恋愛適齢期 : 映画評論・批評
2004年3月15日更新
2007年3月27日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
芸達者2人の共演で恋する男女の滑稽さが倍増
熟年のラブストーリーはこれまでもなかったわけじゃないが、これは爆裂オモシロすぎ! 30歳以下の女としかつきあわない“究極の独身男”と、その恋人の母親である劇作家。価値観の違う2人が、好きになるはずのなかった相手に惹かれていく。まさにロマコメの王道を行く展開だが、その主人公をジャック・ニコルソンとダイアン・キートン演じる熟年男女にすることで、恋する男女の滑稽さが倍増。熟女の裸を見てしまった男の困惑に爆笑させ、生殖機能の衰えさえもSEXのメリットとして喜ぶ姿に苦笑させる。という具合に、このところ、ときとして鼻につきがちだったニコルソンの怪演も、今回は老いらく寸前の恋のひとコマひとコマに素直に笑い転げさせてくれるばかり。
それでいて、主人公たちが心を通わせあう海辺でのやりとりは、プライベート映像でも見るかのようなナチュラルさ。いくつになっても微笑ましい恋愛初期の恋人たちのときめきや、恋の切なさを鮮やかに浮かびあがらせるのは、主演の2人の力が大。唯一の弱点は、彼らと絡むと、キアヌの大根ぶりがくっきりすること? いや、キアヌ・ファンは、そんなことよりも、彼が演じる青年医師が、母親の年齢ほどの女性にときめく展開のほうが気になってしょうがないか?
(杉谷伸子)