ゴーストワールド : 映画評論・批評
2001年7月16日更新
2023年11月23日よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほかにてロードショー
青春なんて不安でうっとうしいだけだったもんなあ
眼鏡っ子でユダヤ系のイーニドと、金髪美人だがシニカルなレベッカにとって、この世は「ゴーストワールド」 なのだった。何も起きないちっぽけな町、さえない親にアホな級友、恋人もいなくて欲求不満! ある日、退屈しのぎに中年オタクをからかったことから、2人の間は 微妙にギクシャク……。
一見、おしゃれなティーンもの。だが、監督はあの「クラム」のテリー・ツワイゴフ、原作漫画・脚色はダニエル・クロウズ(「ハピネス」のポスターでおなじみ)と、オタク度超高しの異色作。ピチピチ元気なチアリーダーもの「チアーズ!」とは正反対の、ダメダメな青春、アンチアーズ?
結局、この世でウソや欺瞞なく生きようとすると、人はアウトサイダーになるっきゃない。高校を卒業するや、バイトに励んで意外な順応性を見せるレベッカに対して、イーニドは相変わらずのプータロー。疎外感と好奇心から中年オタク(完璧アウトサイダー)に猛接近するイーニドの危なっかしさ! ほんとにダメな青春だが、青春なんて当事者にとってみれば不安でうっとうしいだけだったもんなあ(と、遠い目になる)。そのココロがわかる人には、これは究極、必見の傑作であります。
(田畑裕美)