アバウト・ア・ボーイのレビュー・感想・評価
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原作とは随分とラストが異なることにビックリ!
他人同士のオジさんと少年が固い絆で結ばれていく本作は、史上最低なお下劣コメディ「アメリカン・パイ」の米国人監督ワイツ兄弟による英国進出作でもあった。彼らは彼らなりに、「アメリカン・パイ」の二番煎じに甘んじることなく胸張って次ステージに進みたかったのだろうし、そこに従来と異なる役を望んだヒュー・グラントと、天才子役、そしてニック・ホーンビィの原作という要素が惑星直結のごとく綺麗に並んだことによって、この伝説的コメディが誕生したわけである。とはいえこの映画はクライマックスが原作と大きく異なる。「キリング・ミー・ソフトリー」など出てこないし、原作ではニルヴァーナのカート・コバーンの死がフィーチャーされていることはちょっとした驚きだ。90年代前半に限定されていた物語を、ワイツ兄弟は手際よく切り開き、いつの時代にも普遍的なコメディへと作り変えた。その大胆な決断もまた、二人の立派な功績と言えそうだ。
【印税生活で悠々自適の独身男が、不純な動機でシングルマザーを狙った事から起きる母思いの少年との交流で、真の大人になるヒューマンコメディ。ニコラス・ホルト少年の可愛さ全開作品でもある。】
■父の唯一のヒットしたクリスマスソングの印税収入で働かずに自由な生活を送る38歳の独身男、ウィル(ヒュー・グラント)。
彼はある日、シングルマザーが”落としやすい”事に気付き、シングル親の集いに出る。その関係で、鬱のため自殺未遂をしたフィオナ(トニ・コレット)の一人息子12歳の少年マーカス(スンゴイ可愛い、ちっちゃなニコラス・ホルト!)が現れ、ウィルの充実した独身生活のリズムが乱されていく。
母親想いの聡明なマーカスは、二度と自殺未遂を起こさせないために、母とウィルを一緒にしようと画策する。
そのうちに、徐々にマーカスとウィルの距離は縮まって行く。
◆感想<Caution!内容に触れています!>
・マア、吃驚したのなんの。ニコラス・ホルト主演作は可なり観ている積りだったが、今作は知らなかったなあ。
今や、長身イケメンの英国の若手俳優を代表する人であるが、今作のちょっとぽっちゃりしていて、色白のニコラス・ホルトの可愛い事。
母親と二人暮らしのマーカスが、ヒュー・グラント演じるウィルと堂々と渡り合っているのだから、ホント凄いよ。
・ラブコメディの王様、ヒュー・グラントも流石の演技で、駄目男をいつもの飄々とした演技で魅せている所も、大変宜しい。
・スンゴイ若いトニ・コレットと、レイチェル・ワイズの登場も嬉しかったな。
■今作で沁みるのは、ヤッパリ学園祭で母に聞かせるために、”やさしく歌って”をニコラス・ホルト演じるマーカスが最初は揶揄われながらも、一生懸命に美しいボーイ・ソプラノで歌うシーンである。その健気な姿を見て、ヒュー・グラント演じるウィルもギターで伴奏をしてあげるのである。但し、その後ウィルは、一人で歌い続けて、モノを投げられるんだけどね。
<今作のラストも、一人で生きて来たウィルの家に、レイチェル(レイチェル・ワイズ)と息子アリ、マーカス、ロックなエリーも一緒に居て楽しそうにしている時に、ウィルが”No man is an island"と呟くところもナカナカである。
今作は、印税生活で悠々自適の独身男が、不純な動機でシングルマザーを狙った事から起きる母思いの少年との交流で、真の大人になるヒューマンコメディ。ニコラス・ホルト少年の可愛さ全開作品でもあるのである。>
■先日、「陪審員 2番」で、ニコラス・ホルトとトニ・コレットが容疑者と検察官の役で対峙する姿を見たばかりだったので、余計に感慨深くなってしまったなあ・・。
良い子は分かるね♥シングルマザーはもっと狡猾だよ。
『雨の日と月曜日は』
カーペンターズ
『killing me softly with his song』
ロバータ・フラック
良いなぁ。こう言ったオフビートだが、アドレナリン垂れ流しな出鱈目話♥どうすんだ!?
きちんと人称分けしているのが良いね♥
望むものを得ること、が幸せの唯一の道ではない
数々のラブコメで軽薄なプレイボーイを演じてきたヒュー・グラント。
そろそろそういう役柄を演じるのはミスマッチな年齢になってるんじゃないの?って頃合いが秀逸に機能している。
それでもなおセクシーさは隠しきれていない。
もうとっくに子供がいてもおかしくない年齢にも関わらず、父の遺産管理でモラトリアムを突き進むウィル。
母親の趣味のヒッピースタイル故にいじめられているマーカス。
そんな変な組み合わせの2人がお互いに影響し合って何だかいい感じの巡り合わせになっていく様子は父と子のようであり、兄弟のようであり、友達のようであって何とも微笑ましい。
軽薄な男ではあるのだけど、時に道化に徹することができるウィルの優しさ。
色んなものに感化されながらも心根の部分で母への愛を示せるマーカスの優しさ。
それぞれの不器用な部分を持ちながらも、ドラマチックではない善性の発露が好ましい余韻に繋がる。
ライト・コメディの傑作 「アバウト・ア・ボーイ」
「アバウト・ア・ボーイ」は、人と人が接する時に感じる内心の不安や自分の弱い部分を見透かされないだろうかという不安を、等身大の人間の姿で描いたライト・コメディの傑作だと思います。
この映画の主人公の38歳の独身男ウィル(ヒュー・グラント)は、亡くなった父親が一発ヒットさせたクリスマス・ソングの印税で優雅に暮らすリッチな身分。
一度も働いた事がなく、TVのクイズ番組とネット・サーフインで暇をつぶし、適当に付き合える相手と恋愛を楽しむ、悠々自適の日々を送っています。
ところが、情緒不安定な母親と暮らすマーカス少年(ニコラス・ホルト)との出会いが、彼の生活をかき乱していく----という、非常に興味深い設定でのドラマが展開していきます。
まさに現代ならではのテーマをうまく消化して、ユーモラスで、なおかつ、ハートウォーミングにまとめ上げた脚本が本当にうまいなと唸らされます。
30代後半の独身男の本音と12歳の少年の本音を、それぞれ一人称で描きながら、それを巧みに交錯させていくという構成になっていて、それが、二人の男性、ウィルとマーカスがいかにして心を通わせていくのかが、このドラマに説得力を持たせる上で重要になってくるのです。
そして、これが実にうまくいっているから感心してしまいます。
表面を取り繕う事に長けたウィルは、今時の小学生が歓迎すると思われる、クールなスタイルを本能的に知っています。
マーカスはそんなウィルを慕っていきますが、それだけではなく、ウィルの人間的に未熟な部分が、結果として二人の年齢差を埋める事に繋がり、マーカスはウィルを自分の友達の延長戦上の存在として見る事が出来るようになるのです。
マーカスは彼の持つ性格的な強引さの甲斐もあって、ウィルという良き兄貴を得る事が出来、一方のウィルは、自分だけの時間にズケズケと土足で踏み込んで来たマーカスを、最初こそ煙たがっていましたが、彼と深く接していく中で、次第に"自分の人生に欠けていたもの"に気付かされていくのです。
この映画は、そんな二人の交流の進展に歩を合わせるように、"人間同士の絆や家族"といったテーマを浮き彫りにしていくのです。
日本でも最近は、"シングルライフ"というものが、新しいライフスタイルでもあるかのように市民権を得つつありますが、確かに、お金さえ払えば、ありとあらゆる娯楽やサービスが手に入る時代になって来ました。個人が個人だけで、あたかも生きていけるというような錯覚に陥ってしまいがちな現代。
もっとも、この映画はそんな現代人に偉そうにお説教を垂れているのではなく、むしろ、大半の人間はそんな現代というものに、"不安と寂しさ"を感じ始めているのではないかと問いかけているのです。
だからこそ、この映画は多くの人々が共感を覚え、ヒットしたのだと思います。
そこにきて、ウィルを飄々と自然体で演じたヒュー・グラントという俳優の存在です。
ウィルは、ある意味、"究極の軽薄な人間"として描かれていて、本来ならば、決して共感したくないようなキャラクターのはずなのですが、ヒュー・グラントが演じると、何の嫌悪感もなく見る事が出来るので、本当に不思議な気がします。
ヒュー・グラントは、このような毒気のあるライト・コメディを演じさせれば、本当に天下一品で、彼の右に出る者などいません。
余りにも自然で、演技をしているというのを忘れさせてしまう程の素晴らしさです。
そして、困った時に見せる微妙にゆがんだ何ともいえない表情といったら、他に比べる俳優がいないくらいに、まさしくヒュー・グラントの独壇場で、もう最高としか言いようがありません。
かつての"洗練された都会的なコメディ"の帝王と言われた、ケーリー・グラントの再来だと、ヒュー・グラントが騒がれた理由が良くわかります。
この映画は、そんなヒュー・グラントの持ち味を最大限に活かして、誰もが表だっては認めたくないような人間らしさに踏み込んでみせるのです。
そして、人と人が接する時に感じる内心の不安や自分の弱い部分を見透かされないだろうかという不安を、等身大の人間の姿を通して映し出す事に成功しているのだと思います。
曲が 印象深い 映画。 今や大人
人は孤島ではない
心あったまる作品
空っぽなのは私です
私もきっと空っぽなのだと思う
何の希望もなく働き
それなりの歳で自然の流れに逆らわずに結婚し子を持つ親にもなった
でも人間的に何も成長もしていないし人に誇れることもなく何かの能力に秀でることもない
何かを生み出して人に感動を送るようなこともなくこんな歳までになってしまった
真剣に「自分は何のためにここに居るのだろう?」
と深く悩んだこともなくただ毎日を穏やかに過ごせればと思っている
強いて言えばギャンブルもせず金遣いも荒くはなく月に1度ほど映画館に行けたら嬉しいな〜くらいである
そうなんです、頭の中のほとんどは映画から頂いた知識ばかり
自分が経験した事は100分の1 か1000の1 なんだろうな
監督さんやスタッフの方々、俳優女優さんなどは大したものです
見ている私たちにこれほどの感情を持たせてくれるのだから
作中の空っぽな彼も何かをつかみ未来へ希望を持っていくのでしょうね
ゆるいラブロマンスにぴったりのヒューグラント
ヒューグラント扮する38歳定職も無い独身のウィルフリーマンは、妹夫婦の画策もありシングルマザーも悪くない気がしたが優柔不断だった。一方、ニコラスフルト扮するクラスメートから少し変だと思われているマーカスの母親は情緒不安定だった。ある日、あるシングルマザーが友達の子マーカスも一緒にとウィルのデートに割り込んだ。マーカスを家に送って行くとトニコレット扮するマーカスの母親フィオナが自殺未遂になっていた。ウィルは、一晩マーカスを預かる事になった。マーカスは、家に戻った母親をたしなめた。マーカスは、母親が心配でひとりじゃいつも見張っていられないからウィルを巻き込もうと考えてウィルに食事をご馳走してくれと電話した。マーカスは、母親とウィルは悪くないと思っていた。ウィルは、一緒に来た母親の様子から食事は早く切り上げようと思ったが、果たしてウィルはどうする?
ヒューグラントは、ノッティングヒルの恋人でもそうだけど、ゆるいラブロマンスにはピッタリの俳優だね。でも子供が母親のキューピット役って言うのは、本当にふたりが良ければありがたいかもしれないな。
孤独は潤いに欠ける
主人公の設定が面白い。親の遺産で生活できて、目標も生きがいもなく淡々と一人で生きているうちにアラフォー。本人曰く、「空っぽ」であるが、気にしなければ同じように生きていける。ひょんなことから、このペースに侵入者、面倒な侵入者であったが、「空っぽ」を脱した主人公に、生活の潤いと彩りが。ラストのパーティの人間関係は何か複雑で、この先が楽しみな予感。ヒュー・グラントはこの主人公に適役。
この面倒くささをどう考えるか? 老いの孤独を想像すると考えさせられる。
心温まるヒューマンドラマにして、ところどころクスッとできるコメディ...
心温まるヒューマンドラマにして、ところどころクスッとできるコメディでもある。ハマった。
親のおかげで働かなくてもリッチな主人公が超羨ましい。狙うはシングルマザー。なるほど参考にしたい(笑)
主演のヒュー・グラントはもちろん、めっちゃではなく微妙に可愛い子役ニコラス・ホルトがまた絶妙。物語はこの2人の奇妙な友情を描く。この関係が随所随所で本当に面白いんだ。おちゃらけで笑わせにくるのではない、これぞ真のコメディだ。
恋人だけでなく人には仲間が必要っていう結論が、好んで孤独にはなってない人にはムカつくだろうが、まあ正論。
何かが劇的に変わるわけではないが、そこがまたいいところ。最近観た中ではピカイチの作品でした。
いい意味であっさり
シングルマザー
アメリカの子供の3人に一人はシングルマザー(1千万)だそうですから、現実の社会問題。描き方によっては深刻な社会派ドラマになりかねないテーマを軽妙に描いていい味出しています。
妙に前向きだったり情緒不安定だったりとあるあるシングルマザーの生態と、いい加減だけどどこか憎めない遊び人の絡み合った一風変わったホームコメディです。主人公が愛すべきダメ男俳優のヒュー・グラント、はまり役です、彼なしには成立しえない映画と言ったら言い過ぎでしょうか。子役のニコラス・ホルトの眉がスポック博士にそっくりで可笑しかった。見方によってはシングルマザーへの励まし映画かも知れませんね・・。
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