ザ・フライのレビュー・感想・評価
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未知への恐怖を丁寧に表現した愛の物語
初めて見たのは小学生ぐらいの時、WOWOWで偶然やっていたのを途中だけ見た記憶。いけないものを見てしまった負い目で記憶に留まり続けていました。
今から10年前ごろにふと気になって、記憶を辿りタイトルを突き止め、視聴。驚愕しました。
自分が人でないものになっていく恐怖と、強大な力を手に入れて気持ちが大きくなる心境。自らハエとなっていくことでハエの生態を理解して適応し、陽気にビデオに記録していく姿。抜け落ちた歯や爪をとっておく人間への未練。ヒロインが逢いにいくたびにブランドルの気持ちが上がったり下がったり変化する様は非日常なはずが、彼の行動にとても共感してしまいます。
愛を知らないブランドルが愛を知ることで前に進み、歪んで狂気へと変わっていきます。対して当初は利用する目的で近づいたヒロインが次第に惹かれていき、崩れていく彼を最後の最後まで思いやる姿が皮肉で悲しいです。文字通り崩れゆく彼を…笑
90分の構成が無駄なく見事で、彼の変化にたっぷり時間をとってもらえたのがよかったですが、ブランドルフライの暴れる姿が見たかった気もします。役者の演技はどれも素晴らしかったですが、特に元彼の絶叫が迫真です。
自分が生まれる以前の映画でVFXも使われておらず、全て特殊メイクで行なっていることも、部屋全体を装置としてあの場面を作っていることに驚愕です。
おぞましく恐ろしい話の中に、テレポの近未来SF設定や人間ドラマが丁寧に描かれており、夢中で何度も見てしまう最も好きな映画の1つです。
【怖い、怖い、忌まわしき思い出の作品。アノ出産シーンは正視出来なかった作品でもある。】
天才科学者セス・ブランドルは有機物転送実験に自らを実験台とした転送を行なったが、その転送実験機には蝿が紛れ込んでいた・・。
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学生時代、映画館の息子が友人におり、お金がないのに頻繁に映画館に足を運んでいた。(勿論、その友人から貰った無料観賞券があったからである。)
ある日、その友人から”怖いが面白い映画があるが、どうか?”と問われ、他の友人達と共に最前列で鑑賞する羽目に・・。(かの友人のモットーは”ホラー映画は最前列で観るべし!であった・・。)
序盤から不穏な雰囲気が異様なまでに漂い、セスの体が”爪は剥がれ、髪が抜け、・・・”と実験後に変化していく様を眼前にし、更に彼の恋人ヴェロニカから、セスの子供を妊娠している可能性がある・・と知らされた時点で嫌な手汗が・・。
ヴェロニカの”妄想”出産シーンは怖すぎて、正視出来ず、焦点をぼやかして画面を観るという個人的技法を駆使して、”俺は観たぜ”と友人達には虚勢を張った作品。
ラストのセスに対して行おうとしたヴェロニカの行為とセスの辛うじて残っていた人間性が実に切なかった作品でもある。
<あれ以来、観たことはないが強烈な”トラウマ”として脳裏に刻み込まれた作品。
こんな作品を作るデヴィッド・クローネンバーグ監督ってどんな人よ!と思った作品でもある。
スプラッター要素は全くないし、今見たら、“なんだこんなものだったのか・・”と思うかもしれないが、当時の生理的嫌悪感は忘れ難い作品。>
エンタメ・SFの怪作
ビデオドロームが面白かったので、同じクローネンバーグ作品で気になっていた本作を鑑賞。
下品なキワモノ映画かと思いきや全くそんなことはない。
これほどの名作とは驚いた。
この映画の魅力は以下の3つ
①普遍的な悲恋のドラマ
②量子テレポーテーションを扱ったSF要素
③肉体に比例して変容する精神
まず、ドラマとしてエンタメとしてよく出来ている。
登場人物達に十分感情した上で、主人公が人間でない何者かに変容していく様が描かれる。だからこそ、肉体の変容による精神の変化。そこからくるカップルの悲劇がより浮き彫りになるのだ。
第9地区やシェイプ・オブ・ウォーターにも似た切ないラブストーリーとして見ることもできよう。
SFとして導入も非常に興味深い。
量子テレポーテーションによる転送装置を80年代に扱っているのが素晴らしい。
テレポットでの転送は知的好奇心を刺激され見ていてワクワクした。
クローネンバーグ作品として"肉体と精神の変容"という題材を描きながら、SFとしてドラマとしてバランスよくまとまった怪作。
今覚えば第九地区のエビ星人は、ザ・フライが元ネタだったのか。爪や皮膚が剥がれて脱皮し変態していく様も全く同じだ。
既に古典として語りなおされていたんだな。
これはグロくて悲しい
人間とハエの融合、当時はくだらないと思ってみていたが大人になり再鑑賞すると、徐々に変化していく恐怖や悲しさそしてエロオヤジだった編集長が実はいいやつだと色々なことに気づかされる笑
コンピュータや変化していくさまに古臭さは否めないがなかなかの造形美
CGで綺麗に作られたものよりよほど迫力があるね。
ラストシーンの悲しさが響く
マントヒヒ兄弟
相変わらずクローネンバーグが描く陳腐でグロい特殊効果の気持ち悪さが際立っている。
ツマラナイ訳ではないけれど、もはや好みの問題!?
主人公より誰よりも編集長が一番悲惨な目に遭ってしまうのが可愛そう。
蝿の要素も希薄に不細工なモンスターの誕生。
折り紙つきのキモさ、が、それだけじゃない
数十年ぶりに鑑賞。
キモさは折り紙つきだが、キモいだけではない余韻も残してくれる。
前半、天才科学者と美人ジャーナリストの申し分ないお似合いカップルが羨ましい。それも束の間、ちょっとしたすれ違いに酒とハエが媒介してとんでもない展開に直面。
後半、両者の美醜の差が凄まじく痛々しい。その差は悲しいかな、どんどん開いていく。が、お互いを思いやる2人。
元には戻れないことを徐々に悟る2人。なぜこんなことになってしまったのだろう。
ラストは名シーン。自殺する動物は人間だけだとされる。人間からは程遠い姿に変身した彼が最後に取った選択行動があまりにせつない...
ハエ、純愛
ブルーレイで観直し。
グロ要素を除くと、とてもよく出来た作品です。
SF感もあり、古典的でもあり(特に音楽)、ドラマ、アクションと面白い。
よく出来ているのに、観客に冷水を浴びせかけるような、グロ要素。
これをやり切っちゃうところがクローネンバーグの良さなのでしょう。
気持ちの中に一歩入り込んで、感覚を刺激してくれます。
ゴールドプラムの演技も気合が入っており、特撮と合致して作品の緊張感を高めています。
やっぱりクローネンバーグ、好きだなぁ。
今だから観られたけど〜〜
基本的にクリーチャーの出てくるSFスリラーやホラーは
超苦手なのでほとんど観ません!
「エイリアン」とか「プレデター」とか絶対ダメ!!
でも、年間80本ほどなんやかんや観ているうちに
例えば「ハリー・ポッター」や「スター・ウォーズ」や
マーベル映画でも様々なクリーチャーが普通に出てくる時代。
気持ち悪い描写もそれなりに慣れてきた今だから
やっと観られた作品ですわ〜〜。
公開当時だったら絶対観られなかった!
正直、えげつないし〜〜グロいし〜〜
でもね、最終形態のハエ男は、色々観慣れた今となっては
結構キモカワイイ??〜〜かも〜〜
最終形態以前の、いや、最初の方の、頭良すぎて
イっちゃってる人の目付きのジェフ・ゴールドブラムの方が
逆に怖いかも〜〜(笑)
で、映画の内容自体は「なんと悲しい〜〜」
頭良すぎて、研究しか知らなくて、
やっと女性といい仲になって
切実に「肉」の素晴らしさに目覚めて
その結果が反映して長年の研究が成功したのに
嫉妬のあまり、呑んだくれて思いもよらぬ出来事に遭遇!
なんとか元に戻る道を探るけれど
時、既に遅し〜〜
ああ、なんと悲しい〜〜
だから人々の心に今でも残る名作として残っているのでしょうね。
グロい系がダメな人は無理ですが
色々観てもう慣れてる方には、オススメです!
@もう一度観るなら?「一回観たら十分〜〜」
すさまじくグロく悲しい
夢オチの巨大蛆を生むシーンは壮絶
改めてみると、以後の映画に大きな影響を与えていることがよくわかる。
Jゴールドブラムが足が長くてスタイルがイイ
ウワーッ!!なんだこれ超コエー!!
小学生くらいで観たけど記憶からすべて抹消されてしまっていたので
改めて視聴。オェーーーーー!!!超気持ち悪い!!おぞましく最高だ。
気付かぬうちに飛躍的に身体能力を手に入れ、愛する人とも結ばれ、
相手も引くくらいの絶倫になり(笑)、そこから一転。
見た目もキモイわ極端な思考に陥るわ恋人にも転送装置INを強要するわでやりたい放題。
自分が蠅と遺伝子レベル()で融合してしまった事を知ってからは落胆と絶望を見せるのかと思ったのですが恋人を家に呼びつけドーナツに消化酵素をゲェーッ!!とぶっかけるシーンはサイコホラーの歴史に残るシーンでしょ。わざわざそんなショッキングな場面見せる為に家に呼びつけんのかよっ!方向性は酷いんだけど、ホラーなのに疾走感のようなものを中盤から感じ続けて最後まで観てゆける。蠅男としての生き方を驚くほど受け入れながら暴走していく主人公に完敗だ。
ラストのラストまで本当におぞましい変貌があるんだけど、切なさで締め括ってくれるから蠅男に愛着すらわきました。
でも2ってまったく同じようなストーリー構成なんでしょ、全然観たいと思えないぞ…。
クローネンバーグの唯一の問題作品だと思う
確かにグロい。そしてセスの行動や表情の表現がやばい。 だが、自分は鑑賞し終わったあと思うのだが、グロいやばい映画で終わらないのがこの映画の良いところではないかと、クローネンバーグの思いを良い意味で考えさせられる作品だと自分は鑑賞し終わってとても感じる。
再鑑賞すると別の視点から想像でき、新しい発見があるから面白いし、再鑑賞して良かったと感じたw
変貌
人間からハエ男への肉体と精神の変貌が非常に細かく描かれていて、ビジュアル、心理描写ともに見応えがある。
ブランドルは典型的なマッドサイエンティストではないため、感情の揺れ幅が妙にリアルだ。
容赦ない特殊メイクは見事なほど醜悪で強烈なインパクトを残す。爪や耳が剥がれたり、食べ物に溶解液を吐きかけるシーンなんかは深刻に気持ち悪い。耐性がない人は見ない方が良いだろう。
とっても怖がりました…別の意味で😅
原題:The Fly
製作国:アメリカ
公開日:1987/01
配給:20世紀フォックス映画
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:マーク・アーウィン
原作:ジョルジュ・ランジュラン
キャスト
ジェフ・ゴールドブラム…セス
ジーナ・デイビス…ベロニカ
物質転送の研究をしている天才科学者セスを取材した記者のベロニカは、やがて彼と恋に落ちてしまう。
ある日、セスは自ら実験台となり転送機に入る。
ところが、紛れ込んだ1匹の蝿によって悲劇が幕を明ける事に…
フランス人作家ジョルジュ・ランジュランの短編小説「蠅」を映画化した58年の名作「ハエ男の恐怖」をリメイクした本作は、まさにクローネンバーグの転機となった出世作品です。
ホラー好きのメル・ブルックスが自らの会社によって製作。
「スキャナーズ」でオジサンの頭を吹っ飛ばしたクリス・ウェイラスの特殊メイクはアカデミー賞を受賞。
全てにゴージャス(笑)
一昔前のクローネンバーグじゃ考えられない出世です😅
それ程までに前作「デッドゾーン」の成功は大きかった訳ですね😅
さて、本作は物質を転送する装置を巡って起こる悲劇を描いた作品なのですが、驚くべき事にクローネンバーグは本作のラストをハッピーエンドだと申し上げておりました😓
😓?😓?😓?😓?
取り敢えず、叫びたいと思います…
「何ぬかしとんじゃい❕このド変態‼」
…あー、スッキリした😂
ご覧になった方ならご理解頂けると思いますが、この作品、どー考えてもハッピーエンドとは程遠い代物😨
まさか、アレで、科学者が救われたとでも仰りたいのでしょうか😓
それとも画面が暗転してから聞こえるアノ鳴き声?😓😓
一体、何処に救いがあるのか、頭の中がぺらい子チャンの私には、さっぱり理解が出来ません😓
さすが、常人の斜め45度上を行く変態サン😓
きっと、見えてるものが違うに決まってます💦
きっとそうです💦💦
本作が劇場公開された時のキャッチコピー。
「怖がってください—とても、とても怖がってください—」
ええ💦
怖がりましたとも💦💦
年明け早々、こんな作品を公開する映画会社も怖いし、
クローネンバーグという変態サンに改めて恐怖を感じましたよ💦
怖い人です😓
自分をなくしていくところが辛い
男がハエに変化していく映画と聞くと、グロテスクなB級ホラー映画という感じだが、カフカの変身や、ジキル博士とハイド氏を彷彿とさせる文学的な要素をもった哀しい話だった。
自我がハエの要素に支配されていく様子には、悲しみや苦しみを感じるし、それでいて、そこを超えてからはハエとして生きることを受け入れているかのような態度は、ある日突然虫になってしまったことを受け入れているところは変身のようなむなしさも感じる。
「蝿男の恐怖」も「ザ・フライ2」も気になる。
全39件中、21~39件目を表示