突入せよ!「あさま山荘」事件のレビュー・感想・評価
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ヘラクレスの苦難は続く
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原作(連合赤軍「あさま山荘」事件)は未読。
あさま山荘事件を警察の視点で捉えた本作は、事件の表裏の出来事をリアリティー溢れるタッチで描き、果たしてどこまでがフィクションなのだろうと思いながら観ました。
縄張り意識やメンツが現場を硬直させたり、指揮系統に混乱が生じたりと、警察組織の抱える矛盾が露呈していて、「敵は赤軍じゃないかも」的なセリフが印象的でした。
突入直前、鉄球をぶつけるのに邪魔な電線が切断されていないことが発覚する場面では、前日に確認していたにも関わらずいい加減な対応がされていて絶句させられました。
佐々淳行氏に降り掛かる苦難を伴うミッションの数々。警視庁と長野県警の関係を調整し、上層部からの圧に抵抗し、前線に出て直接指揮を執るなど、八面六臂の活躍の果てに訪れたクライマックス、突入シーンの迫真性(任に当たる機動隊員たちの決死の戦い)に息を呑みつつ、佐々氏が切り拓いた道の果てに訪れた結末は人質無事救出、被疑者全員確保と云う華々しいものでした。しかし、尊い犠牲を伴ったことも事実。この事件を教訓にして、ヘラクレスの苦難は果てしなく、続く…
事件そのものが映画的で面白く迫力も有りだが、物足りなさも
テレビに多くの人間が釘付けになっていたあの事件の背後で、県警と警視庁の主導権争いがあったことは知らなかった。米国映画でさんざん見た警察の縄張り争いが、国民性も違う日本でも同様に有るのは、どうしてなのか、不思議な気がした。
大きな球による壁破壊、放水攻撃、突入、2名殉死、人質確保、犯人確保と忠実に事実をなぞる。国民を熱中させた様に事件そのものが映像的で、映画として面白かった。また突入後に指揮官が殺られ、機動隊が大混乱に陥った描写も、臨場感に基づく迫力が相当に有った。
ただ、見終わった後に物足りなさも感じてしまった。犯人側の描写が全くないのは、まあ一つの見識として理解もできるが、主役である役所広司による佐々淳行の使命感や気持ちの動きがあまり伝わってこなかった。一方、藤田まことが演じていた後藤田長官の、国家組織を守り犯人を英雄化しないための、人質の命最優先、犯人生捕等のリーダーとしての指示の的確さは、史実らしいが唸らされた。とは言うものの、この事件が日本及び日本人にとってどういうものであったのか、原作が悪いのかもしれないが、その考察が全くなされていない様に見えたことが物足りなさに繋がっている様に感じた。これだけ映画的に魅力的な素材であるだけに、残念に思ってしまった。
タイトルなし
警察内部での指揮争いや、作戦も長野県警の呑気さと相まって、うまく実行できないなど 実話っぽい。軽いタッチで描かれてる部分あり、スムーズに見れるが、内部突入シーンや、音響とセリフが重なってしまいました残念。
けっこうよかった
この映画を見て若松孝二監督が「警察サイドだけじゃねえか」と怒って『あさま山荘への道』を作ったというエピソードが強く記憶に残っている。若松監督の方はとても面白かったのだが、こちらはこちらで面白かった。特に山荘に突入してからの警察のにっちもさっちも行かない感じが実にリアルでいい。若松監督の態度で、警察をわっしょいしている感じかと思ったらそうでもなかった。トップの役所広司ががんがん前に突っ込んでいくのがよかった。
現実にあった昭和の事件の再現ドラマ
原作者がこの過酷な現場で、警視庁主導の秘密の作戦を練った佐々淳行氏。長野県警と警視庁とのいがみ合いは今となってはほほえましい。いや、昭和40年代の日本の雰囲気はこんなもんだったろうと思う。犯人たちを射殺せずに生け捕りにするために結果的に警察官二名が殉職。負傷者多数。民間人一人死亡。二月末の十日間。一番寒い時期である。山荘は水でびしゃびしゃにされ、ぐちゃぐちゃに壊された。
1972年の2月。予期せぬニクソン訪中という大ニュースがあった。赤軍派たちは、軽井沢のこの山荘で最後まで抵抗し、機動隊によって全員逮捕された。犯人たちの行動は、この映画ではほぼ描かれない。そのため、警察がなにを相手に闘っているのかよくわからない。人質が登場するのも一番最後であり、そこはひとつのカタルシスになっている。凶悪な犯人たちを生け捕りにせよと命じたのは後藤田警察庁長官の命令による。そこがこの事件の出発点だ。
どちらかというと終始警察マニア向けの映画であり、この事件をリアルタイムで知っている世代向けの映画だと私は思う。まったく万人向けではない。
それでも楽しめる部分はあった。役所さんや椎名さんたち役者陣は頑張っている。長野県警の電話係のお姉さんもいい味を出している。10日間の長い話なので、ついていくのは大変だ。テレビなら大抵のひとは飽きると思う。映画館なら観れるだろうけど。
犯人たちは全力で国家権力と闘ったし、警察も命を張って犯人たちを生け捕りにし、人質を救出することに尽力した。そのことはしっかり描かれていると思う。
飽きちゃった
佐々淳行「連合赤軍『あさま山荘』事件」(文芸春秋刊)を原作としたフィクション映画。
「ヘラクレスの選択」: 人が選ばないような最も困難な道ばかりを選ぶこと
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【東京、警視庁】
佐々淳行 警察庁警備局付 監査官(役所広司)
佐々の妻(天海祐希)
佐々の上司、宇田川信一(宇崎竜童)
国松 広報課長(田中哲司)
【長野県警】
野間 長野県 警本部長(伊武雅刀)
長野県警の一人(田中要次)
人質、小雀真理子(篠原涼子)
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連合赤軍のメンバー5人が人質を取ってあさま山荘を占拠したことを受け、
爆発物処理技術視察のためのイギリス派遣から戻ったばかりの佐々が、
石川警視正と共に現場に派遣され、指揮を任される。
弁当も靴も凍りつくほどの連日の寒さと、
「人質、犯人共に生きたまま救出、逮捕すること」
「銃器の使用は禁止」
という警察庁長官からの厳しい条件下で長野県警との協力が求められるが、
県警は「警察庁の協力など必要ない!」の一点張りで連携できず口論が続く。
そんな中、犯人たちとの攻防戦で民間人が死亡、現場の捜査官も重傷を負ってしまい、緊張感が高まる。
長官の強い信頼を受けて、佐々は本腰を入れて指揮を執り始める。
こないだ観た「実録・あさま山荘への道程」は連合赤軍メンバーの視点。
↑より前に作られたこの作品は、警察庁/県警側の視点。
「実録~」で連合赤軍について知ったところだったのと、
2/20に元連合赤軍メンバーが逮捕されたというニュースを見て、
ついでだからこの映画も観てみた。
役所広司も田中要次も田中哲司も若い!!
田中哲司は今「ゴーストライター」で見てるけど、やっぱ13年も経つと役の重みも演技の貫禄も物理的な肉付きも違うな~
長官からの条件が厳しくて、銃撃してくる犯人たちに対して投石とか放水とかアナログ過ぎてちょっと笑ってしまった、、、
「実録~」よりずっと軽いタッチで作られていてあまり緊迫感が伝わってこず、
さらに県警の緊張感のなさも相まって終始のん気だな~やる気あんのかな~と感じる映画だった。
放水や鉄球で壁を壊すときも、
現場にものすごい人数が配備されているわりに段取りも手際も悪くて、
みんなそれぞれがワーワー言っててなんかダサい、、、
というわけで飽きちゃって途中でおしまい。
ちゃんちゃん!
鬼手仏心「きしゅぶっしん」
映画「突入せよ!「あさま山荘」事件」(原田真人監)から。
面白い台詞が溢れていたが、なぜか私が選んだのは
主役・役所広司さんの後ろに飾ってあった書の四字熟語。
ストーリーに関係するんだろうなぁ・・という思いで調べたら、
「鬼手仏心」とは、
外科医が手術のとき、残酷なほど大胆にメスを入れるが、
それは何としても患者を救いたいという温かい純粋な心からである、
そんな意味らしい。「仏心鬼手」ともいう。
端から見ると「かわいそ~う」と思えるような判断や指示も、
その根底には、大きな問題を解決しようとする気持ちが働いている。
そんなコンセプトが、ストーリー全体に感じられたから、
なるほどなぁ・・と感じながら、メモをした。
直接的な出演者の台詞ではなく、さりげない調度品や絵画、書から
その監督の意図するところを感じる・・これが映画の醍醐味であろう。
(原田真人監督、間違っていたらごめんなさい。(汗))
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