劇場公開日 2002年9月14日

アバウト・ア・ボーイ : 映画評論・批評

2002年9月17日更新

2002年9月14日より日劇3ほか全国東宝洋画系にてロードショー

モラトリアムな30代の胸をチクリ!

「人間はみな孤島。でもって、僕はイビサ島だ!」と絶叫する38歳の無責任男ウィルが、悩める12歳のマーカスとの交流を経て、「人生に欠けていたもの」に気づく姿を描く物語。

ふたりの出会いが出色。ベジタリアンの母親が焼いた石のように堅いパンで池の鴨を殺したマーカスをウィルがかばうのだ。「こんなことあり?」とツッコミ入れたくなる瞬間だが、ダメンズなウィルの優しさに気づくマーカス。大人になり切れない38歳と、人生を達観する12歳が奇妙な絆で結ばれていく過程は、「マイ・フェア・レディ」的(恋愛パートはのぞく)でもある。ギークなマーカスに流行の靴を買ってあげ、ラップを教えるウィル。ウィルの恋を応援するマーカス。友情とも父子愛ともつかぬ二人の関係、そして彼らを取り巻く人々の行動を監督のウェイツ兄弟は皮肉を効かせたユーモアたっぷりに描き出している。おかしさと切なさが混在する味わいに、ついついホロリとさせられた。

「大人になるってつらい」とよく聞くけれど、大人の基準って何? 経済的に自立していて、社会的責任を果たしていて、地域に貢献して……。ダメ、これ以上は思いつかない。誰か教えて! というモラトリアムな30代は胸がチクリとするはずだ。

(山縣みどり)

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