シリアナのレビュー・感想・評価
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世界はこうなっているということ
シリアナの意味がわからないまま、、、ポスターのインパクトすごい、、、最初から難しそうな展開だったので全体は気にせずそれぞれのストーリーを追うことにした。
単純でありもの悲しいのは、パキスタンからアラブ産油国への出稼ぎ労働者、親子の物語。オイルカンパニーの事業統合の関係で油田の仕事を失上親子。美味しいお肉、食事を食べさせてくれる神学校に通い労働と貧困の不安なら束の間解放され穏やかな時間を過ごす若者たち。自然と原理主義的自爆要員となり、今世でも強いイスラム教原理主義のためでもなく来世のためにオイルタンカーに突っ込み、アメリカCIAから流れた爆弾を起動させる。現場に向かうため父親にバス代をねだりなにも言わず抱擁して手を振る息子。この人らが一番大事な人達なのに、原油ディーラーや、CIA工作員や、CIAの偉い人や、石油王の王と王子たち、利権と陰謀に群がるアラブ、中国、カザフ、アメリカのオイルカンパニーの経営陣や弁護士、議員、イランを解放する委員会?
より良い来世に期待しておそらく父母の生活を守るため自爆テロにむかったパキスタンの若者以外は、悠々と堂々と贅沢な暮らしをしながらみんな極度にやばいことだらけなので疑心暗鬼と腹の探り合い。小さな出稼ぎ労働者や邪魔な産油国王族さえもその命はありんこの命ほどにも思わない西側世界の、まあ、アメリカの権力者、ハリボテの権力者たち。
ディーラーは更なる報酬、地位を求めながら、家庭も大事にしながら家族を失い金儲けだけではない社会的正しさも追及しようとしているし上司達にいいようにこき使われるCIA 工作員も大義なき闘いから身の置き所を変えようとする、、、悪い奴らも弱みや恐怖やちょっとした人間味が滲み出て、完璧には理解できていないが絡み合う各ストーリーや人物描写に深みがある。泥臭いジョージクルーニーもよいし老けてなお凛と美しいクリストファープラマーなど役者も一流。元はCIAの手記本とのことで、、まあ、驚くとこは何もないけど世界はこうなっていて、嫌でも私ら一人一人も石油消費者としてかたんしていきていくのだ。
不条理な顛末に胸くそ悪さを感じる
そもそもの内容がかなり複雑な作品。
好きな作風だが、さすがに全体をちゃんと把握したとは言い難い。それでも大筋の理解だけで不条理な顛末に胸くそ悪さを感じることはできる。(作品の狙ったところだとは思うので)
まずこれ巨悪の勝利で終わる。そこがおもさの要因。
あとややこしいのは石油関連だけでなく利権や権力闘争が頭こんがらがるくらい多方面で巻き起こっている。王位、武器、CIA、さらに過激派と思われる集団、そこへ石油取引のアナリストという話でいうと小者を主要キャスト(マットデイモン)にしてるのだから、ややこしくなるが当たり前。
2006公開で中東を舞台にしては題材も的確で、客観性のある描き方をしているなとは思った。この頃ってもっと憎悪丸出しアメリカ正義みたいな雰囲気の作品も多くあったので。
トラフィックに似ていますが・・・及ばず。
中東某国を舞台に、影響力を行使する為に暗躍するスパイとビジネスマンを描く群像劇。
トラフィックを書いた脚本家による作品のようです。成程、少し趣向が似ているように感じます。
夢と理想を語る王子。ビジネスでありながらその王子に共感するビジネスマン。危険な世界に埋もれ、国に見捨てられるスパイ。国のエゴに翻弄される主人公達の悲劇が、淡々と描かれています。
ハッピーエンドではありませんが、薄明かりを感じられるエンディングもトラフィックと似て好感を感じました。
しかし、評価としてはトラフィックより少し下がる印象です。
登場人物に対しての感情移入が、少し難かしく感じたのが原因だと思います。
テロリスト等は描かずに、もう少し主人公達を掘り下げても良かったかもしれません。
うわっ、久しぶりに見た拷問シーン!痛いよぉ・・・
これもまたスタイリッシュな映像。散りばめられたエピソードと若干の時系列操作によって、強烈な印象を与えてくれる。しかし、4人の群像劇風な作りになっている上に、中東におけるわかりにくい石油会社の裏舞台と場所がわからなくなるほどの国際色を出しているため、置いてけぼりを食らってしまうこと必至なのかもしれません。そうです、見事にやられました。これほどまでに理解できなかった映画は久しぶりでした。小学生時代に大人の映画を観てチンプンカンプンだったことまで思い出したくらいです。
アラブの王子が採掘権を条件の良い中国に渡してしまったことに端を発し、米石油会社の合併に関心を抱いた政府とエネルギーアナリスト。そして解雇されたパキスタンの人たち。それぞれの思惑が中東を舞台に蠢いてゆくストーリー。最初はアナリストのマット・デイモンが息子を事故で失うといった悲劇に見舞われるのですが、途中から悲劇の主人公はジョージ・クルーニーへと移っていった。暗殺の失敗もあって、CIA本部からはスケープゴートとして裏切られることになるのです。とにかく拷問シーンは『マラソンマン』や『オールドボーイ』以来の凄さ・・・トラウマになりそうなほど痛々しかったです。
群像劇の面白さは、それぞれの人間がクライマックスで出会い収束するところにもありますが、今までに見たこともないような瞬時の邂逅だったりして、印象に残るシーンでした。それぞれの運命や如何に?!と、会場が明るくなってもすぐには立ち上がれないほどの脱力感を味わえます。
日本だって原油の輸入の9割くらいは中東に頼っている。本当は無関心ではいられないはずなのに、国内に165日分の備蓄があるなどといったことは知らないで過ごしています。70年代のオイルショックのことだって忘れ去っています。しかし、小学生の頃、トイレットペーパー不足になり、トイレに紙がなくて手で拭いてしまったことは忘れられません(嘘です)。
〈2006年3月映画館にて〉
全てはアメリカのために
登場人物の多さやビジネス用語が難解で少しとまどいました。
最終的にはアメリカが利するようにできている世の中を痛烈に批判しつつ、そのドラマの最前線にいる兵隊(将棋の歩みたいな)たちの苦悩や生活を対称的に描いているということがラストにかけて紐解けてきます。
国家、CIA、石油メジャー、イラン王族といったそれぞれの思惑が絡み、遠隔操作して利益を得る側と、遠隔操作される側の葛藤がドライに伝わってきます。
なかなか面白かったです。
やっぱりドキュメンタリー『風』でしかない
石油の利権にまつわる様々な人物模様が楽しめる群像劇。
事実をもとにして制作された映画です。
しかし、作り物の映画なので、
本物のドキュメンタリーには悲劇の度合い、や、状況の危機感は負ける。
映画として見ると、大筋もまとまっていないし、場面もころころ変わるし、人物のどれにも深く寄っていないし、エンターテイメント性が欠けます。
それで、ドキュメンタリーとして見ると物足りない。
人物描写が深くないからですね~
現地にもっと寄り、日々の暮らしの細々したところまで描写して、生活感を出すべきだったのではないでしょうか。
そうすれば映像としての興味深さも出ますし、大筋ももうちょっとスッキリしたでしょう。
状況説明に終始しているので、淡々と見てしまう。残念。
マットデイモンはこの種の(群像劇・勧善懲悪ではない・何も解決しない)台本が好きなのでしょうね。
良く出ている気がします。
これは事実、、、。
総じて見た場合、それほど難解な内容ではないのだが、出だしの30分くらいが少し分かりにくい。アラブ国家と、米国企業との石油利権がらみでいくつかの登場人物のストーリーが同時進行するのだが、その辺のつかみが難しい。恐らく原作をなぞった感じに製作したため、映像が混乱したような印象になっているのかもしれない。人物描写も時間の関係であろうけど、少し弱い。
結局、アメリカの政治経済的陰謀にアラブが翻弄されるという、ある意味ワンサイド的な内容で、社会派的な映画としては弱さを感じたのだが、最後にこのストーリーは実話を基にしているというテロップが出た時、そういう気持ちはなくなった。これが事実であるとすると、話としてはかなりすごい。真実は映画よりも奇なり。
しかしジョージ・クルーニーという人は、結構イケメン系である意味俗な印象があるけれど、「フィクサー」やこの映画のようにかなり骨太な作品に積極的に関わっているようで、今後の作品にも期待できる。今回役作りのためであろう、相当に体重が増えているようで、最初出てきた時、これが彼だと分かるのに少し時間がかかった。
娯楽じゃないけど面白かった
ハリウッド独身貴族で、とにかく女性からモテモテらしいジョージ・クルーニー。たしかに作品選びのセンスからして、毎度というか、この人の作品を見るごとにほんとかっこいい人だと思います。その作品のすべてが面白い訳ではないのですが、なんというか、この人には一貫しつつも柔軟な哲学を感じるんですね。同じ男として憧れます。
本作は、石油をめぐっての中東とアメリカの政治的駆け引きがジャーナリスティック視点で描かれています。情報工作、暗殺、交渉、駆け引きなど、外交の世界で実際にあるであろう要素がふんだんに詰め込まれ、結果だけがすべての世界で生きる人々がドライタッチで描かれている。
アメリカという超現実主義国家が、ラストで下す矛盾を突き抜けた決断が実に恐ろしい。でも、政治ってこういうものなんだろうなと思いました。並みの神経じゃ政治の世界では生きていけません。「普通」から見放された人々を理解しようとしてみるには、この映画はいいです。単純な政治家批判の映画ではありませんし、日本の民放ニュース(とくにあの番組)を見るよりよっぽど健全だし、勉強になります。
ただし、あまりにもストイックかつドライな展開なので、観る人を選ぶ映画ではありますね。典型的な娯楽じゃないけど、仕事に情熱もやす人には一級の娯楽であります。問題のラストに、わたくしの胸には実に冷ややかで、ちょっと危険な爽快感がありました。
社会派映画!アメリカって・・・って感じ
これまた考えさせられる映画です。
事実なのかな・・・って感じです。
相当、真剣に見ないと混乱します。2回見ないとかもです。
ジョージ・クルーニ×マット・ディモンの共演ですが、
俳優よりストーリーです。頭を使うので、フル回転させて下さい。
いわゆる石油問題を取り扱ってます。
難解。
2006年アカデミー最優秀助演男優賞受賞(ジョージ・クルーニー)、ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞受賞(ジョージ・クルーニー)受賞作品。元CIA諜報工作員ロバート・ベアの著書「CIAは何をしていた?」を下に作られた。ベアは、CIAの中東地域による作戦本部の幹部を務めており、その頃の経験を著書に描いている。
CIA、石油産業、産油国の王族達・・・、様々な要素が複雑に絡み合い、それらは全てアメリカの利益に繋がるように導かれています。言って見れば、『汚い』話です。設定は911以降であるが、911以降の世界情勢を踏まえると、非常に興味深い内容になっています。
映画自体は、特に大きな物語があるわけでもなく、上記の様な様々な要素が絡み合って複雑な様相を呈しながら、結末に向かって集約していきます。ああ言う結末とはね。
ジョージ・クルーニーは、役作りのため約13.5Kgほど体重を増量し、中年を迎えたケースオフィサーを演じている。でもねぇ、カッコいいんだよねぇ、やっぱり。
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