グッド・ウィル・ハンティング 旅立ちのレビュー・感想・評価
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特異な才能を等身大の人物で描く。
◯作品全体
見始めてから2,30分くらいで「能力が見いだされて急に出世するんだけど浮足立った結果天狗になっちゃって孤独になる系の作品か~」と決めつけてしまったが、主人公・ウィルは浮足立つどころか自身が張った根を頑なに動かさない人物として描かれ、自分の予想したものとはまったく違う作品だった。もしも能力が見いだされてウィルが変わってしまう、という作品だとしたら『ボヘミアンラプソディー』とか『ロケットマン』なんかが頭にちらついてしまっていたけれど、ウィルの能力が人とのかかわりを拡げることだったりウィルの幼さや臆病を表すものとして存在していて、等身大のウィルを映すことに活かされていた。
ウィルの生い立ちは特殊だけれど、自分の心に踏み込まれたり裏切られることを恐れて壁を作ってしまう姿は個人的にとても共感する部分だった。記憶力が優れてるわけじゃない自分ですら、過去の失敗や人との関わりで傷ついたことは嫌でも覚えてる。それが特異な記憶力を持つウィルだとしたら、傷の深さは計り知れない。
自分を守るために相手に拒絶する態度をとってしまって、結果的に自身も相手も傷つけてしまう。気持ちと行動はうらはらだけど原理が明確だから、別の街で暮らそうと提案するガールフレンドに対するウィルの苛立ちだったり、「愛してない」の言葉に隠れた不安が切なく刺さった。ウィルの能力は特異なものだけれど、ウィル自身は臆病で寂しい人間として実直に描くからこそウィルの葛藤が心に響く。
ウィルに寄り添うショーンや親友との関係性も良かった。ショーンはウィルが作る壁に正面からぶつかって、正面から壁を壊す役割だった。カウンセラーとして一方的に諭す立場ではなく、ショーン自身の深い傷に触れられながらウィルと共に傷つき、理解していく姿にグッとくる。親友は正面からぶつかるのでなく並走しながら支えているような関係性が素晴らしかった。ウィルと過ごす時間を仲間同士で楽しんでいながら、しっかりとその終わりも提示する。ウィルと長い時間を過ごしてきたからこそ、ウィルを傷つけない寄り添い方を知っていて、それを実行する。押しつけがましくない優しさがとても良かった。ウィルが静かにいなくなるラストシーンは親友の望みどおりだけれど、寂しさの表情を隠しきれていない感じが本当に良い。
エンドロールは曇り空の中、先の見えない道路の先へオンボロ車が進んでいく。なんの変哲もない景色だけれど、等身大のウィルを描き切った本作にふさわしい景色だ。一方で心の壁を破たウィルには今まで感じたことのない視界が広がっている。そのコントラストがとても眩しく輝いて見えた。
過去のトラウマを持った天才青年が心理学者との出会いで心を開き新しい人生の一歩を踏み出すヒューマンドラマ映画
スラム育ちの天才的な頭脳を持つ青年は心に大きな傷を抱えている。人を信用することができず、愛し愛されることを知らない。 天才が故に知識だけを並べ、良いところばかりみせようと見栄を張り、嘘をつくプライドの高さ。嫌われることを恐れ、傷つく前に去ることで自分を守ろうとする。 誰もが羨む天才青年は、誰よりも人間らしく弱いところがある。 そんな青年を心理学者が心の交流をして 少しずつ心を開いていく。 心理描写が繊細に描かれ、感情に触れた繊細な内容で何度も涙した。 心理学者が妻との愛を語るシーンでは 本当の愛とは、を考えさせられる。 相手の欠点をも愛し、認め合うことができること。 どんなに才能があっても完璧な人間などはいない。 大事なのはお互いにとって完璧であれば良いということ。 そして、言葉の大切さ。 良くも悪くも、言葉が人に与える影響力は凄まじい。正論を突きつけることが全てではない。 自分が傷つくことを恐れるより相手を傷つけることのないよう考えて、助言や発言をしたい。 そんな強さを持ちたいと感じた。 本や歴史などの知識や情報が全てではないということも感じた。実際に自分の目で見て感じて沢山の経験をする。失敗も沢山する。 その経験こそがどんなに有名な本や偉大な歴史上の人物よりも 唯一無二の素晴らしい人生の物語なのだと感じた。みんな自分の人生の主人公なのである。 今の自分、弱いところも認めて許すこと。自分自身と向き合い知ること。 自分の道は自分で決め、生きたい人生を生きる。 失敗しても良い、失敗や嫌われることを恐れない強さをもつこと。 一歩進むためにほんの少しの勇気を持つこと。 そして、自分が望んで進んだ先には 絶対に後悔はないということ。 たくさんのことを感じ考えさせてくれる とても奥深い映画。
大切な人を大切にするために
傑作。 脚本のマット・デイモンとベン・アフレックの頭のよさがすごくわかる。 ウィルに根気強くセラピーを行うショーンもまたウィルと向き合う中で自分の心の傷を引き受ける様がとてもいい。 ウィルの親友も親友足り得ていい人だ。 仲が良くても最終的に肉体労働や非行などにウィルを引き留めるのではなく、送り出す。ウィルの家行って不在だと気付くシーンがとても好きだ。 終わり方もいい。ウィル、スカイラーのもとへ行くんだね。大切な人を大切にできるようになったんだね。
素晴らしき数学の世界へようこそ! 才能をどう使うかは自分次第
まず本作は脚本が凄く良く出来ているのですが、実は、これはあのマット・デイモンとベン・アフレックの2人が書いているのです。当時は2人とも無名ながら、本作でアカデミー賞の脚本賞を受賞して、この成功が今の彼らのキャリアに大きくつながっているのです。 当時の第70回アカデミー賞は、現時点でも最多受賞記録を持つ「タイタニック」があった年で、そんな中、「タイタニック」が14ノミネートに対し、本作は、作品賞、監督賞(ガス・ヴァン・サント)、主演男優賞(マット・デイモン)、助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)、助演女優賞など主要9部門でノミネートを果たしていたのです! そして脚本賞と共に、ロビン・ウィリアムズが初の助演男優賞を受賞しました。 本作の主人公ウィル・ハンティングは、MIT(マサチューセッツ工科大学)で清掃員をしたりして生計を立てる青年である一方で、100年に数人級の頭脳を持った人物として描かれています。本作のリアリティーの源泉には、ラマヌジャンという1900年頃のインドの数学者の存在があったりします(詳しく知りたい人は「奇蹟がくれた数式」という映画を!)。 マット・デイモンはハーバード大学にいた(中退)だけのことはあって、学問的なリサーチがしっかりしていて、主人公にリアリティーを巧みに与えているのです。 そして、そんなウィル・ハンティングを才能を見出し、その才能に惹かれ翻弄される「フィールズ賞」(いわば「数学のノーベル賞」)受賞者のランボー教授、そして、ランボー教授に頼まれてウィル・ハンティングを更生させようとする心理学者ショーンとのやり取りも深いものがあります。 なぜウィル・ハンティングは素直に能力を活かすことができないのか? その謎を追う過程において、周辺の人たちを巻き込み、思わぬ展開が続いていきます。 「エンディング以降のウィル・ハンティングはどのように生きていくのか」を想像するのも意味がありそうですし、本作には数々の名言もあります。 今この作品を見直して良かったな、と思えたのは、本作でアカデミー賞を受賞したロビン・ウィリアムズが、実社会においては、2014年に63歳で自殺してしまったのです。 当時は勝手に「パーキンソン病や、幻覚が見えたりする(レビー小体型)認知症に苦しんで亡くなってしまったのか」と記事を見て思っていましたが、ショーン(ロビン・ウィリアムズ)の 「そのことだけで私が君の気持ちをわかると思うか? 『オリバー・ツイスト』を読めば理解できるのか?」という言葉の通り、想像でしかないですし、「本当の気持ち」は誰にも解らないものなのかもしれませんね。 3月30日にCNNが、志村けんさんの訃報の際に「日本のロビン・ウィリアムズが亡くなった」と伝えていたので、「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」の際のロビン・ウィリアムズが被ってきたりと、さらに多くの感情が去来しました。 学問をモチーフにしながら、様々な人間関係や深層心理などを考えたりできる名作です!
だからどうした
映像表現では退屈な作品。中盤ハーバードのガールフレンドが出てくるあたりからダレる。で、結局主人公はどうなったの?内定が決まった会社を断り、自分探しの旅に出かけたの?
自分が何をしたいかわからない
教科書を丸暗記した知識で生きる天才じゃなくても、世間一般的な成功っていう教科書通りに生きてるだけの人間はたくさんいると思う。
ウィルは良い友人、彼女、理解者に出会えたから自分のやりたいことを見つけられたが、私たちはそうはいかない。
自分を曝け出してそれを受け入れてくれる人に巡り会いたい。もし出会えたら大切にしたい。もし一度得た大切な人を失ってしまったとしても、自分を曝け出し理解者を探すことを諦めない。そうしていれば自分のやりたいことがわかるのかもしれないと思った。
心暖まるヒューマンドラマ
ヒューマン系は苦手です。 ただ、マット様とベンアフ様が出演しているので、機会があれはいつかとは思っていた。 7/7の映画コムニュースに心に残る名セリフベスト16があって(確かこんな名前) その中にこちらの作品があった。 早速鑑賞したが、マット様の可愛い事。 ブラピ様の若い頃は美しいだが、マット様は可愛いの一言。 ベンアフ様は断然お年をめした方が かっこよい。弟さんも何気に良かった。 内容は友情だったり、虐待の過去のトラウマを見つめ直したり、ものすごい起伏があるストーリーではないが、心暖まる作品だった。
70点
映画評価:70点 ストーリー内容は前説通り。 天才的な頭脳ってだけで、 他の青少年と変わらない主人公を 特別視する教授と、 特別視しない教授とで綱引きをする。 そこで一視聴者である私は この青年の等身大の悩みを目撃します。 この青年が個性だと思っているものは ただのハリボテ。ただの隠れ蓑。 皆さんもそうでしたよね? 少し良く見せたい、誰にも裏切られたくない だから嘘ついたり、気を引いたり しましたよね? この天才青年だって同じです。 自身の立ち位置を守る為だけに知識をつけ、 喧嘩をし、講釈をたれます。 でも、別に周りの歩幅に合わせて 協調しなくたって良いんですよね。 ちゃんと周りを考えてあげて、 信頼出来る人さえ見つければ それだけで羽ばたけるんですよね。 そこが初めて個性に繋がるんですよね。 私はこの作品を通して、 改めてそれを再認識しました。 今のご時世、 みんな一生懸命働いて(仕事や勉強や家事や子育て等)四苦八苦していると思いますが、 そういう人こそ、この作品を観て下さい。 ゆっくり自分を見つめ直して下さい。 そして自分を褒めて、周りに感謝してあげて ハリボテじゃなく、個性出していきましょ! 【2024.7.7観賞】
題名も捻るね〜
この名作を今まで鑑賞しなかったのは、これ以上の良作に出会えなくなるのが怖かったから。でも鑑賞したらイメージしてた内容と違い、違う意味で驚きと感動に満ちていた自分に出会えた。鑑賞中、嫁さんが後ろに居て本を読んでいたので、泣くのが恥ずかしくて我慢したが、やっぱりちょっと泣いちゃった。心の傷を曝け出す事は、並大抵の事じゃない。親友にも愛を感じた彼女にも言えなかった傷を、ショーンに言えたのは同じ心の傷を持った信頼出来る先生だったから?それとも、どんな時も心から味方になってくれた先生だったから?天才の考えは解らないままだが、人の温もりと優しさに触れた事で、過去の傷を払拭出来たのかな?それだったら嬉しいね 正直、胸の内を明かせないままサクセスして、失敗と裏切りでショーンの元に戻る〜そこから本当の絆を築き更生して行く〜みたいなストーリーだと思ってた分、最後まで心の傷を曝け出す事に重きを置いた内容でびっくりしたかな。心理学的な内容をここまで掘り下げたストーリーが、ここまで評価されてる事にも驚いたね。感動や涙無しでは観れない映画にも全く反応しない方々には、あくびの出る内容でしょう笑 それにしてもキャストも凄かったね当時としては。ベンが特に良かった
若者がみな持っているもの
主人公の設定は各人が少なからず持っているトラウマなり自信なりを最大限引き伸ばしており、分かりやすかったし、じれったさやもどかしさも感じられる良作だった。不覚にもかのシーンでは涙が溢れました。公開当時に観てたら多分同年齢の設定だったろうに、惜しいことをした。 ヒロインがブサイク。ベン・アフレックはジェームス・ディーンみたいだったw
BANANA FISHのアッシュがよぎった。
スラムで育った天才の話し。 観てて、BANANA FISHのアッシュが頭をよぎった。 こういう主人公の設定はストーリーとして面白い。 君は悪くない、って繰り返されて、やっと自分をさらけ出せたウィルの様子にウルっとした。 この話しを観て、ここまで人を愛した事が無いかもしれないなぁ、と思った自分は独身。そこまで誰かと向き合った事が無いかもしれないと思うとなんとも言えない気持ちになった。
シンプルに感動
人々が抱く内なる葛藤と、どうしても他人と比較して感じてしまう劣等感とが描かれていて心に刺さった。ウィルとショーンの信頼関係の形成過程とウィルの成長する姿、登場人物を取り巻く人々も尊重するような映画だと感じた。
天才ゆえの苦悩
マッドデイモンってムキンとしたイメージしかなかったけど、昔はこんなに美青年だったんだと知って衝撃。確かにツンベアーもクマシュンの時期があったしね。 そんな彼は頭脳明晰な一方で精神は未熟で心を閉ざしている主人公。ギフテッドって言うのかな。天才が故の悩みとかってたしかにあるよね。僕も夢の中でネタを思いついて夢の中でそのネタを仕上げたりすることしょっちゅうある。これホント。朝起きたらすぐにノートに書いてかたちにして後日ライブで披露する。これがビックリするほどウケないから不思議。 満席のお客さんが全員うつむいて爪いじってた。
脚本の緻密さに驚く
どれほど推敲を重ねたのだろうか。とにかく脚本の緻密さに驚いた。 「幼い頃のトラウマから、心に傷を持つ数学の天才が、自分の人生を肯定的に生きられるようなるまでの物語」というプロットはシンプルかもしれない。 けれど、彼の天才ぶりとハーバード大学という場の設定のリアリティのために、モチーフとして取り上げられる話題の多岐にわたることといったら「ここまで描かなくても」というくらいの気合いの入り方だった。 しかも、それらを「すごいだろう!」で終わりにせず、ショーンの口から「書物による知識では、実際の体験から得られた感動を語れない」とばっさり切り捨てさせ、彼の人格的な歪さまで見事に浮き彫りにする。 観ているこちら側は、見事に敷かれたレールの上を気持ち良く辿りながら、どんどんと登場人物たちのやりとりにハマりこまされていく。 人が人を思うこと。 自信が持てない自分を乗り越える勇気。 本音をぶつけ合う尊さ。 相手をコントロールしようとする愚かさ。 虐待による愛着障害等のラベリングの安易さ。 数えあげればキリがない程、いろんな部分が刺さってくる。 だが、自分が実は一番ハッとしたのは、国防総省にリクルートされた際にウィルが語った、暗号解読の結果がもたらすものについての独白の部分だった。 物語の展開からすれば、あそこまで詳しく資本主義の本質や、世界の不均衡、アメリカ国内の人心コントロールと労使間格差などについて時間を割く必要もないとみる向きもあるだろうが、マット・デイモンからすると、そここそが彼自身の描きたかった(彼自身が信念にしている)公平公正な世界の実現につながる部分だったのだろうと想像する。 マット・デイモンとベン・アフレックの瑞々しい感性に溢れた脚本が本当に素晴らしかった。特に、ラストのベンの笑顔には涙が滲んだ。 そして、やはりロビン・ウィリアムズ! 自分は、もう彼の顔を観るだけでちょっと涙ぐんでしまうくらいなのだが、彼の表情の変化一つで、感情がこちら側に水のように流れこんでくる。 決して大事な所は譲らないが、決して見捨てないという強い意思。 自分も、人と向き合う時には、日々かくありたいものだと思わされた。 あと、自分は、邦題に疑問符をつけてしまうことが多いのだが、この映画に関しては、旅立ちというのは、よいタイトルだったと思う。
最高な作品
2024 59本目 当時、TUTAYAでレンタルして観た。 まだ20歳の頃と今とでは全然違う作品に見えた。 あの頃の映画。 今、改めて観ても最高な作品。 君のせいじゃない。 ショーン演じるロビン•ウィリアムズの言葉に急に涙が。 観てよかった。
恵まれている環境とは何か
ウィルが徐々に心を開いていく様子はおもしろい。 だが才能や友人だけでなくその才能を活かせる場を用意してもらえる状況は、恵まれている環境に他ならないのではないだろうか。 自分の恵まれている環境に気づき目を向けることは難しい。
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