劇場公開日 2002年5月11日

突入せよ!「あさま山荘」事件 : 映画評論・批評

2002年5月1日更新

2002年5月11日より丸の内東映ほか全国東映系にてロードショー

警察内部の攻防を描き現代の政治状況を挑発する

映画の題材は30年前のあまりにも有名な事件だが、このドラマには歴史に縛られない現代的な広がりがある。原作には著者の回想を通して、「あさま山荘」に至る連合赤軍の軌跡が綴られているが、映画の彼らはほとんど姿なき存在である。ドラマが描くのも、連合赤軍と日本警察の攻防ではなく、警察内部の攻防だ。

主人公佐々が遂行しようとするのは、警察の縦割り主義に対する「FBI式警備指揮官」の任務であり、原作で著者が「四半世紀早すぎた」と語るその任務は困難を極める。映画は「KT」と同じように、現場の状況を緻密に再現しつつ、この主人公をめぐるドラマにフィクショナルな膨らみを持たせている。

FBI式とはいえ、実質的な指揮命令権はあくまで長野県警察本部長にあり、警察庁長官からは武器使用などに関する足枷をはめられ、県警警備部は警視庁の応援部隊に反発し、指揮系統は激しく混乱する。映画は、台詞も聞き取れないほどの緊迫した対立や情報収集、陽動作戦、突入の段取りをめぐる悲喜劇を巧みに織り交ぜ、内部の攻防を浮き彫りにする。

そんなドラマは、「金融腐蝕列島 呪縛」のような同時代性を持ち、現代の政治状況すら挑発するパワーと魅力を放っているのだ。

(大場正明)

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