ブロークバック・マウンテンのレビュー・感想・評価
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たまってるのなら羊を・・・って昔の小噺だなぁ
牧場主アギーレを演じたランディ・クエイドは言わずと知れたデニス・クエイドの兄である。その弟デニスは『エデンより彼方へ』(2002)でジュリアン・ムーアと結婚して幸せな家庭を築いているにも拘わらず男と浮気していたのです。この映画を観た兄は「よからぬことをしおって・・・」と怒り震えたに違いない!ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの仲睦まじき戯れにショックを受けるシーンでは、弟デニス・クエイドの男とのラブシーンが重なって見えたことでしょう。もちろんミシェル・ウィリアムズの演技は、『エデンより彼方へ』での夫の浮気を知ったジュリアン・ムーアの演技と重なって見えました。
ゲイの映画という理由で様々なバッシングを受けたりしている映画ですが、2人とも根っからのゲイというわけではなく、たまたま好きになったのが男だっただけのような気がしてなりません。「1回限りだぞ!」という特殊環境の中での出来事から始まり、20年間で数えるくらいしか会えなかった2人。タバコ、ウィスキー、殴り合い、表面的には普通の男としか見えないし、密会だって隠れてこそこそと・・・誰に迷惑をかけるでもなく、普通に生活をしている2人。お互い妻子ある身でもあったし、異性との浮気ならば2人の関係にヒビが入ることもない。純粋な男同士の友情に肉体関係がプラスされただけのこと・・・
この映画の優れているのはゲイだけがテーマではなかったことでしょう。過去に目撃したゲイの拷問による死によって差別による人間の残虐性。貧しくてもたくましく生きていこうとする人間をも描き、金儲けだけが全てではないことも訴えている。また、夫婦の絆が弱いためか、親子の絆が終始クローズアップされていました。さらに注意深く見ると、2人の関係をどこまで知っていて、知っているのに許容するのか、全く知らないのか、台詞と表情から愛情の深さを計り知るのも面白いと思います(ちなみに、よくわかっていません)。
俳優の演技は皆素晴らしかったのですが、特にミシェル・ウィリアムズが良かったです。今後も必ず賞レースに絡んでくることでしょう。もちろん、アン・ハサウェイの大胆演技もgood!そして、最も目立っていたのは“山”でした・・・
【2006年3月映画館にて】
一番愛する人と愛し合うことが罪だったなら
よくある恋愛映画のように出会ってすぐにベッドに直行というわけでは全然ない。二人ともカウボーイの仕事を愛している。毎日を二人で過ごし語り合う中で、お互いを理解し好意を抱くようになる。美しい牧歌的な風景の中で二人が仕事をする様子は完璧な一幅の絵だ。ある晩、飲み過ぎがきっかけで一線を超えて愛し合うようになる。
主人公の父親が同性愛者をリンチするエピソードが語られ、私達は米国中西部という最も保守的でカソリックの信仰の厚い地域では、同性間の愛が最大のタブーとされていることを知る。最も厳しいワイオミング出身の主人公はひどく罪悪感にさいなまれていて、人目を気にしている。自分の心に蓋をして生きていく。テキサス出身の相手は比較的自由な心を持っており、見つかるのが怖いのなら、違う場所で新しく生活を始めようと誘う。なのに主人公は今の生活を続けるより他に道がないと断ってしまう。
厳しい修行のような人生だ。
美しい映像にのせた悲しい同性間の愛の物語。
何故愛し合うようになったのか?
魂の物語
大好きな作品で、十数年振りに再鑑賞しました。2006年の公開当時、同性愛はまだまだゲテモノ扱いで、同性愛を扱う作品は一部の映画マニア位しか鑑賞していなかったと記憶しています。しかし、今作の公開を境に、その後同性愛の作品が沢山公開され今となっては一般的な作品になりました。今作はジェンダーの変革期に多くの人に受け入れられた作品であり、時代を変えた作品とも言えると思います。
イニスとジャックが出会った1963年は、カウボーイがアメリカで廃れ消えゆく時代。逆にアメリカ国家は、経済的な繁栄を迎えます。時代に逆光するかの様な地味で貧しいイニスとジャックの生き様は、不器用ですが純粋です。イニスの様な口下手な人間よりも、口が達者なセールスマンがもてはやされる時代が幕を開けても、男らしさという古い価値観には縛られたまま。社会から必要とされなくなった男達の孤独な魂は、どんなに反社会的であってもお互いを惹きつけて離れられなくなってしまった。だから、今作は恋愛や友情という関係に収まらない純粋な魂と魂のぶつけ合いの物語。公開から十数年経っても観る者を魅了するのは、この魂に私達が惹きつけられているからだと思います。
これも愛
辛い恋だなぁ、不器用な人だなぁ、そして真実の永遠の愛
人恋しさ、というパズルのピースが調度隣同士で、あの夏のブロークバックマウンテンでマッチングした、と感じた。
そりゃあ、何があろうと離れられない
死が二人を分かつまで、とはこういうことでしょう
長い長い時間、逢えるのはわずかで、ホント、辛かっただろうな
背徳感も半端ないだろうし
ジャックの真っ直ぐな愛にイニスは救われていたんだね
イニスが9歳の時にパパからあの嫌悪感、世間の感情を見せられてなければ、また二人の世界は変わっていたのかも。
生涯愛し得る人と出会えて、愛し、愛されていた時間があって、辛かっただろうけど幸せだったと思う。
ブロークバックマウンテンしかなかったようですが、イニスにとってかの地がいかに癒しの地だったか、よく伝わりました
ジャックとイニス、それぞれの本気な思いがそこかしこに散りばめられいて愛おしいと思いました。
真っ直ぐで不器用で辛いことこの上ないけど、真実の永遠の愛をつかめて良かったの
ラストのジャックのパパママが素晴らしく、だからジャックがあんなにも素直な真っ直ぐさんに育ったのね、と納得
ただ、遺骨の破片でいいからブロークバックマウンテンに埋めてあげてほしいなぁ
と思いました
イニスがパパの9歳で見せられた世間の感情、嫌悪感が、なければ
音楽、映像、演出が織りなす一体感
内心を曝け出す事の葛藤
主人公二人の距離が縮まるのが余りに唐突過ぎてついて行けない感覚のまま序盤は進むものの、その後の感情のぶつけ合いと、本当の自分と向き合う2人の葛藤が見事に描かれ、思いを曝け出す難しさに共感を抱いた。
ムーンライトと似たテーマだが、こちらの方がよりストーリーに厚みがあり、良い映画だと感じた
四人四様
居場所なく育った者が辿り着いた平安が社会的には場所が用意されていない。その苦悩を携えるヒースレジャー、訛ったボソボソ感や刹那に彼が暴力に走る姿が痛々しい。
冒頭のジェイクギレンホールはヒースより男らしいが、それが一年経て山に帰ってきた時に一変。同じく可愛い花嫁、ミシェルウィリアムの変貌ぶりも目を引く。内面の不安が滲み出る表情。こちらも素晴らしい。
過去の禁じられた逢瀬に引きづられて人生を過ごす者の話は多く、それを同性愛に当てはめている。受け入れることのままならなさ、秘めて心に住まわせる。
羊の群れや大自然の風景の中でこの話が綺麗に縁取りされる。対照的なラストカットのトレーラーハウスから窓で切り取られた外の風景が美しく心に残る。
同性愛の感動映画ではなくただの不倫映画...
まずはじめに申し上げておくと私は「同性愛」について賛成であり世の中でもっと認知されることを願っている。私自身は同性愛者ではないが友人では何人かおりその人たちの心からの幸せを願っている。
だが....それを踏まえてもこの映画には感情移入できない。
今よりもずっと彼らにとって住みにくい時代だったとはいえ(映画でも過去の回想で残忍な殺され方をした同性愛者が登場する)、妻や子供との時間を作らず彼との愛を育むことが美化されて良いかは疑問だ。
実際にイルマーは妻と離婚するが離婚後の関係が良かったとは言えず、新しい恋人との関係も蔑ろにする主人公に腹が立つ。
愛する彼氏との関係も一緒に住むことを拒んだり、同性愛者と言うことを認めることができないなど、自分をわがままで結果的に最愛の人は死に遺灰は持ち帰れず1人悲しく死んでいくバッドエンドだ。
繰り返して言うが、同性愛には賛成だが...不倫を美化し感動をそそるのは滑稽である。
セクシャルマイノリティが
アルマ目線で再視聴
男同士の愛おしくも切ない愛の物語
お互いが惹かれ合う、そこを時間をかけて丁寧に描かなかったがために物語に深みがかけてしまったのかと思った。2人のあのテントのシーンは流石に急すぎるかなと思った。そこから物語自体は淡々と進み、2人が再会してからはブロークバックマウンテンでお互いの気持ちを確かめるように2人の時間を過ごす。本当の自分は社会に受け入れられず自由を手にすることができない。そして、恋人までも失ってしまう。なんとも不条理で悲しい物語だった。
四人
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