エクソシスト ディレクターズ・カット版 : 特集
イントロダクション
(編集部)
26年ぶりの再公開。しかも、失われた11分間が復活した「ディレクターズ・カット」版。日本に先駆けて、9月22日に公開された全米では、現在までにおよそ4000万ドル(約43億円)もの興収を記録、通算での興収も2億ドルを突破し、歴代の30位にランクアップ。これは「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」や「アルマゲドン」をも上回る成績である。誰もが認めるホラー映画の“クラシック”、「エクソシスト」のリバイバルは、関係者の予想を遥かに上回る大成功を収めたわけだ。
ところが日本では、10月7日からロードショー公開だったはずが、公開2日前の10月5日、「フリードキン監督の意向」という理由で急遽公開が延期。新聞にはお詫び広告が掲出され、7日深夜に行われた公式チャットでは、フリードキン監督自らが登場し、延期の理由を語ったが、怒りが収まらないファンたちが猛抗議するという前代未聞の事態が起こった。
74年当時を知る配給関係者は、「当時も超満員で入場できないお客さんが続出したため、新聞にお詫び広告を出したんですよ。やっぱりこの映画、呪われてるんじゃないかな」などと因縁めいた話をしてくれた。映画が映画なだけに、妙に納得してしまう。
そもそも「エクソシスト」は、49年にメリーランド州で実際に起こった事件(奇遇なことに、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の舞台もメリーランド)。をもとに、ウィリアム・ピーター・ブラッティが著した原作を、ウィリアム・フリードキンが映画化したものである。少女に取り憑いた悪魔を、カトリックの神父が祈とうによって追放するという内容は、世界中でセンセーションを巻き起こした。映画を見た観客には、吐き気をもよおしたり、気絶したりする者が続出、また、高名な祈とう師が「この映画を見た者はすべて呪われる」と警告、ロンドンの議会では、ある議員が上映禁止を呼びかけたりなど、本作の上映にまつわるお騒がせエピソードには事欠かなかった。
今回の日本公開にあたって起こった騒ぎは、あくまで「監督の意向」。その顛末はオフィシャルサイトなどをご覧いただくとして、ここでは、26年前に世間を騒がせた原因、つまりこの映画のテーマである「悪魔払い」の現状について少し研究してみたい。