殺し屋のプロット

劇場公開日:2025年12月5日

解説・あらすじ

マイケル・キートンが監督・主演・製作を務め、記憶を失いつつある老ヒットマンが完全犯罪に挑む姿を描いた犯罪ノワール。

2つの博士号を持ち、元陸軍偵察部隊の将校という異色の経歴を持つ殺し屋ジョン・ノックス。ある日、急速に記憶を失う病により、数週間以内にすべてを忘れてしまうという宣告を受けた彼は、殺し屋稼業に終止符を打つ決意を固める。ところがその矢先、長年絶縁状態だった息子のマイルズが現れる。マイルズは娘をレイプした男を殺したことを告白し、その殺人の罪を隠してほしいと涙ながらに懇願してくる。ノックスは息子のため、刻一刻と記憶を失う中で、人生最後の完全犯罪に挑む。

主人公ノックス役をキートンが演じるほか、ノックスの盟友ゼイヴィア役を名優アル・パチーノ、元妻のルビー役を「ポロック 2人だけのアトリエ」でアカデミー賞を受賞したマーシャ・ゲイ・ハーデン、息子のマイルズ役を「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデンがそれぞれ演じる。

2023年製作/115分/G/アメリカ
原題または英題:Knox Goes Away
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2025年12月5日

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映画レビュー

3.5 クールな中にも情感が漂うマイケル・キートン流浪花節。

2025年12月31日
PCから投稿

ひねりの利いたソリッドなノワールスリラー。なんならソダーバーグあたりがサラッと撮りそうなジャンルで、マイケル・キートンが監督&主演。物語のツイストが早めに読めてしまうのはちょっと物足りないが、ソダーバーグであればどこまでもクールに撮りそうなところを、キートンはどことなく浪花節に、情感を込めていて、撮る人が違えば映画はまったく違う性格を帯びるという好例だと思う。気がつけばマイケル・キートンは74歳。この調子でジャンル映画を極めてもらってもいいし、また全然違うタイプの映画も監督してもらいたいところ。

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村山章

3.5 バランスの難しい素材をクレバーかつ明快に織り成している

2025年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

マイケル・キートンが長編監督を手がけるのはこれで2回目。その作品選びの基準は非常に独特で、派手さはないが堅実な面白さや人間関係の妙を秘めた素材を、彼は最初から術を心得ているかのように迷いなく、無駄なく真摯に調理してみせる。「記憶を失うプロの殺し屋」というありふれた人物像も、熟練のキートンの手にかかれば途中までは安心感が漂い、途中からは何が正常なのか靄に包まれゆく適度なミステリーがグラデーションを成す。このバランス感覚にハマるかハマらないかが楽しめる/楽しめないの境界線となりそう。加えて、シニカルさとユーモアとのバランスも心地良く、特にアル・パチーノが登場してからは単なるちょい役とは一味違う飄々とした立ち回りが笑いを誘う。そして追う側の女性刑事も、彼女は彼女で家族の事情を抱えているのが面白い。敵味方ではなく、パズルのごとく人と人とが入り組んで陰影を彩る、なんとも蔵人好みなノワール世界である。

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牛津厚信

3.5 記憶を失っていく状況を追体験させるかのような映像表現

2025年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

知的

すでに伝説の俳優となっているアル・パチーノがマイケル・キートンと初共演しているというだけでも、映画ファンにとって必見の作品と言えます。除隊したノックスを殺し屋にスカウトし、彼の“最期の仕事”に協力するゼイヴィアを、傑作「ゴッドファーザー」シリーズなどでアカデミー賞に9度ノミネートされ、「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」で同賞を受賞したパチーノが演じています。ノックスとの長い関係の歴史と去りゆく友への想いを、その佇まいや息遣い、目の表情だけで表現し、パチーノが画面に登場しただけで、裏の世界で生きてきた2人の関係性に緊張感と説得力を与えます。

しかし、本作は、彼らの演技をじっくりと堪能できる作品とともに、実は映像表現にも独特なこだわりを見せています。まるで記憶を失っていくノックスの状況を見る者にも追体験させるかのように、カメラのフレームは瞼を閉じるようにフェードアウトしたり、シーンやカットが飛んだりします。そうしているうちに、今見ているのは劇中の現実なのか、ノックスの記憶や頭の中で曖昧になっていく世界なのかわからなくなってくるという仕掛けです。記憶を失う直前の、明晰な頭脳と膨大な知識を駆使して計画したノックスの“完全犯罪”は果たして完遂するのか、最後まで目が離せません。

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和田隆

4.0 上質のミステリ小説に似た味わいと、温かな余韻

2025年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

驚く

グレゴリー・ポイリアーによる脚本がまず巧い。読んで惚れ込んだマイケル・キートンが主演・製作に加え、自身2度目となる監督まで買って出た(初監督は2008年製作の「クリミナル・サイト 運命の暗殺者」)。記憶障害を扱ったサスペンス映画としては、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」とアンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」という2大傑作があり、これらには及ばないものの、「殺し屋のプロット」もよく練られたストーリーが知的好奇心を刺激する。ベテランの殺し屋が認知症を患うという設定が似ている「MEMORY メモリー」、認知症の老人がナチス逃亡犯への復讐の旅に出る「手紙は憶えている」も思い出される。高齢化と認知症患者の増加は世界的な傾向であり、ドラマ作品はもちろんのこと、サスペンス系でもこの題材を扱う映画が増えそうだ。

アクションシーンを雑多に散りばめたB級サスペンスとは趣を異にする。凄腕ヒットマンのノックスにしてはあり得ない序盤のミスと、後半に自らが襲撃されて対処するシークエンス、アクションの見せ場はその2つのみ。ミステリ要素が盛り上がっていくのは、長年絶縁状態だった息子マイルズが衝動的に犯した殺人の現場の後始末を、ノックスが引き受けてからだ。しかし彼が熟考の末に開始した工作は、それ一体どういうこと?と観客に疑問を抱かせることの連続。やっぱり病気のせいで頭がぼけているのか、それとも息子のことが憎くてやっているのか?

そうした疑問を生んだ伏線はわかりやすく回収され、満足感とともに温かな感情を呼び覚ますエンディングに至る。地味ではあるが、滋味豊か。アル・パチーノの元気な姿を見られたのも嬉しい。

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高森郁哉