ミスティック・リバーのレビュー・感想・評価
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演技力演出力の高さ
まず名優3人の凄まじい演技力には世界観にどっぷりと浸からせる力がある。
物語の骨格がはっきりとしていて、なんでこうなっちゃうんだろうと考えても、確かに自分がこの人物ならこの行動をとってしまうかもな。というように、ツッコミどころが無いとても緻密な映画。見応えあり。
三人の幼なじみと三組の夫婦の物語
見終わった後に残るこの圧倒的な重さ
良い映画を観た余韻がこのように重い映画は久しぶりだ
その重さは胸が張り裂けそうなくらいだ
自然と涙が一粒でた
三人の幼なじみ、25年の時の流れは三組の夫婦に変わる
一組は夫を理解出来ず信じず、夫は妻を頼ることをあきらめており互いに孤独
もう一組は、互いに弱った時には助けあい、致命的な間違いであっても動機が感情として納得できさえすればそれを許し肯定してあげられる本当の夫婦
最後の一組は妻が家出状態、意志疎通すらままならない
頼れる存在は妻ではなく仕事の相棒
結末だけでなく取り巻く人間関係の重さがそうさせるのだ
三組三様、誰しも自分のパートナーとの関係性を投影してそのシーンごとに彼らの痛みが共有されてしまう、本作の重さはその重さなのだ
出演者全員が素晴らしい名演で物凄い
その中でもショーンペンとティム・ロビンスの熱演は見物だ
演出もカメラが俯瞰して天から見下ろす視点が効果的に使われる
特にデイブが車で連れ去られる繰り返し は強烈な印象を残した
人生を半ばまで来て、パートナーと長く暮らしていてこそ本作の重さはより重くあなたの心に伝わるはずだ
一つひとつのことが
さすがクリント・イーストウッド。
観終わった後、しばらくは心が映画の中に引き込まれてしまう。
「あの時そうしていれば…」
「もし、〜していなかったら…」
一つひとつの選択が、運命の歯車を狂わしていく。狂わされていく。
子どもの頃は仲良く遊んでいた3人。ある出来事のせいでバラバラになり、何十年後かにはお互いが全く違う立場となって再会するなんて、誰が予想しただろうか。
さっきまで隣を歩いていたのに、気がつけば隣にはもう誰もいなくなっている。
人生なんて、一瞬にして何もかもが変わってしまうのだと怖くなった。
運命はあまりにも非情で残酷である。
赦される罪
イーストウッドの演出が良いとはあまり思えないし正統派な感じに撮った全体的な話運びに単純とも取れる伏線の回収。
特に K・ベーコンの私情は物語と関係無いし寧ろ蛇足で演技もオーバーで存在感も薄く意味が無い!?
理不尽にも思える赦されてしまう罪を背負い家族も守り自分の手で崩壊させてしまった家族の面倒を陰ながらフォローして表の顔と裏の顔を持ちながらしか生きていけないジミー・マーカムの後姿に背中が渋い。
S・ペンの演技と役柄があってこその作品。
人生の俯瞰、運命の達観
決定的に損なわれてしまったデイヴ。何よりも尊い存在を損なわれたジミー。損なわれつつあるものを抱えているショーン。
少年時代の書き込みがやや浅いことは否めない(この点、原作に完全に負けている)が、そこは、役者でもっている。
ティム・ロビンスとショーン・ペンは極めて妥当な選択だが、隠れたファイン・プレーはむしろケビン・ベーコンだろう。『インビジブル』や『ワイルド・シングス』といったB級映画においてもそうなのだが、彼は際どいところで作品を救う救命士のような活躍を見せる。
加えて、ローレンス・フィッシュバーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローラ・リニーといった脇の配役も完璧と言って然るべきで、あらゆる意味合いにおいてキャスティングは突出していた。
映像は、この作品におけるイーストウッドの視線を静かに物語る。
彼らの「運命」を、包み込むと突き放すの中間で捉えたかのような色彩と明暗は、本当に美しい。
イーストウッドは「運命」の物語に圧倒的な影を落としつつも、同時に祝福の光をも当ててみせる。
本作はある意味で確かに悲劇だが、イーストウッドが人間たちに向ける眼差しは、悲劇的とか喜劇的とかいった言葉では言い表しきれるものではないとも思う。
その眼差しで、イーストウッドは、あまりに的確に人間たちの痛みを切り取って見せる。
言い訳しようのない悪を抱えつつも確かに愛を知っていた悪党が、先妻の残したたった一人の娘に向かって叫ぶ、永遠の喪失の痛み。全てを狂わせた少年時代の自分に向かって「逃げろ」と叫ぶ、叶えられようのない哀願の痛み。おどけるようにしてしか何かを伝えることもできない、友情と呼ぶにはあまりに複雑すぎる、不完全すぎる、銃に見立てた指から放たれた、言葉にできないその痛み。
それでも、現在は我々の目の前を歩いてゆく。パレード。
本作のテーマの一つは、「罪」という問題ではなかろうか。
イーストウッドは観る者に、「罪」は果たして何処にあったのか、そして誰のものなのかを問いかける。
何を責めればいいのか。そして、何を悔やめばいいのか。
デイヴを連れ去った男たち、悪事に手を染めていたジミー、彼を裏切ったレイ、過去から逃れることができなかったデイヴ、ケイティを殺した少年たち、一手遅かった警察の捜査、夫を信じてやれなかったセレステ、夫の殺人をゆがんだ論理で受け入れ、小さなファミリーだけを守ろうとするアナベス、ジミーの殺人を確信しつつ、彼を野に放つ(と僕は解釈した)ショーン……。
避けられた過ちは何なのか。本当に罪深きは誰なのか。そして、与えられるべき罰は何なのか。
イーストウッドが構築したのは、様々な人々を損ない、また損ないつつある「罪」というものが確かにありながら、おそらくもはやそれを誰にも問えないという、圧倒的な痛みを伴う世界なのではなかろうか。
問いかけつつも、実は答えはないのではないか。
諸悪の根源みたいなものは何処にもない。
究極的には誰をも裁くことができない。
罪を抱えているのはジミーであり、デイヴであり、ショーンであり、アメリカであり、私であり、あなただから。
それでも「運命」とでも呼ぶしかない暗い力はときとして人を激しく翻弄し、それによって確実に誰かは傷つき、損なわれてしまう。
そういう世界の中で、両手に余るほどのやり切れなさを抱えながら、無力なまま何かを守り、裁かれぬまま背中に十字を背負い、そんなふうにして人が生きてゆこうとするとき、そんなふうにして生きていくしかないとき、善は、悪は、罪は、そして罰は……その所在、その責任、その是非、その価値、そういった全てを、イーストウッドはミスティック・リバーに流すようにして、そっと観る者の手に委ねたのだと思う。
優れた作品はいつも、答えではなく、問いを残すものだ。
それはたとえば殺人を是とするというような価値転換ではなく、社会的な倫理観を捨てても構わないというようなある種の放棄でもなく、「救い」なるものを全面的に否定するような諦念でもなく、答えなき現実に真摯に向き合った上での、静かな達観だったのだと思う。
ときどき、ラスト・シーンのパレードを観ながら、イーストウッドはこの映画の中で全てを「許して」いるのではないか、と感じることがある。だからこの映画は、とても残酷であるのと同時に、信じられないくらい優しく、美しい。
人生は完璧ではあり得ない。幾多の傷と嘘と暴力を抱えて、僕たちは、どう生きてゆくのだろう。
デイヴのように、過去に喰い散らされてゆくのだろうか。
あるいはショーンのように、未確定の柔らかい未来を抱えて、現在を許すのだろうか。
それともジミーのように、「Who fuck knows?」と両手を広げておどけて見せるのだろうか。かつて友が永遠に連れ去られてしまった路上で、片手には酒瓶を下げたまま、背中には十字を背負ったまま。
素晴らしく救いなく
10年前に観たはずなのに初見のように楽しめた。
ショーン・ペンの町のボスの大物感と足を洗ったと言いながら裏の世界に生きてる雰囲気と娘を失った喪失感と弱さの演技が素晴らしく、ティムロビンスの心にトラウマを抱え上手く生きられない感じが見てるだけで伝わって来て初めから辛かった。
ミステリーとしてもケビンベーコンの視点で順を追って答えに辿り着いて行くので分かりやすく引き込まれた。
何と言ってもクライマックスの演出がたまらない。
もう戻る事は出来ない追い詰められた雰囲気は胃がキリキリする思いだった。
過去からは逃れられないという事なのだろうか、人生の不条理さと罪を背負って生きて行く辛さは見終わっても胸が重くなる。
心が張り裂ける
ショーンペンが主演というのと内容が気になったので。
本当に救いが無くて、感情が溢れてただただ哀しい作品。
それぞれの人物の苦しみ藻掻くような姿に感情移入し、
何度も泣いてしまった。
人間臭くてリアルでした。
結局誰が悪いというのははっきりしないまま。
愛情とは素晴らしくもあり、怖くもある。
何度も観てみたい作品。
しかしショーンペン、渋くて格好良い。
現実
弱肉強食の世界の不条理さ。
日々、社会の底辺で生きている人間たちの哀しさ。
人は弱いものだということ。
けれど、僅かな絆の再生に希望を見出し、そしてまたそれすら掴めない弱者のどこまでいっても救いようのない弱さ。
希望に満ちた耳障りの良いものごとがもてはやされ、老年期を迎えるこの世界に、イーストウッド監督の投げかける問いは、どこまでも深く、人間というものを私たちに問いかけます。
人は思い立ったら怖いんやでという話
幼馴染の三人を取り巻く話。
ストーリーとしては途中の展開から推察できる範囲で特別意外性はないように感じられる。
この映画でのテーマは執着は身を滅ぼすというところかなと勝手に考えました。
幼馴染のうちの殺された人は最後の最後まで幼少期のトラウマを拭えずに、最終的にはそれも元になりやってもいない犯罪を告白してしまう。
主人公は娘を殺した犯人への復讐に執着するあまり、視野が狭くなり、無実の幼馴染を殺してしまう。
こういった執着心が怖いなというところと、加えてタイトルにもなっている川に関して。
川は全ての罪を流し去る的な意味合いが作中にも出てきてましたが、そこに関してはなんか怖い街やなくらいの感想しか悲しいかな、持てませんでした。
可もなく不可もなく
端的に言うとあまりおもしろくなかった。
これからどうなるのか誰が犯人なのか考えるのは楽しいし最後までわからなかったが故にオチをもっと盛り上げてほしかった。
ショーンペンは個人的に好きだし今回も演技が◎
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