劇場公開日 2003年5月17日

「うわ~難解すぎる…」めぐりあう時間たち JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5うわ~難解すぎる…

2019年11月27日
PCから投稿

"
脳と心両方をすごく使うのに、謎が解けない…誰にも共感できず俯瞰で見る映画ほどつらいものはないよね…唯一寄り添えたとしたら、アリソン・ジャネイかな…"

JYARI
JYARIさんのコメント
2023年6月5日

2023/6/5 2回目の鑑賞
ヴァージニア・ウルフの原作『ダロウェイ夫人』を読後に鑑賞した。物語への理解後がだいぶ深まったように思う。
というかほぼ原作ありきの映画で、読まなければ何が起こっているか理解ができない構造とも言える。
初見時は、ヴァージニアを演じていたのがニコール・キッドマンという事実に驚いたが、知った後に観ると、確かにニコール・キッドマンのあの演技に鋭い眼光なのだけど、違う顔立ちの人物が存在することで不思議な感覚になる。唯一無二のこの映画のヴァージニア・ウルフみたいな。

ストーリーとしてもおもしろく、「お花は私が買ってくるわ」で繋がる三人の女性たちのシーンには、鳥肌が立った。
そして明確にヴァージニア・ウルフ、クラリッサ、そして『ダロウェイ夫人』の読者という三人の背景がくっきりと浮き出るシーンで、かなり秀逸だと思う。そして、三者は時空を飛び越えて影響し合う。読者は作者の思想に影響を受け、作者は自分の創造した人物に影響を受けうる。むしろ、この描き方こそが原作の持つモダニズム文学特有の浮流した感覚を表現しているのではないだろうか。
まるでパラレルワールドとも言えるメリル・ストリープ演じるクラリッサの時代では、サリーはパートナーとなって存在するのも良かった。

JYARI