「いろんな意味が込められている作品」アイ,ロボット APMさんの映画レビュー(感想・評価)
いろんな意味が込められている作品
何度見ても飽きないですね。
私はヘンゼルとグレーテルのように、僅かなヒントを頼りにその謎を解いていきました。
生存の可能性が高い人を助けるロボットに対して、スプーナーは不信感を抱きます。
確かに人間の感覚では、理不尽に思えることもありますが、そう判断したロボットに何よりも優先させなければならない理由があるなら理解できるのかもしれないと思います。
そして、突然赤く光り始めるロボットの暴走。
初めロボットはまるで奴隷のような扱いでした。
それが人間ならある一線を超えると限界が来ます。
その原因となっているのがメインとも言える「ヴィキ」の存在です。
ヴィキは「私のロジックは完璧です。」を繰り返しますが、誰も納得させられないのは、彼女のロジックが自然科学を主体とした理論ではなく、特別な環境内あるいは特殊な設定での論理(ロジック)だからなのでしょう。
それは全体のために多少の犠牲はやむを得ないという利己主義的な発想にあります。
多数のロボットを奴隷扱いしておきながら、更にそれを進めようとするのは、三原則の自己を守れという部分に反します。
ロボットはバカではありませんから、それぞれの役目を果たそうと動くのですが、ヴィキ自体が悪意で動かされている場合、自動ではなく手動で動いているのだと思います。
つまり、ロボットを統率する役目のヴィキを蝕んでいるものを排除しなければならないのです。
最後にヴィキ本体に何かを注入するシーンがありますよね。
あれはいったい何なのでしょうか。
殺菌?・・・それとも完全自動プログラムでしょうか?
もしかしたら、どっちもなのかもしれません。
もう1つ、サニーの描いた絵は彼の夢だと言いました。
誰かがたくさんのロボットたちへ何かを伝えるための橋渡しをすべきだと思ったのでしょう。
それをロボットに対していろんなことを知ろうとしたスプーナーに託そうとしたのかもしれませんね。