トレイン・ドリームズ

配信開始日:2025年11月21日

解説・あらすじ

20世紀初頭の激動のアメリカを舞台に、森林伐採に従事する男の愛と喪失を、美しい映像とともに描いたドラマ。

幼い頃に両親と別れ、太平洋北西部の森の中で育ったロバート・グレイニアは、グラディスという女性と恋に落ちて結婚し、一緒に暮らす家を建てる。森林伐採の仕事に従事する彼は、遠征で訪れた土地の風景やともに過ごした仲間たちの記憶を心に刻みながら鉄道事業の拡大に貢献するが、その一方で愛する妻や幼い娘と離れて暮らすことを余儀なくされる。やがて予想外の人生の転機を迎えたロバートは、自分が切り倒してきた木々に美しさと残酷さ、そして新たな意味を見いだしていく。

デニス・ジョンソンの同名小説を原作に、「シンシン SING SING」の脚本を手がけたクリント・ベントリーが監督を務め、同作の監督グレッグ・クウェダーがベントリー監督と共同で脚本を担当。「ウォーリアー」「ラビング 愛という名前のふたり」のジョエル・エドガートンが主人公ロバート、「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズが妻グラディスを演じ、「ファーゴ」のウィリアム・H・メイシー、「イニシェリン島の精霊」のケリー・コンドンが共演。第98回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、撮影賞、主題歌賞の4部門にノミネートされた。Netflixで2025年11月21日から配信。

2025年製作/103分/アメリカ
原題または英題:Train Dreams
配信:Netflix
配信開始日:2025年11月21日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第83回 ゴールデングローブ賞(2026年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) ジョエル・エドガートン
最優秀主題歌賞
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Netflix映画「トレイン・ドリームズ」11月21日(金)独占配信

映画レビュー

4.5 人の世の儚さと愛おしさが身に染みる

2025年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

ピューリツァー賞候補にもなった小説をジョエル・エドガートン製作総指揮&主演、『シンシン/SING SING』('23年)で知られるクリント・ベントリー監督で映画化した本作は、アメリカの近代史を生きた1人の季節労働者の人生にフォーカスしている。

家庭の温もりを知らず、鉄道会社による森林伐採を請け負う男が、やがて、愛する人と巡り合い、子供にも恵まれるが、その後、不幸のどん底に突き落とされるものの、やがて、時代の変化を潜り抜けてきた自らの半生を肯定するに至る。彼がその間垣間見たのは、文明による自然破壊、人種差別と暴力、第一次大戦による経済不況、そして、人の世の儚さだ。

台詞を極端に少なくして、一見不運にも見える主人公の人生を介して語りかけてくるのは、より大きな視点から俯瞰すると人間の営みとは何と小さな出来事かということ。そういう意味で、見終わると妙にポジティブな気持ちにもなれるのだ。

主演のエドガートンは勿論、彼が出会う忘れられない人々を演じる脇役たちが素敵すぎて、切ない気持ちになる。すでに本年度のゴッサム・アワードで長編映画賞と脚色賞にノミネートされていて、オスカーにも絡んでくる可能性が高い。

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清藤秀人

3.5 彼の喪失感に胸が苦しくなる

2026年2月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

幸せ

全体的にトーンを抑えた静かな演出で一方で生き物や自然が綺麗に映えており、その中で彼の経験した喪失感が彼の表情や仕草を通して描かれ、物語展開や音楽であからさまに泣かせにくるのではなく静かに心に響く作品でした。

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にち

3.5 人生とは

2026年1月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

彼の人生は決して平坦ではなく、
深い苦しみの中ずっと生きてたように見えるけど、
画面を通して観る映像は綺麗で、
その美しさは彼の人生の美しさに等しいのだと思いました。

彼の身に起こる事は綺麗事だけではなくて、
人間の嫌な部分もあり、上手く行かない事もあったり、
不幸が起こったりしんどい人生だけど、
それでも全て繋がっていて、
起こるべくして起こったことで、
陳腐な言葉になるけど、彼の人生に於いて必要な事だったようにも思う。

立ち直るというよりは、自分の身に起こったことを
真正面から受け止めて正しく苦しみ狂う姿は、
こうあるべきだなとも思いました。

正直長い映画だったけど、ラスト10分くらいの
彼の人生のまとめ方は感動的でした。

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奥嶋ひろまさ

4.5 『トレイン・ドリームズ』——アイダホの土に刻まれた「生命」の記録

2026年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

本作は、デニス・ジョンソンの同名小説を原作に、20世紀初頭のアメリカ北西部、アイダホ州ボナーズ・フェリー周辺の峻烈な自然を舞台に、一人の労働者グラディスの生涯を追った映画だ。それは「物語」というよりは、むしろ「歴史の地層に埋もれた一編の詩」を掘り起こすような体験である。
本作の最大の特徴は、テレンス・マリックを彷彿とさせる叙情的な映像美を湛えながらも、第三者のナレーションによる徹底した「客観性」を貫いている点にある。このナレーションは、個人の感情をドラマチックに煽ることを拒絶する。それは、激動の時代の中で翻弄される男の生を、アイダホの荒野に打ち込まれる「事実の杭」として固定していく作業のようでもある。観客は、グラディスの苦悩に安易に没入することを許されない。代わりに、彼を「風景の中に点在する一つの生命体」として、ある種の畏敬の念を持って見つめることになる。
カメラが捉えるアイダホの風景は、単なる背景ではない。切り立った断崖、深い針葉樹林、そしてすべてを焼き尽くす森林火災。撮影者は、自然光を頼りに、その土地の「湿度」と「質量」をカメラにしっかりと記憶させている。アイダホのこの地は、かつて先住民の聖域であり、後に金鉱掘りや鉄道労働者が命を削った「フロンティアの終焉」の最前線である。この映画におけるフレーミングの美しさは、人間が自然を征服しようとした傲慢さと、それさえも飲み込んでしまう土地の抱擁力を、同時に描き出している。感動に値する美しさだ。

グラディスは、自分が敷いた線路(文明)を歩みながら、愛する者を失い、やがて孤独の中に溶けていく。しかし本作は、その孤独を「悲劇」とは感じさせない。ラストシーンで見せる俯瞰の視座は、彼がアイダホの厳しい風土の一部へと還っていくプロセスだ。「こうあるべきだった人生」という執着を捨て、ただ「そこに居た」という事実を受け入れる。それは、運命というドラマティックな味付けを削ぎ落とした先に現れる、「生命としての役割を地球の営みとして許容する」という、究極の解放である。
この映画には、運命に抗うヒーローも、過剰な悲劇も存在しない。タイトルにある「トレイン・ドリームズ」とは、敷かれた線路(人生)を走る列車から流れる車窓の風景のようなものだ。主人公は、自分が引いた道(線路)を歩みながらも、最後にはその道を俯瞰的に眺める視点へと至る。それは「こうあるべきだった人生」という執着からの解放であり、自らの生を「地球の営み」の一部として受け入れる視点である。孤独をかわいそうなものとしても、気高いものとしても扱わない。ただ、火が燃え、木が芽吹き、人が生き、そして去るという、アイダホの森で繰り返される循環の一部として歴史の余白に漂う、男の生涯を描いている。

私はこの映画を通じて、自分自身の人生をも「人ごとのように」眺める視座を得たとき、自分の歩いた道が、いつか誰の所有物でもない風景の一部になることへの、静かな安らぎを得るであろう。本作は、映画という媒体を用いて試みられた、最も誠実な「生の反芻としての、光の断片」である。

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KAPARAPA