劇場公開日 2002年2月16日

「夢と現実、虚構と妄想が入り混じるリンチの世界」マルホランド・ドライブ Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5夢と現実、虚構と妄想が入り混じるリンチの世界

2024年5月18日
PCから投稿

この、いかにも「見た人の数だけ解釈の仕方がある」と言わせたい作り方には賛否両論あるのは当然。まあ、あえてリンチの仕掛けた、夢と現実、虚構や妄想が混沌と入り混じる不可解な世界に遊び、フロイト的な夢の解釈をするもよし、フローチャートでも書いて独自の解釈をするも良し、という楽しみ方をするのが本道でしょう。

こうした作品は、単に一方的にストレートな情報を与えられて、老若男女、何も考えなくても泣いたり笑ったり出来るような作品とは違い、作品に仕掛けられた複雑で雑多な情報から重要なピースを探し出し、時にはパズルのように組み合わせて、自分から積極的に作品の謎を解いたり、テーマを解釈していこうとする意欲や遊び心が無いと楽しめないタイプの作品であるのは間違いない。

確かにあまりにも展開が不可解で不親切なので万人向けではないですが、少なくともそうした謎解きを楽しめる程度には色々と「情報」が与えられている作品ではあります。破綻していそうで破綻していない、解釈できそうで解釈できない、そんなギリギリの内容が、ある種の人間の好奇心を刺激して止まない怪作。

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Fate number.9