群衆

劇場公開日:1951年6月15日

解説・あらすじ

「或る夜の出来事」のフランク・キャプラ監督、ロバート・リスキン脚本の名コンビが贈る社会風刺ドラマ。解雇されそうになった女性記者アンは、ジョン・ドーという人物が社会抗議のために自殺しようとしているという内容の記事をでっちあげる。大反響を呼んだその記事を利用して発行部数を伸ばすため、オーディションで選ばれた元野球選手の男がドーを演じることに。一躍時の人となった彼は、民衆の偶像として祭り上げられるが……。

1941年製作/アメリカ
原題または英題:Meet John Doe
劇場公開日:1951年6月15日

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映画レビュー

3.569点

2025年8月29日
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ま

4.0【”孤独なる民衆は”感動的なスピーチ”により群衆となる。”一人の男が容易に英雄となる現代アメリカを見越したかの如き社会派作品。だがフランク・キャプラ監督は人間の善性を信じるラストを用意するのである。】

2025年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

幸せ

■経営者交代を受けて会社をクビになった新聞記者、アン(バーバラ・スタンウィック)は、怒りに駆られジョン・ドウという架空の人間を創り上げ、クリスマスイヴの夜に市庁舎から飛び降りるという記事を執筆し、発行部数を伸ばすという約束で復職を果たす。
 そして、ジョン・ドウ役を募り、元地方野球選手のウィロビー(ゲイリー・クーパー)が抜擢され、政界進出を企むD.Bノートン(エドワード・アーノルド)はアンにジョン・ドウ役のウィロビーのスピーチ原稿を依頼する。
 ライバル社の脅しを受けるウィロビーだが、アンの原稿を震える手でラジオで読み上げ、”隣人を大切にしよう”というメッセージが受け、民衆のヒーローとなる。
 だが、ウィロビーに笑顔はなく、彼の連れの”大佐”(ウォルター・ブレナン)は、ドンドン不機嫌になって行くのである。

◆感想

・今作を観ると、直ぐに想起するのはナチスドイツのヒトラーの狂的な扇動演説に熱狂するアーリア人であるドイツ人の白黒映像であり、現代で言えばトランプを熱狂的に支持する一部の共和党員の姿である。
 今作との違いは、ウィロビーが群衆の支持を集める事に悩む姿とは正反対に、民衆の熱狂する姿を満足気に見下ろすヒトラーとトランプの姿である。

■それにしても、アメリカ人の一部(特にプアホワイト層が多いと感じる。)は何故にトランプの様な浅薄で息を吐くように嘘を平気で突く男を熱狂的に支持するのであろうか。
 日本とは桁違いの数の、大統領選挙戦の際に赤い帽子を被り満足気に彼らを見下ろすトランプを見上げながら支持する姿。
 更には、自身に有利と見ればトランプ支持を打ち出し、チャッカリ要職につきコストカット政策を推し進め、政策が自身の事業に合わないと見るや、さっさと離れるイーロン・マスクの愚かしき姿には呆れかえる。
 トランプを買う点は、その行動力とタフな精神力だが、今のところパフォーマンス程度で(彼はパフォーマーとしては一流である。)大した成果はない。

・アメリカでは、選挙の際、もしくは大統領のスピーチ原稿はスピーチライターが作るが、ジョン・F・ケネディの頃は自分で筆を入れる事が多かったそうだが、今ではどうなのであろう。
 どちらにしても、今作のアンは近現代の政治家のスピーチライターの走りであろう。それもこの作品を観ると、皮肉に思えてしまうのである。

・今作の印象的な人物としては、ウィロビーの連れのウォルター・ブレナン演じる”大佐”であろう。彼のみが”自分の言葉ではないスピーチを読みヒーローになった”ウィロビーと民衆に対し、絶望する人物として描かれているのである。
 だが、彼は一時ウィロビーを見捨てるが、彼が民衆に”詐欺師”と呼ばれ、突き上げられた時に助けに来るのである。
 彼こそが、自由民主主義の恐ろしさを知りつつ、それでも人間性を保つ人物として描かれるのである。

■D.Bノートンの企みにより、ウィロビーが付いていた虚偽が群衆から突き上げられ、”市舎から飛び降りろ!”と迫られた時に、アンは涙を流し絶望する彼を説得し、その言葉を聞いた”群衆”は”民衆”になり、彼を再び支持するのである。
 この描き方に、フランク・キャプラ監督の人間の善性を信じる基本姿勢が見て取れるのである。

<今作は、一人の男が容易に英雄となる現代アメリカを見越したかの如き社会派作品でありながら、フランク・キャプラ監督は人間の善性を信じるラストを用意した作品なのである。>

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NOBU

3.5シリアスさとユーモアを併せ持ったヒューマンドラマだ。

2024年10月19日
PCから投稿

解雇を通告された新聞の女性コラムニスト、アンは、社会への抗議のためにクリスマスイブに自殺をすると予告する、「ジョン・ドウ」と名乗る失業者の投書をでっち上げる。

彼女は競合紙に採用され、元野球選手ジョン・ウィロビーを、「ジョン・ドウ」役として雇う。やがて彼の活動は、全国的な草の根運動に発展する、、、。

道徳的な教訓と感傷的な感動に満ちた作品だ。長い演説でも知られる作品だが、甘美的なヒューマニズムにあふれている。暗いテーマだが、明るい希望をもたせる結末まで、軽妙なタッチで温かく描いている。

本作の米国公開=1941年は、日米開戦の年だし、1930年代は米国内で深刻な恐慌に襲われている。そうした時代に、本作が生まれたのも偶然では無い。

社会の利己主義に対する怒りや、市井の人々への優しいまなざしは十分に理解できる。シリアスさとユーモアを併せ持ったヒューマンドラマだ。

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岡崎仁

3.0アメリカ国民の底力

2024年8月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 『オペラハット』に続き、フランク・キャプラ監督の作品ということで鑑賞。
 彼の作品は、痛烈な政府批判を行いつつも、その根底には強い愛国心があるのが、色々と観て分かってきた。その上で、今作はタイトルの『群衆』に表れているように、アメリカ国民の底力を表現できている。ジョン・ドゥ(名無し)はゲイリー・クーパーだけではなくて、彼の運動に共感するアメリカ国民全員なのだという気持ちが伝わってきた。

 また、ゲイリー・クーパーはジョン・ドゥと自分という存在を切り離して考えていて、あくまでジョン・ドゥという作られた人物像を演じているだけという姿勢が一貫していたのが良かった。

 ウィキペディアによると、今作は「感動の映画ベスト100」というのにランクインしているらしい。しかしストーリーは同監督の他の作品と比較すると見劣りする印象。でっち上げの存在であるジョン・ドゥの投書に、アメリカ国民があそこまで熱狂するのが不自然に思えた。また、ヒロインとのミッチェルも、いつの間にか恋愛関係に発展している感じがいまいちだった。

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根岸 圭一