劇場公開日 2001年2月3日

ペイ・フォワード 可能の王国 : インタビュー

2001年1月24日更新

「ペイ・フォワード/可能の王国」

ケビン・スペイシー インタビュー

編集部

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「僕たちが求めていたパワフルなラストになった」

昨年、「アメリカン・ビューティー」でアカデミー主演男優賞を受賞し、“演技派”という枕詞がますます板についたケビン・スペイシー。全身火傷を負った過去を持つ中学教師ユージーンを演じるにあたって、どんなアプローチをしたのだろうか?

「まず、自分の顔を焼かれるということは一体どのようなことなのかを理解しようとしたんだ。何年もかかって皮膚移植をするのはどんな経験だったのだろうか、どのように傷つき、どのように生きてきたのか、どうすれば再び人を愛することが出来るようになるのか……。これらが前提としてまずあって。その上で彼が選んだ職業が中学校の教師なんだよね。毎日自分を“化け物”呼ばわりする残酷な子供達の前に立つんだ。これは決して安全な職業じゃない。とても勇気のいる選択だ。では、なぜそんな職業に就いたのか。おそらく彼は、(中学生という)自分の人生で盗まれた時期を過ごしたかったんじゃないかと思う。彼の受けた傷は深い。だからこそ、同じ問題を抱えている子供の目からそれを読みとれるかもしれない。彼は、自分が救うことができる、何か与えることが出来る職業を選んだんだと思う」

こうして内面的に役に入り込んでいく一方、毎日撮影現場で施す火傷の特殊メイクも大きな役割を果たした。

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「一番大変だったのは、彼の精神状態に起きていることを火傷の跡で伝えるということ。それをメイクの人に理解してもらうのには苦労したよ。僕は映画のある時点で、火傷がほとんど分からないようにしたかった。観客に、火傷を超えて彼を見てほしい、そして彼を応援してほしいと思ったんだ。映画の中の彼が絶対にできないことだったからね。毎日、顔や手だけで5時間半、胸のメイクはさらに3時間かかった。だけど僕はそのプロセスを絶対にハーレイに見せなかった。他の子供たちに対しても同じ。彼らには、映画の撮影中に『メイクで火傷を作ってる』なんて気持ちを持ってほしくなかったんだ」

ここまで役に入り込んでいれば、賛否両論を巻き起こしている本作のラストについても、独自のこだわりがあるはず。

「『本当に正しい終わり方なのか?』、『人々が受け入れてくれるだろうか?』などの疑問がたくさんあった。でも結局原作もそうだし、最終的には『これが正しいんだ』と自然淘汰されていったね。わざとらしいハリウッドの映画的な終わり方じゃなく、僕たちが求めていたパワフルなラストになったと思ってるよ」

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