ファンタスティック・フォー 超能力ユニット : 特集
アメコミの古典ともいえる「ファンタスティック・フォー」が映画化された。アメリカでは今でも根強い人気を誇るが、日本では初めてタイトルを聞いたという人も少なくないはず。そんなわけで、これを知っていれば本作が楽しくなる……というちょっとしたトリビアを集めてみた。
知って楽しい「ファンタスティック・フォー」豆知識
文・構成:編集部
■「Mr.インクレディブル」の元ネタはコレ
「ファンタスティック・フォー」の原作コミックはアメコミ史上初のファミリー・ドラマ。映画ではまだ結婚していないが、ミスター・ファンタスティックとインビジブル・ウーマンは夫婦。映画でも原作でもインビジブル・ウーマンとヒューマン・トーチは姉弟。全員がひとつのビルに同居していて、ケンカや仲直りをしてばかりいる。「Mr.インクレディブル」の母親の手足が伸びるのも、ミスター・ファンタスティックそっくり。
■「ラトベリア」はDr.ドゥームの故郷
今回の映画の画面に2回も登場して、字幕もちゃんと出るのに説明されない地名「ラトベリア」は、原作コミックに出てくるDr.ドゥームの故国の名。マーベル・コミック世界における東欧の小国で、Dr.ドゥームはこの国の王なのだ。これを知っていると映画にこの地名が出てくる場面で「なるほど!」と思えるはず。
■Dr.ドゥームはマーベル・コミック世界でも人気の大物悪役キャラ
Dr.ドゥームは「ファンタスティック・フォー」で生まれた悪役キャラだが、その後、スパイダーマンやアベンジャーズなどとも戦っている人気悪役キャラ。コミックでは、彼は東欧のジプシーの血を引いていて、彼の両親は周囲の差別から命を失ったという設定もある。映画でドゥームの会社の株価が下がったとき、出資者に差別的な発言をされたドゥームが激怒するのは、こんな過去を持っているから。
■「宇宙忍者ゴームズ」
ハンナ・バーベラ・プロダクションのアニメ化作(67~1970)が、69年から日本テレビ系で放送されたときのタイトルがコレ。ミスター・ファンタスティックはゴームズ、ザ・シングはガンロック、ヒューマン・トーチはファイヤーボーイ、Dr.ドゥームは悪魔博士という名前に変更されていた。インビジブル・ウーマン=スーザン・ストームだけはスージーという愛称のままだった。ザ・シングが戦闘の時に叫ぶ決め文句「It's clobberin' time!」の日本語訳「ムッシュムラムラ!」の声や、悪魔博士の名古屋弁が忘れられないというファンも多い。
■スタン・リーが初めてアメコミ・キャラ役で出演
この頃のマーベル・コミック映画化作には、マーベル・コミックの人気キャラたちの生みの親スタン・リーがカメオ出演するのがお約束。だがこれまでスタン・リーが扮したのは通行人などの名前のない人物のみ。ところが、本作では初めて原作コミックに登場するレギュラー・キャラ役で登場。ファンタスティック・フォーが住んでいるビルに郵便を届けに来る郵便配達役で出演している。
■人気スターたちの出演の噂が続々
全米では誰もが知ってる古典名作コミックとあって、映画化作が決まってからは出演者の噂が続々。スティーブン・ソダーバーグ監督がジョージ・クルーニーをミスター・ファンタスティック役にして映画化する説から、ジョーン・アスティンがブレンダン・フレイザーをミスター・ファンタスティック役に映画化する説まで流れた。ヒューマン・トーチ役には「ワイルド・スピード」のポール・ウォーカーという説や、Dr.ドゥーム役はティム・ロスだとの噂も。また、もっともファンの噂が過熱したのはインビジブル・ウーマン役の女優。実際に決定したジェシカ・アルバも評判がいいが、ジュリア・スタイルズ、ケイト・ボスワース、レイチェル・マクアダムスなど若手人気女優が次から次に噂になった。
■アメコミ育ちの監督の意地に注目
監督ティム・ストーリーは70年ロサンゼルス生まれのちゃきちゃきのLAッ子で、「バーバーショップ」「TAXY NY」を全米でヒットさせた注目株。本作についてのインタビューでは「俺は実際にガキの頃からアメコミ読んで育ったからさ」と、昨今のフランス人監督やイギリス人監督のアメコミ映画化作を遠回しに否定して、アメコミ本来の楽しさを映画化すると宣言。全米初登場第1位を記録して、アメコミ育ちの意地の成果を見せた。