クラッシュ(2005)

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家ポール・ハギスの長編初監督作。ロサンゼルスを舞台にさまざまな人種や境遇の人々が織りなす“衝突(クラッシュ)”の連鎖を描き、2006年・第78回アカデミー賞で作品賞・脚本賞・編集賞を受賞した。クリスマス前のロサンゼルス。黒人刑事グラハムと同僚で恋人のリアは、追突事故に巻き込まれる。その前日、ペルシャ系の雑貨店主ファハドは護身用の銃を買おうとするが、銃砲店で不当な扱いを受ける。白人の地方検事リックと妻ジーンは若い黒人男性2人組に車を強奪され、ジーンはマイノリティに対し差別的な態度をとるように。白人警官ライアンは黒人のテレビディレクター・キャメロンとその妻が乗る車を強制的に停止させ、屈辱的な尋問を行う。ライアンの相棒トムはその行為に嫌悪感を抱くが……。

2005年製作/112分/アメリカ
原題または英題:Crash
配給:ムービーアイ
劇場公開日:2006年2月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第30回 日本アカデミー賞(2007年)

ノミネート

外国作品賞  
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映画評論

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写真:Everett Collection/アフロ

映画レビュー

4.5描いているのは人種差別だけじゃない。

2024年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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共感した! 3件)
すっかん

4.0【今作は、様々な人種同士の”衝突”が複雑に連関していく様を、数々のシーンで描き出した見事なるシニカルorヒューマン群像劇であり、登場人物同士の相関図を書きたくなる、脚本が抜群に上手い逸品でもある。】

2024年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

<Caution!内容に触れています。>

ー この作品は、様々な人種間の”衝突”シーンが見事に連関する様を、凄いハイクオリティなる脚本で描き出している。驚きである。ー

■その凄い脚本設定の一部を記載する

  1.差別主義者の白人警官(マット・ディロン)とそんな彼を嫌う若き同僚が、黒人TVディレクターとその妻が乗る車を停めて、TVディレクターの妻の身体を”完全にセクハラ行為”で調べるシーンからの、その白人警官が命懸けで事故に遭った黒人TVディレクターの妻を助ける姿。

  2.妻が”セクハラ行為””をされたのに、何も抗議出来なくて、妻に詰られフラストレーションが溜まった黒人TVディレクターが自暴自棄になって、自分の車を停めた白人警察官達に怒鳴り込むも、差別主義者の白人警官を彼を嫌う若き警官に止められるシーン。

  3.黒人の若者2人が、レストランでナカナカ食事が来なかった事に腹を立て、偶然見た白人検事(ブレンダン・フレイザー)と妻(サンドラ・ブロック)のSUVを銃で奪って逃げるシーンからの、白人検事の妻が日ごろから抱いている黒人蔑視思想が爆発するシーン。妻が怒りが収まらずに、ドアを直してくれているメキシコ系の錠前屋(マイケル・ペーニャ)の事を、ギャングと思い”全てのドアの鍵を変えてくれ!”と夫にヒステリックに叫ぶシーン。
  だが、最後半、彼女が自宅の階段から転げ落ちた時に助けに来たのは、彼女が普段から軽視していた黒人メイドだったシーン。

  4.その黒人の一人がヒッチハイクをした車の運転手が、差別主義者の白人警官を嫌う若き警官の車に乗せられるも、誤解から白人警官に車内で撃ち殺されるシーン。

  5.もう一人の人種差別思想を持つ黒人青年が、白人検事夫婦から奪ったSUVでアジア人を車で轢いてしまった時の対応と、その車を売ろうとしたときに売買先の男から与えられたボロイバンに多数乗っていた密航して来たアジア人を、密かに自由の身にするシーン。

  6.ペルシャ系の商店主が、ドアを直して貰うつもりだったメキシコ系の錠前屋の仕事が雑で、店内を荒らされた事に対し激昂して彼の家を訪れた際に、父を庇おうとした娘に発砲してしまうが、その前に購入した銃弾が空砲だった事から、娘の事を天使と呼ぶ姿・・。

<等々、書いて行くときりがないが、良くぞこれだけ入り組んだシニカルorヒューマン群像劇を書いたモノだと感服する作品である。
 今作で数々登場する人たちに、真なる悪人は居ない。
 今作は、ちょっとしたボタンの掛け違いで、差別主義者が善人になり、善人が悪意無き罪人になる様を、人種の壁を意識しつつ描き出した逸品なのである。>

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共感した! 7件)
NOBU

5.0いろいろなものがズシリときました

2024年11月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

登場人物がとにかく豪華キャストで贅沢な作品でした
冒頭から人種差別がすごくて少し驚くほど
差別による暴力はないけど、あらかさまに差別発言をする警官、その警官だけじゃなくてそれぞれの人が違う人種の人への考え方がひどい
アジア系はみんな中国人、ペルシャ人でもイスラム系は一括り、そういう事自体が差別なのかもしれません
白人もアフリカ系もヒスパニック系も全員が全てハッピーな人じゃなくて、なにかしら悩み事や重いものを抱えている人達ばかり
誰かに焦点を当てたストーリーじゃなくて、それぞれの人が繋がっていくストーリー展開で新鮮でした
良い繋がりも悲しい繋がりもあり、それが後半一気に繋がっていきます
それで明るい未来が見える人もいれば、救われた気持ちになれる人、ただ悲しくなる人に傷付けられた人、いろいろです
一番傷付けられたと思えたのは刑事のグラハム
一番悲しくなったのは警察官のトム
特にトムは人種差別に嫌悪感を感じながら無意識に根底ではそういうものがあったように思えて、それがあの悲劇に繋がったように思います
登場人物全員にいろんな想いが湧いてきて、深い余韻が残る作品でした

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共感した! 2件)
小町

4.0感情と理性の葛藤

2024年4月21日
iPhoneアプリから投稿

何度観たことだろう。
観るたびに感心させられる。よくこんな映画を作れるものかと。監督および脚本、その他製作陣に拍手を送りたい。

あらゆるところで、いろんな差別、偏見が存在している世の中で、ある事がきっかけで、いい人が悪い人になったり、悪い人がいい人になったり、不思議です。
生きて行くうえで何が大切なのかを考えさせられます。

これだけさまざまな登場人物の出来事をうまくまとめてつなげていく展開は素晴らしいの一言です。

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nobu