもまさにハリウッド的なベテラン&新米の刑事コンビ。しかも実際の元刑事が脚本に参加してリアルなエピソードの数々を提供。これだけで、ちょっと風刺を利かせたユニークな刑事コメディになりそうなもの。
だが本作には、もうひとつの試みがある。それは、現代ロサンゼルスの街路に溢れるヒップホップのノリと、主人公のひとりであるベテラン刑事の愛する50年代のスタンダード・ミュージックの気分を対比させて描くこと。この試みのために、主人公2人はあえて軽妙さに欠けるドンくさい系キャラという演出なのだろう。この対比は見事に際立ち、普段のしゃべりまでラップなノリのヒップホップ関係者たちと、ノリとは無縁の言葉でしゃべる警察関係者たち、追跡シーンで走る両者のフォームもリズムもそして速度も対比的だ。
が、こうした対比がおもしろくなるのは両者のパワーが対等な場合のみ。製作陣は、そこの見極めを間違えたんじゃあるまいか。ラッパーの方々のほうが圧倒的にカッコイイでしょ。主演の2人のギャグの寒さは、対比のために「あえて」なのかも知れないが。
(編集部)