華氏911のレビュー・感想・評価
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戦争の不条理
見終わった後、イラク戦争とはどんな戦争だったか振り返ってみた。開戦理由はイラクが大量破壊兵器を保有しているというものだった。だが、このようなものは探しても見つからなかった。そこで、アメリカはフセインはアルカイダと関係しているという理由を付け加えた。かくして軍事介入は始まったが、911のテロリストはサウジ人であり、首謀者のビンラディンはアフガンにいたので、イラクはなんの関係もない。映画の中でムーアはこの不条理を訴えたかった。
さらにムーアが訴えたかったのは、権力者が正義や愛国主義の美名の下に社会の下層の人を騙して戦争に行かせているという事実である。そして、戦争を決めた権力者の議員の息子で戦争に行っているのは1人だけという事実である。金持ちは戦争で儲けて貧乏人は貧乏人同士で殺し合いをさせられる。見るも無残なイラク民間人の被害者、手足を失った軍人病院の兵士たち、息子を失った愛国婦人の嘆きは見るものの心を強く揺さぶる。
ブッシュ再選を阻止するために作った映画だったが、願いは叶わず、ブッシュは再選した。映画では世の中は変えられなかった。
タランティーノは政治は抜きにしてただ面白いと絶賛し、ゴダールはブッシュの戦争決定はそんなに甘いものではないと批判したらしいが、タランティーノがカンヌ映画祭の審査員長だったから、パルムドールを受賞した。
NHKスペシャル
映画館の大きいスクリーンで上映されても、アニメーションやドキュメンタリーは普通の映画とは全く別物、くらいの常識は持ち合わせていますのでその前提です。
基本アメリカ人を対象にした政治プロパガンタ番組ですから普通の日本人には感覚的に理解できるはずはありませんので、純粋に通常の映画と比較してどうだ、という観点からは、ボウリング同様に劇的効果が随所に見られます。特にロックの挿入の仕方がいつも上手いですね。
内容的には、要は報道番組なので評価はしませんが、主張がかなり偏向していて、自分に都合のよい映像だけをつないでいるような印象が強いので共和党系の人にはマユツバなんじゃないですか?その辺の微妙な判断がアメリカ人じゃなきゃ無理でしょうね。
日本ならわざわざ映画でお金取って見せるよりTVの報道特番でしょう。まあ、ムーア君自身がお騒がせの有名人だから見に行くんでしょうけど。取って見せるよりTVの報道特番でしょう。まあ、ムーア君自身がお騒がせの有名人だから見に行くんでしょうけど。
なにについて?
アメリカ文化も政治のこともわからず、ただただマイケル・ムーアというクレイジーな監督が好きで、「ボウリング・フォー・コロンバイン」で未成年の銃乱射事件についてインタビューを受けたマリリン・マンソンの「おれを犯人にすれば簡単だからだ」という至極まっとうな意見を世間に広めて、アメリカ人に限らず、固定観念の怖さや視野の狭さの恐ろしさを訴え、鑑賞者の知見と見解を広げてくれた監督だから、観た本作。
トランプ大統領を主軸としながら、公害や銃社会、労働、あらゆる社会問題をくみ上げ、その主軸に絡ませながら見せていく。
しかしながら、アメリカ事情に疎い日本人としては、対岸の火事ではないが、何がどうトランプになることでどう作用するのかという「答え」は示されず、抽象的に「これでいいと思う?ダメじゃね?だめだろ」みたいな感じ。
シッコ=医療→が問題。
ボウリング…=銃→が問題。
だとしたら、華氏911=トランプ→が問題…のはずが、前述したようにいくつかの要素が絡んでくる。
なので、「トランプ(個人)」を問題にしてるのではなく、「○○大統領」を問題にしている。
なので、本当に「トランプが大統領になることで、問題①や②や③がどうなるでしょうか?」というようなストーリーにみえた。
マイケル・ムーア監督は、今回は、「問題提起」というより、「興味喚起」のために映画を作ったのかもしれない。
アメリカのことは知らないが、政治への関心が薄れたが故トランプになってしまい、関心が薄いと感じアメリカの民主主義の崩壊を感じたため、こういった映画を作らざる得なかった。
そんな感じもする。そういう姿勢で撮ってるのかな?…という見方で観ていくと、突撃取材の仕方もどこかしらソフトに見える。
もし、トランプ大統領の出現で、自国民の国民性やアイデンティティの危機感を感じ、作らざる得なかった映画だとしたら、トランプ大統領が現れなければ、アメリカの民主主義はもっとあぶなかったかもしれない。そういった意味でもトランプは、ヒーローか悪か。不謹慎だが、あーおもしろい。
映画最高。クリエイティブ最高。
ブッシュの顔
『ボウリング・フォー・コロンバイン』を観た時ほどの衝撃度は無かったが、マスコミで宣伝しているほどブッシュ批判に徹しているとも思えず、むしろ後半の反戦色を全面に出した、考えさせらるドキュメンタリー映画としての印象が強い。
前半はブッシュ親子のダーク・サイド、すなわち大統領選挙の不透明な部分やビン・ラディン一族との関係、といったブッシュ批判に終始しているのだが、単なる共和党に対する政治批判に利用されるためだけのプロパガンダのような内容。また、これを逆手に取って共和党側でも選挙利用されてもおかしくないほど政治的戦略が見え隠れする。
しかし、後半のイラク戦争が中心となった展開は、政治イデオロギーを超えた戦争の無意味さと本土決戦を経験していないアメリカの贖罪さえもうかがえるのだ。それは対照的な描写(同時多発テロの場面は映像がなくなり、イラン戦争では悲惨な光景を映す)によってわかるように、テロによる被災者意識を軽減してイラク戦争にのみ焦点を当てているからだ。そして、兵役に駆り出されるのはいつも貧困層や黒人なのだという事実や、「戦争が何故起こるのか?」といったテーマについて観客にヒントを与えてくれるのです。
日本人の一人としてこの映画を観るときには、対岸の火事のようにとらえることによって「ブッシュは馬鹿だ」とか「米民主党に勝利を」などと短絡的に考えるのではなく、日本における政治・戦争の問題を真剣に見つめなおすことが重要だと思う。
一部の富裕層が世界を動かしている
アメリカの同時テロ前後で、当時のブッシュ大統領がいかに生き延びれたかを描いたドキュメンタリー。
テロ以前のブッシュはもうダメ人間そのもの。支持率低下を防ぐために休まされたり、ゴルフ三昧(それでも生活はできているところが一般庶民とは違う)
テロが起き、国民のために働く大統領として支持率は急上昇。
こんな一場面を見るとテロは仕組まれたものだったのかと疑うとともに、それを口実にアフガンへ攻撃する当たりはもう暴走とも言えるものではないでしょうか。
権力に噛み付くムーア監督の心意気が見れます。
涙がとまらなかった
ブッシュのかおをみて初めて涙しました。
ストーリーがどこまで真実か、それはわからないけど、さまざまな現実の対比に、つながりを感じずにはいられなかったです。
問題提起って大事だと思う。それをただの物語で終わらせないように生きたいです。
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