ドリームガールズ : 映画評論・批評
2007年2月13日更新
2007年2月17日より日劇3ほか全国東宝系にてロードショー
ストーリーにリンクした残酷なキャスティングが怖い
時代のニーズに合わせてサクセスしていく者と、頑固に自分を変えない者。どの時代のどんなジャンルのアーティストにも見られるふたつのタイプが、このドラマのベースにあり、同時にテーマにも絡んでいるのが興味深い。前者がディーナ、後者がエフィーだ。面白いのは、映画を見ているうちに、2人の人生を分けたものはそれぞれの声の質にあったと思えてくる点だ。ディーナはおとなしいので、マネージャーのカーティスの操り人形になり、サクセスの代わりに自分らしさを失うという設定だ。だが、彼女にはエフィーのように自分の歌にこだわるほどの声の力がなかっただけ。歌手として成功するために、カーティスの演出が必要だと自覚していたと見る方が、ショービズっぽくて面白い。
それにしてもビル・コンドンはクールな監督だ。声の力では圧倒的にビヨンセを上回るジェニファー・ハドソンをエフィー役に起用。トップシンガーで主演のはずのビヨンセがすっかり割を食ってしまった。しかも人気に翳りが出始めたエディ・マーフィが落ち目の歌手役。ストーリーにリンクした残酷なキャスティングが怖い。
(森山京子)