劇場公開日 2002年2月16日

「【ハリウッド女優に夢を抱く娘の、栄光と挫折、感情の裏表を描いた、類稀なる脚本で描き出した作品。鬼才の仕掛けたトリックに陥ることなく、この作品が訴える本質を見極めたい作品である。】」マルホランド・ドライブ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【ハリウッド女優に夢を抱く娘の、栄光と挫折、感情の裏表を描いた、類稀なる脚本で描き出した作品。鬼才の仕掛けたトリックに陥ることなく、この作品が訴える本質を見極めたい作品である。】

2022年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■闇に覆われたハリウッド郊外の山道“マルホランド・ドライブ”。
 ある晩、車の衝突事故が起こり、生き残った美女(ローラ・ハリンズ)は記憶をなくした。
 彼女は女優ルース(彼女は不在・・)の留守宅に身を潜めるが、カナダの田舎からハリウッドにやって来た女優を夢見る娘・ベティ(ナオミ・ワッツ)に見つかってしまう。
 事故により、記憶のない彼女は壁に貼ってあった、リタ・ヘイワースの画を見て、咄嗟にリタと名乗るが…。

◆感想<ヤヤ、ネタバレ・・。だが、個人的感想であるので、諸説ある事はご承知おき頂きたい。>

・序盤の、カナダの田舎からハリウッドにやって来た女優を夢見る娘ベティ(ナオミ・ワッツ)の晴れやかな表情。

・その後、突如描かれる、謎の美女(ローラ・ハリンズ)が“マルホランド・ドライブ”を護衛付きでドライブしている際に、護衛から銃を突きつけられるシーン。そして、何故か突如やって来る、チンピラたちが運転する車が、激突する。
ー 余りに唐突な展開である。だが、後半このシーンの真実が明らかになっていく。-

・ベティは、映画のリハーサルでも、見事な演技を見せる。だが、その作品の監督アダムには何の権限も持たされていない。全てはハリウッドシステムによって、映画は成り立っている事が暗喩される。

■前半から、後半の映画の流れが、見事である。
 ベティは、将来性豊かな女優ではなく、端役の身。一方、謎の美女リタだったのは、カリーナ・ローズというハリウッドの頂点女優(ローラ・ハリンズ)であることが分かる。
 つまりは、多くの今作の評論で、書かれている通り、前半はベティの叶わなかった夢であり、後半は現実が描かれている。
 カリーナ・ローズというハリウッドの頂点女優(ローラ・ハリンズ)を暗殺しようとしたのは、ナオミ・ワッツ演じるベティである。
 正に、天国と地獄であり、ベティが夢破れて行く姿も哀切である。
 故に、ベティの保護者である高名な女優ルースは、一切姿を見せず、ルースの留守を守るココの前半とは違う姿にも納得出来るのである。

・前半とは違い、端役で苦労を重ねるナオミ・ワッツ演じるベティの、やさぐれ感が凄い。一方、カリーナ・ローズというハリウッドの頂点女優との対比。
ー 故に、前半の謎の美女(ローラ・ハリンズ)が“マルホランド・ドライブ”を護衛付きでドライブしている際に、護衛から銃を突きつけられるシーンの黒幕が誰であったかが、容易に分かるのである。-

<ご存じの通り、デイヴィッド・リンチ監督は、今でも過去作の編集をしていると言われる、自作偏愛監督である。更に、彼は今作を含めて、謎の仕掛け大好き監督である。
 個人的には、わざわざ謎かけをしなくとも、充分に面白いのになあ、と思ってしまうのである。

 因みに、今作ではデイヴィッド・リンチ監督の数々の作品で、耽美的な音楽を提供している、アンジェロ・パダラメンティが出演している。
 彼が全て作曲したジュリー・クルーズの耽美的極まりないファーストアルバム「フローティング・イントゥ・ザ・ナイト」セカンドアルバム「ザ・ヴォイス・オブ・ラブ」は、1000枚を超える我がCDの中でも、今でも愛聴している名盤である。
 もしかしたら、似た者同士かも知れないなあ・・、と思ってしまうのである。>

NOBU
こころさんのコメント
2024年9月30日

追記
ジュリー・クルーズ、検索して聴いてみました 📱

こころ
こころさんのコメント
2024年9月30日

NOBUさん
「 その後かなり売って半分に 💿 」、という事は500枚位は持っていらっしゃる 💿、んですよね!
手放す時には相当悩まれたでしょうけど、500枚も相当な枚数ですよね 👀
WAO!

こころ
こころさんのコメント
2024年9月30日

NOBUさん
「 1,000枚を超える我がCD 💿 」、そんなに沢山持っていらっしゃるんですね 👀

こころ