劇場公開日 2006年6月10日

初恋(2006) : 映画評論・批評

2006年6月13日更新

2006年6月10日よりシネマGAGA!にてロードショー

時効なき恋愛のあり方を描写

僕らが生きる上で「もし」を考えても無駄である……といった言い方が正しいとしても、映画については事情が別で、本作では、あの3億円強奪事件の犯人が女子高校生だったら……という大胆な「もし」が有効活用される。白バイ警官姿の犯人のモンタージュ写真は誰もが見覚えのあるものだろうが、物語の設定上、僕らはセーラー服を着た少女が白バイ警官に変身する驚きのコスチューム・プレイを目撃できる。ヘルメットを脱ぐとそこに少女の長い黒髪が出現する……これは特別な趣味(?)がなくても、やはり快感を誘うものなのだ。

ていねいに描かれる1968年新宿という特異な時代背景とそこに生きる若者たちの群像劇的要素が、この設定に説得力を与えてくれている……と僕には思えた。この年、世界中で若者による反体制的な騒乱が起こり、むろん新宿はその中心のひとつだった。そう、そこで何が起こっても不思議はなかったのだ。

心の傷に時効はない……ヒロインは呟く。彼女はその傷を消したいのではない。むしろあの時代とそこで生まれた初恋という“心の傷”こそが彼女のその後の人生を支え続ける。彼女が単に不幸であるだなんて誰にも言わせない。時効を過ぎた未解決事件を題材に、時効なき恋愛のあり方を描くことに成功した映画だ。

(北小路隆志)

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