「過去のB級映画へのラブレターかつ総決算」キル・ビル image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
過去のB級映画へのラブレターかつ総決算
タランティーノの映画の凄いところは、B級と呼ばれる映画の中でも「低俗」だと揶揄されるようなモチーフを、超一流のセンスで料理してA級かそれ以上のS級レベルにまで昇華させてしまうところだ。
特に本作(前後編全て含む)は、タランティーノが愛した過去のB級映画への愛が満ち満ちており、元ネタになっているモチーフを大胆にコラージュしながら、超一流のエンターテイメントとして再構成することに成功している。タランティーノお気に入りの過去作のサウンドもてんこ盛りで、しかも活かし方が驚くほど効果的なのだ。
すべてがコラージュなのだとしたらオリジナリティがどこにあるのかと訝しむ向きもあるかもしれないが、私個人としてはあまりにも鮮やか過ぎるこの手腕に、もはやB級素材がそんな風には呼べないレベルへ昇華するところを目の当たりにした気になった。これは、極上のB級映画の総決算といって差し支えない。
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