劇場公開日 2004年9月18日

アイ,ロボット : 映画評論・批評

2004年9月15日更新

2004年9月18日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

思慮深く描かれた近未来の「闇」

テーマがマシンの叛乱と聞けば、何をいまさらと敬遠し、結末をうやむやにされた仮想現実の悪夢(※1)も記憶に新しい。それでも、健気なアイボやアシモが思春期に達すれば、ヤバイ存在にもなりうるかもと考えさせ、社会に感情をもつロボットが投入されることで、改めて人間性って?と問いかける。W・スミスが場違いなくどい演技でデッカード(※2)になり損ねたのが玉に瑕ではあるけれど、アクション馬鹿の存在を補って余りあるほど、脚本はよく練られ、思慮深い娯楽大作に仕上がった。

この映画の肝は、主役を完全に食うロボット、サニーの存在感と表情。アイデンティティをめぐって困惑し、怒り、悲しみ、そして夢を見て、人類の命運を握ることにもなる合成樹脂製マシンの異分子。実写の人間と共演したCGIキャラとしては、ゴラム(※3)を凌いだ。彼が涙を誘うまでの“演技”をみせたからこそ、古典的なテーマにもう一度、切迫感を与えられたのだ。今後SF映画の中のロボットは、サニーを基点にバージョン・アップを図る使命を帯びるだろう。暗黒世界(※4)をスタイリッシュに描くことにかけて先駆者だったA・プロヤスが、半透明な白い軍団で画面を埋め尽くし、近未来の「闇」を描きだすことに成功した。

(※1)「マトリックス」3部作
(※2)「ブレードランナー」のH・フォードの役名
(※3)「ロード・オブ・ザ・リング」の陰の主役
(※4)「クロウ/飛翔伝説」「ダークシティ

清水節

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