コンドル(1939)のレビュー・感想・評価
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ハワード・ホークス監督の最高傑作の1つ。
南米の港町を舞台に、航空貨物のパイロットたちの生き様を見せつつ、チーフパイロット兼マネージャー(ケーリー・グラント)と踊り子の女性(ジーン・アーサー)のロマンスを描く。 新たに雇ったパイロットが、ベテランパイロットの弟だった機関士を見殺しにした過去があり、しかもその妻(リタ・ヘイワース)は、主人公の元彼女だったというくだりが、物語に高まりをもたらし、起伏を生んでいる。 職人監督ハワード・ホークスの最高傑作の1つ。ケーリー・グラントとジーン・アーサーが安定した輝き。リタ・ヘイワースは、本作が出世作になった。 よくあるメロドラマと言われればそれまでだが、スター俳優が最高の輝きを見せている。通俗的な物語の中にも、品位ある俳優陣が相乗効果を生み出し、飛行シーンの緊迫度も高い。これは実に素晴らしい、上質の冒険ロマンス映画だ。
【危険極まりない郵便飛行士たちの当時の気概ある仕事ぶりと、美しき女性二人との関係性も含めて1930年代の郵便飛行士というプロフェッショナルな日々を送っていた人々を綴った映画である。】
■南米の歌劇巡業を終えたニューヨークのショーガール、ポニー・リー(ジーン・アーサー)は、パナマへの帰路で、エクアドルの小さな港に降り立つ。 定期郵便飛行のパイロットたちがポニーに色目を使うなか、ポニーは空港の支配人、ジェフ・カーター(ケイリー・グラント)に惹かれていく。 ◆感想 ・過去に飛行機事故の際に、ベテラン・パイロットのキッドの弟を見ごろしたパット・マクファーセンが新たにジェフ・カーターの元に来る。 ー それを知っているのはジェフ・カーターのみ。更にジェフ・カーターの妻、ジュディ(リタ・ヘイワース)は彼の元恋人であった・・。- ・だが、そのような状況下でも、ジェフの判断はブレない。 ー 管理者として、パーフェクトな行動、言動が心に沁みる。ポニー・リーが、自身が乗る予定の船を見送る気持ちも良く分かる。- ・ジェフ・カーターは躊躇なくパット・マクファーセンを難しいフライトに選抜する。 ー 一方では、視力に問題がある同僚の飛行をストップさせる的確な判断を下す。リーダーとしての資質は十分である。- <今作は、公開年を考えても、リーダーシップのあり方を顕著に記した作品である。勿論、ジーン・アーサーとリタ・ヘイワースが今作に彩りを齎している事は間違いない逸品である。>
1939年にここまでの特撮!
ジョーが死んでも悲しむヒマすらない。みんなダッチの酒場に戻り、楽しく宴会を始めるのだ。戸惑うボニー・リー(アーサー)だったが、結局溶け込んでしまう。そこでピアノを弾き始めるジーン・アーサーのプレイは吹き替えとは思えないほど。こうした点ではまるで戦場。飛行機乗りが事故のため死んでしまうのは日常茶飯事のようだ・・・ボニーはちょっと立ち寄っただけなので翌朝にはバナナ船で発つ予定だったが、ジェフに魅せられてこっそり戻ってきた。
ダッチの経営する酒場と空輸業は郵便物運送の契約を取るためにあと2週間定期的に確実に成し遂げなければならない。そのためジェフ(グラント)もピリピリしていたのだ。そしてまた新たに飛行機乗りがやってくるという。それがバット(バーセルメス)。偽名を使っていたため誰も気づかなかったが、ジェフの親友キッド(トーマス・ミッチェル)が弟を亡くした原因が、過去にバットがパラシュートで一人飛び降りたためだという因縁があったのだ。それでもジョーを失ったため人手不足。ジェフは雇うことにした・・・
契約のため最後の仕事をやり遂げなければならない。南米の高山を乗り越えたりするプロペラ機の特撮が見事!(1939年作品としてはだが)。クライマックスでは因縁の二人が乗る飛行機にコンドルがぶつかり炎上。燃えながらなんとか着陸するという見せ場がある。キッドはその直撃を受けて首を折ってしまうし、もうハチャメチャ。
印象に残るのは、視力が衰えていたキッドの視力検査。普通の視力検査+、深視力検査の装置が面白い。恋愛模様はバットの妻(リタ・ヘイワース)がジェフの元恋人だったことが明らかになるが、なんだか中途半端。やはり男のドラマをメインにしたかったのだろうけど、下手すると詰め込み過ぎになってだれてきそう。
映像も飛行機も技術発展の黎明期
総合:65点 ストーリー: 75 キャスト: 70 演出: 55 ビジュアル: 30 音楽: 60 まだまだ飛行機が危険な乗り物だった時代。パイロットは一つ一つの飛行依頼にも飛ぶかどうかを議論し命懸けで飛行機に乗り込んだ。 見所は2つ。一つは危険への苦悩と危険に対する挑戦。南米の田舎の小さな飛行場と吹けば飛ぶような小さな飛行機会社の経営を軌道に乗せるのは簡単ではなく、命を賭けるわりに経営は安定してくれない。そしてパイロットが死んだり飛行機が壊れたりしていく。経営者の苦悩は続くが、それでも男たちは勇敢に空に挑んでいく。 もう一つは人間模様。常に危険が付きまとう職場で働く男たちの生き様やら人間関係や、そんな男を待つ女たちの心労や恋愛感情。 1939年製作ということで画像は白黒、飛行機はすぐにそれとわかるセットや模型ということで期待はしないほうがいい。でも画像の良さで売っている映画ではなく人と人のドラマなので、あまり映画の大勢に影響はない。
ハワード・ホークス監督の懐の深さを代表する名作
いろんな要素が盛り込まれたストーリーにもかかわらず、消化不良になることなく、極めて高いレベルで完成されてることに驚き!70年前でもこういう映画が撮れたんだなぁと、観る度に思う。そして、後世に名を残しているとは言い難いのがもったいないと、心から思う。 飛行機乗りの男たちの友情、過去を引きずる男、そして死。こんな男たちに惹かれる二人の女。緊張感を高める飛行シーン。これらの要素を余すとこなく、魅力的な作品に仕上げたハワード・ホークスに脱帽です。 ハワード・ホークスって、コメディ、ハードボイルド、西部劇など、芸風の広い監督ですけど、個人的にはこの作品が一番好きかも(大ファンであるジーン・アーサー出演による加点もあるけど)。どこのレンタル屋にも置いてなかったので、DVDで購入しての鑑賞でしたが、その甲斐があって本当に良かった!!
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