「亜流ゾンビ映画の進出が目覚しくなり、元祖ゾンビ監督が怒りとともに立ちあがった。」ランド・オブ・ザ・デッド kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
亜流ゾンビ映画の進出が目覚しくなり、元祖ゾンビ監督が怒りとともに立ちあがった。
ゾンビ3部作を世に送り、ゾンビものに関してはやりつくしてしまったかのようなロメロ監督だったが、社会派の要素と学習する能力を備えている進化したゾンビを新たに作りあげました。元来、彼の作風には「ゾンビより怖いのは人間そのものだ」という暗喩を込めた要素が感じられましたが、今作では更に拡大する貧富の差といった社会悪や、テロリストを生み出す支配者層の悪をも風刺しているように思われます。
ゾンビが誕生する原因や説明調の描写といった小賢しい手法は一切取らず、観客をいきなり恐怖に陥れるパターンは健在であり、これはゾンビファンにとっては嬉しい限りです。花火が好きだという設定や、徐々に学習して知能を携えていく姿ということによって、ほんの少しですが、ゾンビに対しても感情移入してしまいました。これは、ゾンビよりもカウフマン(デニス・ホッパー)をやっつけてしまいたくなる脚本のおかげでしょう。
昨年のリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』では、ただ逃げ出したくなるような恐怖映像だけでしたが、今作では面白さ、グロさ、爽快感までもが味わえます。ヘソピアスを食いちぎるといった映像や、首がないと思ったら後に繋がっていただけだったり、学習したと言ってもマシンガンの扱いがわからなかったり・・・そして、人類とゾンビはこのまま共生していけるのではないかと考えさせられる場面もありました。そして、顔の右半分が火傷でただれている相棒のチャーリーの存在も、醜いゾンビに対する偏見をなくそうという意図があったのかもしれません。
好きなキャラはチョロ(ジョン・レグイザモ)と、マシンガンを持った黒人ゾンビ。ゾンビ化しても悪い奴を倒そうとする意気込みに惚れました・・・
【2005年8月映画館にて】