劇場公開日 2007年5月1日

「悪を見極めるヒーロー像」スパイダーマン3 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5悪を見極めるヒーロー像

2020年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

脚本に「スパイダーマン2」に続いて、「ジュリア」「ペーパームーン」のアルヴィン・サージェントが加わり、アクション映画に説得力のある恋愛ドラマが加味されている。前作の若者らしい私生活の苦悩から、今度はピーターとメリーの恋の行方を温かく見詰める作家の視点が快い。それは主人公の安アパートの壊れかけたドアのシーンに込められている。三度ほど現れるが、最後にメイおばさんが現れ、ドアの修理をピーターに促す。心のドアを閉ざしていてはメリーへのアプローチも上手くいかないと諭すシーンになっている。リフレインの変化と、台詞で説明しないで目に見えるもので描く、映画的な表現になっている。
また、適役サンドマンの扱い方に、アメリカの政治に対する批評が感じられた。大国アメリカの威厳保持で見逃しがちな、キリスト教に基ずく人道主義による悪の救済について。許すべき罪と許されざる罪の見極めが出来てこそ、人であれ国であれ英雄の条件ではないかと、当時のアメリカのイラク政策に疑問を投げかけているように思えて仕方ない。

Gustav