シリアナ
劇場公開日:2006年3月4日
解説
「トラフィック」でアカデミー賞脚本賞を受賞したスティーブン・ギャガンが、全米ベストセラーとなったノンフィクション「CIAはなにをしていた?」(新潮社刊)を元に映画化した社会派群像劇。CIA工作員、アラブの王族、米国の石油企業、イスラム過激派テロリストら石油利権の周辺にうごめく人間たちの運命をドキュメンタリータッチで描く。ウィリアム・ハートやクリス・クーパーといったアカデミー賞俳優が脇を固めるほか、アマンダ・ピート、クリストファー・プラマーらが共演。
2005年製作/128分/アメリカ
原題:Syriana
配給:ワーナー・ブラザース映画
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2022年7月19日
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鑑賞方法:VOD
シリアナの意味がわからないまま、、、ポスターのインパクトすごい、、、最初から難しそうな展開だったので全体は気にせずそれぞれのストーリーを追うことにした。
単純でありもの悲しいのは、パキスタンからアラブ産油国への出稼ぎ労働者、親子の物語。オイルカンパニーの事業統合の関係で油田の仕事を失上親子。美味しいお肉、食事を食べさせてくれる神学校に通い労働と貧困の不安なら束の間解放され穏やかな時間を過ごす若者たち。自然と原理主義的自爆要員となり、今世でも強いイスラム教原理主義のためでもなく来世のためにオイルタンカーに突っ込み、アメリカCIAから流れた爆弾を起動させる。現場に向かうため父親にバス代をねだりなにも言わず抱擁して手を振る息子。この人らが一番大事な人達なのに、原油ディーラーや、CIA工作員や、CIAの偉い人や、石油王の王と王子たち、利権と陰謀に群がるアラブ、中国、カザフ、アメリカのオイルカンパニーの経営陣や弁護士、議員、イランを解放する委員会?
より良い来世に期待しておそらく父母の生活を守るため自爆テロにむかったパキスタンの若者以外は、悠々と堂々と贅沢な暮らしをしながらみんな極度にやばいことだらけなので疑心暗鬼と腹の探り合い。小さな出稼ぎ労働者や邪魔な産油国王族さえもその命はありんこの命ほどにも思わない西側世界の、まあ、アメリカの権力者、ハリボテの権力者たち。
ディーラーは更なる報酬、地位を求めながら、家庭も大事にしながら家族を失い金儲けだけではない社会的正しさも追及しようとしているし上司達にいいようにこき使われるCIA 工作員も大義なき闘いから身の置き所を変えようとする、、、悪い奴らも弱みや恐怖やちょっとした人間味が滲み出て、完璧には理解できていないが絡み合う各ストーリーや人物描写に深みがある。泥臭いジョージクルーニーもよいし老けてなお凛と美しいクリストファープラマーなど役者も一流。元はCIAの手記本とのことで、、まあ、驚くとこは何もないけど世界はこうなっていて、嫌でも私ら一人一人も石油消費者としてかたんしていきていくのだ。
2022年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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○作品全体
物語の主軸にいるCIAのボブ・バーンズ、スバーイ王子に近づくアナリストのブライアン・ウッドマン、石油会社の合併調査を行う弁護士のベネット・ホリデイ、中東の青年・ワシーム。いずれもそれぞれの立場から中東の世界と関わり合うことになるが、根幹では繋がりがあった。
全体像を把握することがなかなか難しい作品だったが、その難解さの理由でもあり、かつこの作品の面白い部分が「同じ組織内ですら対立や独立がある」と言うことだろうか。CIA内部でいえば、本部長は副長官とは独立した指揮系統でスバーイ王子暗殺を目論むが、ボブが暗殺に失敗したことを副長官へ報告する本部長は素知らぬ様子でそのことを報告し、指示を仰ぐ。ボブの視点で物語を辿っているとボブ同様、誰の指示で動いているのか霧がかかったような状況になる。作品を見ている私たちにも誰かの思惑という霧に包まれる。この感覚が面白い。
ベネットとその上司であるホワイティングの関係は石油会社の合併調査のポジションだけかと思いきや、ホワイティングはその合併を推し進めること、そのために親米派の王子を立てることを目的とする黒幕だったというのも面白かった。ベネットの視点から見ているだけでは気づけない策略だ。
この複雑で、多層化された思惑は突きつめてしまうと「アメリカのために」だろう。CIA、石油会社、ホワイティング、そしてその全ての後ろにあるアメリカという国が、自己の利益を獲得するためにそれぞれを駒として使っている。
しかしその目論みはラストでワシームによる自爆テロで大損害を被ることになる。ワシームが石油会社の合併のせいで首になり、過激派とつるむことで引き起こされる大損害だ。それもアメリカ製の武器によって、というのが「ドラマ」でもあり、実際同じようにアメリカ自身が根源となって生み出すテロリズムの「ノンフィクション」なのだろうと思った。
一方でブライアンとワシームは被害者でもあり、加害者という役割なのかもしれない。両者に共通するのは「生活」という要素だろう。
ブライアンはプールの感電事故で息子を失った。それによる家族との不和も含め、中東の世界に踏み込んだことで(偶然であれ)自身の「生活」に被害を被っている。ただ、アメリカを間に通さないパイプラインをスバーイ王子へ提言したことはスバーイ王子殺害を決定づける提言だったのではないだろうか(スバーイ王子が親中思想が元からあったというのも大きいが)。
ワシームはわかりやすい。職を失う、つまり生活に危機という被害を被り、持て余す時間のなかで過激派組織の人間と関わりを持つ。最終的には石油会社を攻撃する加害者へと生まれ変わってしまった。
アメリカと関わりが薄い人物でさえもアメリカが引き起こす中東の勢力争いに巻き込まれてしまう。その象徴たる人物がこの2人なのだと感じた。
本作の監督であるスティーヴン・ギャガンはワシントンポストで『シリアナ』という言葉を「自らの欲求に合うようあらゆる地域を作り変えたいという、人の永遠の希望を表す偉大な言葉」と話したのだとか。
誰かが欲求通りの世界を追い求めた結果、その代償を負わされる誰かも必ずどこかに存在する…群像劇として登場人物の繋がりが特徴的な本作を題するに相応しい言葉だ。
2021年10月20日
Androidアプリから投稿
作品中に、説明や解説等が無く、物語、内容に付いていけず…
これは、映画でなく、小説向きだと思う。
2021年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
そもそもの内容がかなり複雑な作品。
好きな作風だが、さすがに全体をちゃんと把握したとは言い難い。それでも大筋の理解だけで不条理な顛末に胸くそ悪さを感じることはできる。(作品の狙ったところだとは思うので)
まずこれ巨悪の勝利で終わる。そこがおもさの要因。
あとややこしいのは石油関連だけでなく利権や権力闘争が頭こんがらがるくらい多方面で巻き起こっている。王位、武器、CIA、さらに過激派と思われる集団、そこへ石油取引のアナリストという話でいうと小者を主要キャスト(マットデイモン)にしてるのだから、ややこしくなるが当たり前。
2006公開で中東を舞台にしては題材も的確で、客観性のある描き方をしているなとは思った。この頃ってもっと憎悪丸出しアメリカ正義みたいな雰囲気の作品も多くあったので。