「それしかなかった」めぐりあう時間たち めるさんの映画レビュー(感想・評価)
それしかなかった
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あらすじは読まずに鑑賞。ポスターだけみると、違う時代の女性たちが強く逞しく生きていく話なのかと思いきや…
女性=強いというイメージがあるけれどここに出てくる女性たちは何かに対して苦しんでおり、自分の人生を歩めていない人たちである。観終わった今は、死に方の話なのかなと思った。
特に印象に残ったのはジュリアンムーア演じるローラ。かわいい子ども、妻思いの優しい夫、立派なお家…なにもかも手に入れている現代女子の憧れともいえる存在やと思うけど、心の奥底に秘めた思いがふとした瞬間溢れ出し自殺を決意する。結局、自殺はしなかったがローラは「家族」からにげなければ近い将来自ら命を絶っていただろう。結果的に子どもや夫を不幸にしたが、ローラが生きていくためにはあの選択肢しかなかったんやと思う。裏切った人たちの十字架を背負うことを覚悟しながら自由を選んだローズは果たしてどちらがよかったのか…
ニコールキッドマン演じたウルフも苦しみを抱えた女性。最初、ニコールキッドマンだと分からず…メイクすごいな。この人は最初から理想の死に方を探しているのだと思った。この時代では生きていけないと悟ってたんやろうなあ。メリル・ストリープ演じるクラリッサにしても、リチャードが心の支えであり、人生のストッパーにもなっていたのかもしれない。あんな形で最期を迎えるとは想像していなかっただろう。
心から大切に思ってくれている人がいるにも関わらず死を選ぶ者たち。その選択がどれだけ残された人の心に傷を残すのか。残されたものの気持ちを思うと…なんともやりきれない。
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