ネタバレ! クリックして本文を読む
2025.12.15 字幕 MOVIX京都
2024年のアメリカ映画(91分、PG12)
行方不明の妹を探す姉を描いたホラー映画
監督&脚本はクリス・スタックマン
原題の『Shelby Oaks』は映画に登場する地名のこと
物語の舞台は、アメリカ・オハイオ州シェルビー・オークス近辺
12年前の2008年から妹のライリー(サラ・ダーン、幼少期:Sloane Burkett)の行方を探し続けてきた姉のミア(カミール・サリヴァン、幼少期:Brenna Sherman)は、あるドキュメンタリー映画の撮影に加わっていた
ドキュメンタリー作家ジャネット(エミリー・ベネット)の指示のもと、インタビューなどをこなしていくミアだったが、一連の動きに関して彼女の夫ロバート(ブレンダン・セクストン3世)は快くは思っていなかった
ミアは動画配信者だったライリーの側面を語りつつ、彼女が配信してきた映像を組み込んだり、それらに対するネットの反応などと関わっていくことになった
ミアは妹との幼少期の映像を提供したり、色んな話をして、映像がいつか妹の発見の役に立つと信じて疑わなかった
映画は、冒頭20分ほどがミアが関わったドキュメンタリーの制作中の動画となっていて、その撮影が一段落した段階にて現実パートへと入っていく
そのパートにて、彼女の家にある男が訪ねて来て、そこで男は「これで彼女から解放される」と言って、銃で頭を撃ち抜いてしまった
彼はウィルソン・マイルズ(チャーリー・タルバート)という人物で、かつてはシェルビー・オークス刑務所にいた人物だった
そんな彼は、とある事件によって行方不明になっていて、そして突然面識のないミアの家を訪れて自殺をしてしまう
ミアは返り血を浴びて呆然とするものの、彼が握りしめていた「シェルビー・オークス」とラベル打ちがされていたテープを見つけて、一心不乱にその映像を見入ることになった
血を拭うこともなくその映像を見始めるミアは、編集前に撮り溜めていた素材を見ていくことになった
そこには、オフショットもたくさん残されていて、ミアはその映像に涙を禁じ得なくなってしまうのである
映画では、シェルビー・オークスがどんな場所で歴史があるかを描いていき、この街が現在軸における12年前(2008年)を境に変貌してしまったことを告げていく
奇しくもその時期の頃にライリーは様子がおかしくなっていて、さらにウィルソンが刑務所から逃げたのも同じ頃だった
ミアの中で一つずつピースがハマっていき、夫のロバート(ブレンダン・セクストン3世)は「病院に行け」とまで言ってしまう
夫の忠告を無視して事件にのめり込んでしまうミアは、警察は当てにならず、ウィルソンの死によって妹は見つからないと思い込んだ
そして、ライリーたちが最後に訪れた刑務所跡に乗り込んでしまうのである
いわゆる動画配信者の失踪というあるあるネタで、映画全体は半分がモニュメンタリー形式で作られている
さらにライリーたちが残した動画とか、当時のテレビ番組、ニュース映像、新聞記事などが引用されていく
そんな中で、ライリーの友人3人の遺体が見つかったと報じた新聞記事の写真には、右側の茂みにちゃっかりとノーマ(ロビン・バートレット)が映り込んでいたりする
また、ライリーの最後を映していた映像は、かつてライリーが歌唱動画を撮っていたテープとなっていて、その映像が時折映り込んでいるという演出がなされていた
その歌唱シーンでは「お姉ちゃん。私を見つけて」と歌っていて、さらに残されたテープには「MR(ミアとライリー)」と書かれたマークを指差しながら「お姉ちゃんにはわかる」と説明していたりする
何かしらの危機を感じていたライリーは姉にメッセージを残していて、それがうまく作用して発見へと至っていた
とは言うものの、現実的にはあり得ないことの連続であり、自殺者の持っていたテープを警察に黙って入手するとか、それを観るなどの行為は映画としても誇張が過ぎる
さらに、映像を観るミアは何かに取り憑かれているように描かれていて、顔じゅうに掛かった返り血すら拭うことはなかった
考察系の映画なのだと思うが、ぶっちゃけると考察しようのないほどに説明されまくっているので、どこを深堀すれば良いのかもわからない
あまりふれそうにもない考察のテーマとするならば、ミアに子どもが生まれない設定だと思うが、妄想のような考察しか飛び交わないように思える
映画には、超常的な存在としてのタリオン(悪魔)とインキュバス(夢の悪魔)なる言葉が登場し、これらの一連の事件はタリオンによって引き起こされたように見えてくる
ミアの不受胎を受けて、悪魔は狙い方を変えているように考えられる
悪魔との子どもを産み、育てるためのターゲットとしてミアが選ばれたが、彼女にはそれができないためにライリーに出産の代役をさせようとしたように思える
そして、数々の失敗の末に誕生したのがラストに登場する赤ん坊だった
この一連の流れに納得できる人は少なそうだが、ラストではミアの瞳の色が変わるという演出がなされていて、タリオン=ミアという構図も捨てきれないのだろう
霊感の強いライリーがタリオンを見つけ、タリオンはその気づきによってミアを見つけることに成功している
そして、ミアに悪魔の子どもを育てるために巻き込んでいくのが本筋のようなのだが、実はすでにミアは悪魔に乗っ取られている、あるいはミア自身がタリオンだったという仮説を立てることは不可能ではないように思える
それゆえに、ガバガバな情報の中で考察が生まれるタイプの映画なので、正解というものが無いに等しいように感じるのである
いずれにせよ、新聞記事の写真にノーラが映っているとか、歌唱動画の重ね撮りなどが登場するので、細かく見ていくと発見はあるのだろう
それでも本作はカルト系映画の域を出ることはなく、それ以上でも以下でも無いというのが率直な感想だった
怖いかどうかは「悪魔を怖がるかどうか」にかかっているのだが、「面白いかどうかは観客の知識量に委ねられている」という部分があると思う
それゆえに、核心に興味が持てない人ほど早々に脱落するだろうし、完走できてもモヤモヤが残り続けることを考えると、あまり人にはオススメできない映画なのかな、と感じた