「ウディ・アレンの映画好きですか?」マッチポイント Ishikawa Peroさんの映画レビュー(感想・評価)
ウディ・アレンの映画好きですか?
私は身勝手な男が喋りまくって身勝手な結末に至り、全く反省しないので嫌いです。
それでも初期作品は何かを失う切なさはあったけれど…
「マッチ・ポイント」なんてスカーレット・ヨハンソンを金持ちの彼女と二股した挙句、妊婦のスカーレット・ヨハンソンを殺して金持ちの彼女と結婚してハッピーエンドになる結末。
HBOの作った全4話のドキュメンタリーはウディ・アレンがミア・ファローの養女ディラン当時7歳に性的虐待した事件を、家族を守るために沈黙していたミア・ファローと大人になった被害者であるディランを中心にミアの子供達、担当刑事や心理学者、ジャーナリストなどにインタビューを取り、膨大にある事件資料とホームビデオで肉付けした作品。
「ローズマリーの赤ちゃん」でお腹に悪魔の子を宿したミア・ファローは子供のいる家庭に、誰もが認めるアメリカトップの映画作家のウディ・アレンという悪魔を招き入れてしまう。
その関係は10年以上も続き、ウディ・アレンがミア・ファローの養女スン・イーと結婚することで終わる。
これを見たら裁判を傍聴した元ニューズウィークの記者のようにウディ・アレンの映画を観られなくなる。
この作品はゴールデングローブ賞で、ウディ・アレン監督主演作の「アニー・ホール」でアカデミー賞を取ったダイアン・キートンをはじめエマ・ストーンのウディ・アレンを称えるスピーチを聞いた被害者のディランが声をあげた事で始まった。
今のハリウッドはやっとウディ・アレンを締め出し始めたけれど事件があったのは30年近くも前の事。
先日撮影中に実弾入りの銃を撃って撮影監督が死亡し、監督が怪我をする事件を起こしたアレックス・ボールドウィンをはじめとしてダイアン・キートンやスカーレット・ヨハンソンなどまだウディ・アレンを擁護する声もある。
インタビューの後半で出て来るミア・ファローのウディ・アレンへの恐怖心はDV被害者と共通するものがある。
作品の中でも示されているが性的虐待被害が虚偽の割合いは全体の2%〜8%だという。
自分にとって何の得もないから。
作品と人格は別という人もいるかも知れない。
でも7歳の子供に性的虐待した人をあなたは家庭に招き入れますか?