劇場公開日 2006年6月10日

「孤独な魂に捧ぐ」初恋(2006) とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5孤独な魂に捧ぐ

2019年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

三億円事件の犯人が少女というのはかなり無理がありますが、映画の題材としては心打たれました。

途中は、2時間サスペンスの見過ぎで、いつ裏切られるんだろうなんてハラハラしながら観ていましたが…。

母親との再会場面に言葉を飲みこみ、続くクライマックスに感涙、ボロボロ。こんな心の繋がり持てたら幸せなんじゃないかな、なんで思ってしまいました。

若者がうっ屈しながらも、非生産的行為ばかりであったにしろ、まだもがきながら何かをしていた時代なんでしょうか。
 この孤独感、閉塞感、空虚感、今の若者にも通じるんじゃないでしょうか。自分が何者なのか、見つけられない感じ。

宮崎さんの演技はさすがです。
 みすずが犯罪に加担した経緯と、その後の切なさがリアルに伝わってくる。
 舞台で、一人で語らせても、みすずの物語は完成してしまうのではないかと思う演技力。

反対に言えば、ジャズ喫茶の面々も、岸もいなくても成立してしまうような存在感。
 ロケハン等の背景・舞台設定にはかなり凝ったと聞いておりますが、”あの時代だからあの犯罪”というリアルさ、みすず以外の犯人の必然性が伝わってきません。
 (みすずの必然性は描かれているのですが)

原作未読。さぞかし内容は濃いものなのでしょう。それをまんべんなく映画にしようとして、すべてが上滑りになってしまった感じです。勿体ないです。

みすずの切なさは、ぜひ映画で堪能していただきたいですが、
映画は暗く、みすず以外の面々は頭でっかちで見苦しい。
 ”あの”時代を懐かしむ方と興味がある方はご覧下さい。

とみいじょん