突入せよ!「あさま山荘」事件のレビュー・感想・評価
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二人の信頼関係がすばらしい一本
レビュアー諸氏がご指摘のとおり、この映画は実際に起きた事件と、当時の現場指揮官だった方の著作を底本として作品化されたものです。
それだけに、事件の処理をめぐる中央(警察庁)の介入と地方(長野県警)の意地。そして、やはりこれも官僚組織である警察組織を動かすことの困難―。
同じような組織で働く者の一員として、佐々警視正(警備局付監察官)の苦労が、評論子には忍ばれました。
その中でも、佐々監察官の能力を信じて、すべてを任せる後藤田・警察庁長官。
その二人の信頼関係が、よく描かれていて素晴らしいと思いました。
本作は「お宝DVD」のうちの一枚として収蔵し、それこそ盤面が擦り切れてしまうのではないかと思うほど、繰り返し、繰り返し、また繰り返し見た一本にもなります。
気持ちがくじけそうな時に、評論子には勇気をくれる作品のひとつでもあります。
評論子としては、秀作としての評価は、疑う余地すらないところです。
(追記)
<映画のことば>
「はい、こちらヘラクレス!」
わざわざ七難八苦の険しい道を選んで歩くー。
それを「ヘラクレスの選択」と言うんだそうですけれども。本作中での佐々警視正のセリフによると。
そんな思いをしながらも警察畑一筋に勤めて来られたのも、やはり後藤田長官との信頼関係があったればこそ。
本作の中では最後の最後に語られるものではありますけれども。
その意味では、本作ではいちばん重要な台詞(脚本)ではなかったかと思います。
(追記)
「災害は忘れた頃にやってくる」というのは、物理学者の寺田寅彦の言葉だそうですけれども。
しかし、お役所でも、大きな災害や事件・事故は滅多に経験しないので、そういう事象にぶち当たるのは、前回の事案を経験した職員が定期の人事異動で異動したり、退職したりして、いなくなってからということが少なからず起こります。
それで、未経験の職員たちが、自身の経験などを踏まえて対応することになるので、実は、お役所の危機対応は、常に素人対応を余儀なくされているのが実際です。
電線を切る…送電を切って、暗闇にして犯人グルーブの行動を制約するのか、それとも、鉄球スイングの支障になる電線を物理的に撤去するのか。
いわゆる「放水作戦」の水源(ひょうたん池)に配置になった部隊は、お腹がすいたのか、指揮無線の回線を使って、警備本部に弁当の催促をしたりもします。
現場のドタバタ、ゴタゴタは、際限なく続きます。
ましてや、せいぜいか投石か火炎ビンなどで、いかに警察組織といえども、銃撃の洗礼を受けることの経験のなかった当時としては。
(大盾を二枚にしたら、ライフルの銃撃でも大丈夫でない?―などなど)
本作での(いかにも官僚組織らしい?)地方・長野県警と中央・警察庁とのちぐはぐや、現場の混乱などは、その現れ―そして、製作陣の取材の肌理(きめ)細やかさと受け止めました。評論子は。
その一方で、それまでの経験を活かして何とか事態を打開しようとする現場警察官(機動隊員)たちの奮闘ぶりは、光っていたのではないかとも思います。
そういう意味でも「つくりの良い」作品であり、評論子としては好評価としているところです。
1970年代の「連合赤軍」の起こした一連の事件は、何だったのだろう!
前から観たいと思っていました。
録画してあったのを観ました。
この映画を観ただけでは、連合赤軍のことは殆ど分からないです。
事実に即している、
だから殆どドキュメンタリー映画です。
犯人の姿も肉声も全く聞けない。
犯人は、壁に開けた穴から機関銃の先っぽを出して、
時々発砲する。
殺された機動隊長さんは完璧に狙い撃ちされた。
あさま山荘事件は1972年2月29日から10日間犯人たちが山荘に
籠城して、警察もマスコミも国民も我慢の限界で、
10日後にようやく犯人逮捕され人質は無事生還する。
3名死亡(警官2名、民間人1名)
負傷者27名。
この映画は当時この事件を指揮した警視庁の佐々淳行さんの著書
『連合赤軍「あさま山荘事件」』を原作にして、それを忠実に
再現している。
映画はストーリーの進み具合が遅く、突入までが長くて、
かなりイライラする。
犯人側が、ときたま銃撃する以外に反応がなくて、描写が警察側だけ。
よって面白味にも欠けます。
連合赤軍は当時、警察に追い詰められて、山岳地帯で内ゲバに暮れて、
「総括」の名の下に12名を殺害、逃走した永田洋子他は東京で
逮捕されている。
残ったこの事件の主犯格・坂口弘他4名は、銀行強盗と銃砲店銃撃で、
資金と武器を確保。
逃走の途中道に迷い「あさま山荘」に籠城する。
《連合赤軍が起こした事件》
よど号ハイジャック事件
1970年3月31日~4月3日。
(犯人は北朝鮮に亡命)
岡本公三・テルアビブ空港(イスラエル)乱射事件。
1977年5月30日。
(死者26名)
この時代、テロ組織と言っても過言でない「連合赤軍」のテロ行為。
なぜ易々と成すことが可能だったのか。
政府の弱腰もあるが世界的な風潮でもあった。
国家に途轍もない損害を与え、最高幹部の重信房子は、逮捕服役して、
今は満期で自由の身となっている。
あさま山荘事件の犯人も死刑囚ながら生存している。
岡本公三でさえイスラエルで英雄扱いされており存命。
どのような組織・シンジケートでこのような事件が可能だったのか?
真相は未だに闇の中。
そんな時代だった・・・
そういう言葉で片付けられない遺恨を残している。
他にも、
ダッカ日航機ハイジャック事件。
1977年9月28日。
(身代金600万ドルと日本赤軍メンバーの釈放)
この事件の余波として、バングラデシュ軍のクーデターが起きた。
佐々役の役所広司が格好いい、
こんな事件が1970年代に起こった記録として貴重な資料です。
立ち向かった者たちの等身大の姿
コメディタッチで描いているので見やすい作品。
加えて印象に残るのは犯人側の弾薬の多さ。なくなる様子がない。
基本にあるのは警視庁と長野県警の対立。最後まで一体になることはない。
それに指揮系統の混乱。
役所広司の役以外が有能にみえない…
あの有名な鉄球の案、突然出てきたけれどこのアイデアが出てくる過程などもう少し見たかったかも。
後藤田長官役の藤田まことがさすがの存在感で良かった。
トータルの評価が低いのには驚かされる。
この作品は想像以上に面白い。驚くべく俳優陣にそれを凌駕する演出力に舌を巻く。タイトルから受ける印象を遥かに超えたエンターテーメント性はドキュメンタリックと言うよりドラマティックな作りに起因している。無条件にお薦めです。さらに🎦実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)とセットで見れたらなおよく、見る順番は本作品をあとの方がより楽しめると言う事だけは進言しておきたい。天海祐希が利いてる‥・・💖
終始緊迫感があるのかと思っていたが、それ以外でもエンタテインメント...
終始緊迫感があるのかと思っていたが、それ以外でもエンタテインメント性にも富んでいて観やすくよかった。
未熟な組織内の対立やそれぞれの人間的な部分もよく出ていたと思う。
本作と「実録連合赤軍、あさま山荘への道程」を是非ともセットでご覧下さい
今年2022年は、本作で描かれるあさま山荘事件からちょうど50年の節目に当たります
本作は2002年の公開
つまり事件から30年目の節目として撮られた作品というわけです
テロリストと警察との対決
その視点で描かれています
犯人達連合赤軍の考え、彼等の立場や状況などのことは本作ではどうでもよく、単に武装テロリストとの攻防戦のみを描いていますから、連合赤軍のことは切り放なされて、普遍性のある映画として成立しています
テロリストの連合赤軍の側の視点
彼等が何故あのような事件を起こしたのか?
何者だったのか?
それは若松孝二監督の2008年の映画「実録連合赤軍、あさま山荘への道程」をご覧いただければ良いでしょう
本作とその作品をセットでご覧になられることを強くお薦めします
まず本作より先にそちらご覧頂き、続けて本作を鑑賞される順番がよろしいかと思います
その方が当時の状況や背景をより深く理解できるので、より本作を楽しめると思います
そして「実録連合赤軍、あさま山荘への道程」での暗澹たる思いを、本作が与えてくれるカタルシスで断ち切ることができるとおもいます
監督は原田眞人
「ガンヘッド」のようなガッカリ映画ではありません
十分に楽しめ、見応えもある映画です
役者達も一流俳優で、演出も撮影も水準以上です
大満足です
原作は本作の主人公、佐々淳行警視正(事件当時)の著書「連合赤軍「あさま山荘」事件」
この人はその後、初代内閣安全保障室長にもなられた、本当に超がつく優秀な方です
そして人間的魅力のあった人でした
その彼を役所広司を演じます
その特に優秀な人材を、上手く使いこなす後藤田警察庁長官を藤田まことが演じます
あのカミソリ後藤田という渾名がなぜついたかがよくわかります
あのような切れる人に使われて、役職以上の権限を与えられて存分に働ける幸せ
有能な同僚と互いの能力を認めあい、困難に立ち向かう充実感
この特に難しい仕事を仕切れるのは、どれだけ他に沢山人間がいても自分しかいないという自負心と高揚感
そして一抹の不安
それらが見事に表現されています
大きな組織で、もみくちゃにされている人には、あるあるシーンの連続だとおもいます
佐々淳行氏は既に故人
2018年秋に87歳で永眠されています
あさま山荘事件の当時は42歳でした
ヘラクレスの選択
敢えて困難に立ち向かっていくこと
同じ様に困難に飛び込む
いや、上からの指名で否応なしに投げ込まれる世代にとっては、共感と教訓と参考になることばかりです
佐々淳行氏のベストセラーになった著書「危機管理のノウハウ I~III」は新入社員の頃からの愛読書です
これから大きい組織の上級幹部を目指す方、そのスタッフに就く方には、必読書と言えます
必ず役に立ちます
お薦め致します
【”ヘラクレスの選択と、彼が信念を持って突き進んだ道”】
ーこの事件において、殉職されたお二人の警察官の方に、哀悼の意を表します。-
■今作の印象
・警視庁から浅間山荘人質事件を解決するために派遣された佐々(役所広司)達に対し、主導権を取られたくない長野県警との確執の描き方。
どこの組織にも、こういう事はあるのだろう。
第一は人質救出であり、面子は二の次だろう、と思いながら鑑賞・・。
・スクープを狙うために、集まる報道陣達の姿。立て籠もりがが長引く中、いら立ちを隠せない姿。
何時の時代でも、愚かしき一部のマスコミ・・。
・革命家を名乗る連合赤軍の姿と人質になった女性の姿を再後半まで、一切写さない手法。
- 銃口にフォーカスした映像。次々に凶弾に倒れる隊員たちの姿。緊張感が増す。ー
・最前線の佐々達と、東京警視庁本部との温度差の描き方。
- 篠井英介が演じる兵頭参事官の、愚かしき言動。-
・佐々と宇田川(宇崎竜童)との関係性を始めとした、男同士の絆。死を覚悟して、犯人たちと最前線で対峙する内田、高見隊長たちの姿・・。だが、・・。
- 東京の警視庁本部の、世間体を気にする輩の愚かしき姿との対比。近年、同じような映画を観たな‥。「Fukushima 50」ー
・どのような状況でも、ユーモアを忘れない佐々の姿。そして、決死隊結成の際に、率先して隊を率いる佐々を役所広司が、流石の演技で魅せる。
キツイ状況だからこそ、トップはユーモアと”無理した”余裕を部下に示す事が必要なのである事を、改めて学ぶ。
<愚かしき”自称革命家”と対峙する警察の姿を、上記の様々なシニカルな視点を織り込んで、原田眞人監督が描き出した作品。
オリジナル脚本で、骨太なテーマに取り組んでいる原田監督は、貴重な邦画監督である事を再認識した作品でもある。>
役所さんゲーですな。
警察庁のキャリア組と現場の長野県警の指示系統の混乱を上手く表した作品だと思います。
アマプラで対象だったのですが、本当に見る価値アリでした!!
改めて役所さんの演技力の高さに脱帽ですw
ヘラクレスの選択
そりゃ「ダーティハリー」観たいよ、生き残って「フレンチ・コネクション」も観たいよ!!
怒る側と怒られる側、普通に働き職に就く者ならば大小あれど誰もが経験する事柄である訳で、共感できる場面が大いに。
劇的にドラマティックに感動を炙り出す、そんな過剰な演出は皆無な、突入するまでの緊張感の無さ、物語の展開も一定に保ち、全体的にコミカルな印象が残るが、それこそがリアルで現実的なのだと。
役者もそれぞれに演じるワザとらしさを感じない、普通さに好感が持て、生と死の狭間と緊迫した現場に、より人間らしさが描けている原田眞人の巧さ。
長野県警の人達は本作を観て、あまり良い気分にはならないような?だからこそノンフィクションでありながらのフィクションってな、謳い文句なのだろうか?
人質を必ず生きて救出すること・・・。1635人の男たちにとって、それは絶対の使命だった。
2020年5月24日
映画 #突入せよあさま山荘事件 (2002年)鑑賞
1972年の連合赤軍5人による人質籠城事件の映画化
事件のことはあまり知らなかったので、警察官が2人死んだとか、山荘は河合楽器の保養所とかへーと思った
警察内部の権力争いはいつものことだからそんなに目新しさはなかったけど
このジャンルは原田眞人の右に出る者はいない
個人評価:4.0
あの有名な事件の攻防を、緊迫感とスリリングさを織り交ぜながら描く名作。警察の管轄争いや、維持とプライドを上手く盛り込み、とても映画的に描いている。
役所広司もはまり役の指揮官で、原田眞人作品にとても馴染む。
こういった半ノンフィンションの事件モノは、原田眞人の右に出る者はいない。
・最後の最後まで観るテンションは下がらず ・緊迫感が100%じゃな...
・最後の最後まで観るテンションは下がらず
・緊迫感が100%じゃなくて、ところどころでほっこりできたから精神的に助かる
・ゴチャゴチャするとこっちも不安よ
昭和の大事件を知る作品
終始、警察側からの視点で描かれ、一切犯人側の視点は無く、当時の現場での状況をリアルに感じられます。
事件の名前しか知らず、
事件を把握して鑑賞しました。
私のように事件対して知識の浅い方は、
一度ググってから鑑賞されることを
是非おすすめします。
この作品をより味わえると思います!
いい企画
50年代、60年代の娯楽大作の趣きがあって、単純にワクワクする。
日本映画もっとこういうのやればいいのに…今の観客には求められてないんですかね。
原田監督は「日本のいちばん長い日」が食えなかった前科があったけど、これは楽しめた。
連合赤軍側からの視点としては、若松監督版を観ればあさま山荘事件が立体的に補完されそう。
役所広司、いい
若松監督のあさま山荘見てから見た。確かにこの映画では山荘の外側しか描かれていない。でも1本の映画で両方は無理だと思った。当時、小学生だった私もテレビの生中継の映像はよく覚えている。県警と警視庁の対立、連絡系統の混乱の中で、役所広司演じる佐々の明るさと(昭和的)ホモソーシャル的行動には笑えたし救われた。
警察しか活躍しないご都合主義映画!
TVのBS放送で見ましたが、冒頭から必要無い人やシーンばっかり
そんな中、この映画で腹が立った事が色々あります。
強行突入前、警察の議論で撃っちまえとか物騒なセリフばっかり
国民が怒ってるとか過激な発言など
さすがに発砲シーンは凄かったけど、それ以外は必要無いシーンばっかり
放水、敵地の家を巨大な砲丸で破壊、警察同士の喧嘩、催涙弾、拳銃の発砲、弾圧など
そしてクライマックスの強行突入で連合赤軍のメンバー確保。
もうはっきり言いますよこの際、この映画はあまりにも酷過ぎる。
事件関係なら警察ではなく探偵に任せて欲しい。
今年劇場鑑賞した姫川班(映画ストロベリーナイト)より出来が悪い。
作戦・行動・計画など全て姫川班以下決定です。
もう二度と放送しないで欲しい。
それから、この映画が前向きな作品とかいうけど
全然前向きじゃないよ!
最後に、連合赤軍のメンバーかわいそう。
こんなことなら連合赤軍のメンバーと市民を大事してると威張ってる警察と
戦争すればよかったのに、色々と残念。
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