始皇帝暗殺のレビュー・感想・評価
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悪くはないが物足りない
メル・ギブソンの『ブレイブハート』を観て、学生時代にリバイバル上映やレンタルビデオで観た『ベン・ハー』や『スパルタカス』を思い出し、中華圏でもこういう史劇映画を作ってくれないかなと思ったら、その2年後に公開された。中国製史劇映画には『三国志 大いなる飛翔』という悪しき前例もあったが、『さらば、わが愛 覇王別姫』のチェン・カイコーならと期待が高まった記憶。『花の影』が失敗作だったんで一抹の不安はあったが、まあどんな監督でも百発百中ということはないわけだしと。
しかし観た結果としては、つまらなくはないけれど期待したほどでもなかったという微妙な感想。事前の期待値が高すぎたのか、観終わった後に今一つ物足りなく感じてしまった。まあまあ面白かったって程度かなあ。主演のコン・リーとチャン・フォンイーも共に貫禄の演技ではあるが新味はない。『上海ルージュ』を最後にチャン・イーモウとコン・リーはコンビを一旦解消し、その後コン・リーは『花の影』と本作でチェン・カイコー監督作に出演するが、やはり彼女をスクリーンで最も輝かせられるのはチャン・イーモウなんじゃないかなあ。むしろこの映画で強く印象に残ったのは冒頭でチャン・フォンイー演じる荊軻に殺される盲目の少女を演じたジョウ・シュン。後に『ハリウッド★ホンコン』『小さな中国のお針子』で気に入り、過去作を調べたら本作があって「あー、あの子か」と思い出した。やはりこの頃から輝いてたんだなあ。もっとも前作『花の影』の端役出演はどこに出てるか全くわからないけど。21世紀にはチャン・ツィイーらと共に四小花旦(四大若手女優)と呼ばれるようになっていく。
なお本作は日本も製作に参加してたためか関連書籍がいくつか出版されるメディアミックスが行われ、小室哲哉プロデュースでデビューした台湾のRingという女の子が主題歌だったりもしたが、映画自体の興行成績や評判が微妙なこともあってかいずれも空振りに終わっている。当時は小室ブームもちょうどピークを過ぎ始めた頃だったような記憶がある。
始皇帝
刀匠一家を殺してくれてと頼まれた刺客・刑軻。一見して香川照之似の長髪。その髪には小さな鈴がいっぱい結びつけてあって、歩くとうるさい。盲目の少女だけ殺さずにいたが、その少女も剣の使い手だった・・・だが彼が左ききだったために命拾いした・・・というオープニング。
後の始皇帝・政は人質であり幼なじみでもある趙姫と一緒にいたかったが、彼女は趙へ帰ると言う。他国を亡ぼすには口実は必要なかったが、燕国に対しては口実がなかった。そこで人質である燕丹を祖国に帰し、そこで刺客を連れ帰る。刺客が秦王を暗殺しようとすることをでっち上げようとするためだ。そのお供を趙姫が自ら名乗りをあげた。顔に罪人に与える焼印を押して・・・。
やがて燕国で刑軻と出会った趙姫。彼はオープニングで見せたトラウマによって人を殺めぬと誓ったのだった。そうこうしているうちに趙姫は刑軻を愛するようになり・・・といった展開。
何を言いたい映画なのか中盤まではさっぱりわからなかったが、要は政の出生の秘密。2000年の時を越えても議論されているようだが、呂不韋が父親のような扱いをしている。映画では天国へ秘密を持っていくなどと言ってたので、真実はわからない。しかし、人間関係がややこしいため、徐々に眠くなってくる・・・さすがチェン・カイコーだ。
恋愛模様は全く盛り上がらない。しかし、最後の刑軻の死にゆく様は、天下統一を果たす者を越えていた。仕組まれた暗殺だとわかっているからか、刑軻の子を孕んでいた蝶姫の冷たい微笑は為政者に対する心理そのものだ。
始皇帝のキャラが斬新
①スケールの大きさはさすがに中国映画。②何より始皇帝のキャラが立っている。史上初めて中国(というより所謂「中原」と呼ばれる地域)を統一した始皇帝は、普通凛々しい人間として描かれることが多いが(映画化された『キングダム』でも凛々しい貴公子ぶり)、この映画では最初孫悟空かと思うような弾けぶり、ただ民の為に天下を統一したいという理想は持っていたのに、出生の秘密を知ってからは秦王朝代々の悲願と自分の中に流れる趙国民の血との板挟みどなり、結果あくまで秦の王としてまるで自分の中の血を否定するように趙の人々を子供まで根絶やしにする冷血な王者に変化する。③始皇帝は実は先代の王の子ではないとか、中原統一は決して始皇帝一代で成されたのではなく、先代・先々代からの悲願であったとかの説を上手く取り入れている。④趙国の王族(姫)があんなに軽々しく城中を出歩けるのか、とか庶民と付き合えるのか、等々?の部分も多いが演じる若きコン・リーの毅然といた美しさは宜しい。
コンリーの魅力とシナ歴史劇
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