みんな、おしゃべり!

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劇場公開日:2025年11月29日

解説・あらすじ

日本手話とクルド語を題材に、ろう者の日本人家族とクルド人一家が繰り広げる誇り高き小競り合いの行方を描いたコメディ。

古賀夏海は電器店を営むろう者の父と弟と暮らしているが、ある日、一家は同じ町に暮らすクルド人家族と些細なすれ違いから対立してしまう。両者の通訳として駆り出されたのは聴者である夏海と、クルド人一家の中で唯一日本語を話せるヒワだった。お互いの家族の通訳をするなかで、夏海とヒワの間には次第に信頼関係が生まれるが、両家の対立は深まるばかり。そんなある日、夏海の弟・駿が描いた謎の文字が、町を巻き込む事態へと発展してしまう。

「愛のゆくえ」の長澤樹が主人公・夏海を演じ、東京・西日暮里でラーメン店を営むろう者の毛塚和義が夏海の父役で演技に初挑戦。テレビドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」の那須英彰と「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の今井彰人が父の友人役、「笑いのカイブツ」の板橋駿谷が町おこしを計画する団体職員役、「ハケンアニメ!」の小野花梨がろう学校の先生役で共演。「なんのちゃんの第二次世界大戦」などの監督作で知られ、自身もCODA(ろう者の親を持つ聴者の子ども)である河合健がメガホンをとった。

2025年製作/143分/G/日本
配給:GUM
劇場公開日:2025年11月29日

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(C)2025映画「みんな、 おしゃべり!」製作委員会

映画レビュー

5.0 わかりあえないけど、一緒にやっていける可能性

2025年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

これはすごい。人の分かり合えなさについて深い洞察があった上で、きれいごとじゃなく一緒にやっていくために何が大事なのかをあきらめずに追いかけている。安易な多数派による包摂を批判しているのもいいが、それよりも本当の意味でマイノリティの視点から多数派の欺瞞を見せているのがすごい。最後はディスコミュニケーションのまま仲良くなってしまうのもいい。
本作はろう者のコミュニティとCODAの娘、それからクルド人コミュニティと日本育ちのクルドの青年が登場する。互いに言葉が通じない2つのコミュニティはことあるごとに衝突する。間に立たされるCODAの娘とクルド人青年は通訳をさせられるわけだが、2人の通訳に関するスタンスの違いがとても興味深いポイントで、ここは是非みなさん鑑賞して考えてほしいポイントである。
本作は異文化同士の衝突であり、言葉をアイデンティティとする人々の物語でもある。日本手話という日本語とは異なる言語と、母国では使用できないクルド語。そして、子どもたちが編み出すなぞ言語。日本語も含めて4つの言語が出てくると言ってよいと思うが、言葉とはただの媒介ではなく、もっと深い何かであるというのが伝わる作品だ。

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杉本穂高

5.0 それ、この映画で解決してるから

2026年1月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ぴあフィルムフェスティバル2021入選の野辺ハヤト監督がオススメされていたので12/1に鑑賞。

たまに、その映画を観る前と観た後で、全く映画の見方が変わるような作品に出会いますが、
『みんな、おしゃべり!』も、ちょっとそれに近いものがありました。

この映画を観た後は、どの映画を観ても
「その問題『みんな、おしゃべり!』で解決してるから。」と思ってしまう。笑

もはや、世の中のあらゆる問題を全て包括している映画と言っても過言ではない。

“障がい”や“人種”でカテゴライズされる人たちと、その仲介者となる子供たち。
アカデミー受賞作『コーダ』や『エール!』をご覧になった方も多いと思いますが、『みんな、おしゃべり!』は更に上の次元を描いた映画でした。

笑えるし、ブッ飛んだ展開に驚かされるし。
おっさん3人で台車を押す後ろ姿が、あまりにも愛しすぎて泣けました。

見終わった後、劇場の階段を降りながら、頭の中に広がる感想が日本語ではない自分に驚きました。
ぜひこの感覚を体感してほしい!
私たちは体の全てを使って伝えることができる。
矢野顕子 を彷彿とさせる音楽も「なるほど。だからか!」と納得。

小野花梨ちゃんも、考えさせられる役どころで出演されていました。
手話は言語だと言われていますし、国や地域に独自の手話があることは知っていましたが、“上手い手話”や“美しい手話”があることに気づかされました!
日本語だって方言もあれば、スラングや美しい言い回しもあるのと同じ。
手話はとても豊かな言語なのだと実感しました。

もう一つ心に刺さったのは、バイアスを取っ払って直接対話することの大切さ。
間に通訳が入ることの危うさも描かれていました。

今は便利なアプリもあるし、手話を含めた言語の壁はいくらでも低くできる。
たとえ間違いや誤解が生じたとしても、「伝えたい気持ち」と「知りたい心」でコミニュケーションを取り続けることが何より大切なのだと感じました。

ここまで盛りだくさんの内容を1本の映画に纏めた河合健 監督、すごいです。
良い意味でこの映画に捉われ続けています。

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NUMAYA

4.5 「コミュニケーションは言葉だけでない、想いは言葉を超える」

2026年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

斬新

癒される

 公開初日、舞台挨拶がおこなわれる満席の1回目を鑑賞した。映画館には上映前からホールにすごい人。特にろう者の方が多く、手話で会話をしていました。普段あまり接点がない人とスクリーンを見ながら想いを共有できるのは、まさに映画の力を感じました。

 ストーリーは、電気店を営むろう者の父、和彦と仲間たちと弟、駿コーダの姉、夏海、街のPR動画を作る健常者、そしてクルド人の家族や仲間という、多種多様な人々が混然一体となり様々なことで対立したり理解し合うというものです。

 河合健監督はコーダとして生きてきました。健常者として生まれ育つと、めったにろう者の方とコミュニケーションをとる機会はありません。ろう者の方も健常者に対して同様でしょう。ましてクルド人とコミュニケーションをとるなどまったくもって機会はありません。なぜか、互いに理解できる手話や言葉がわからず「会話」が成立しないからです。

 「会話」が成立しないと誤解がうまれたり相互理解ができません。この映画でろう者の和彦と仲間たち駿と夏海は手話で「会話」をするので問題はありません。しかしクルド人となると言葉が違うことによって「会話」は成立しません。ただ日本で生まれ育ったヒワが通訳者として「会話」を成立させようとしますが、なかなかうまくいきません。ただ夏海とヒワは日本語が通じるので「会話」が成立し相互理解も進みます。夏海はコーダとしてろう者との通訳者として苦労しています。ヒワも日本語の通訳者として同様です。

 手話や言葉が違うと本当にコミュニケーションはとれないのでしょうか。夏海とヒワは街に繰り出し、言葉にならない「デタラメ語」で楽しそうに「会話」しています。言葉がわからなくても気持ちは通じ合うのです。駿がそのことを代弁しています。駿はヒワのノートを見てトルコ語をもとにオリジナルのカードを作成します。そのカードでヒアや友達や家族と充分コミュニケーションがとれるのです。

 反目していたクルド人が和彦の店に来てクルド語で「あなた電気屋だよね。店の停電を直してくれ」というが、和彦は言葉も聞こえないし、クルド語もわかりませんが、なんとか身振り手振りで指示を出したり懸命に修理し、無事停電が解消されます。

 夏海とヒワの「デタラメ語」、駿オリジナルのカード、和彦とクルド人たちとの和解。言葉がわからなくても、伝えたい気持ちがあれば想いはつながるのです。きっと映画館で字幕を観ていたろう者の方々と健常者も「言葉」という壁を乗り越えて映画を楽しんだと思います。

 河合健監督の本作にこめる想いの強さが伝わってきました。現場ではろう者の方、健常者、クルド人が入り乱れて、映画を作るのはカオス的状況でかなり苦労したと想像出来ます。また字幕の入れ方も変わっていてクルド語については一切字幕がついていません。それは映画を見る人にあえて「わからい」環境に置くことによって見る者の想像力を掻き立てようとしたのでしょう。そしてラストシーン。啞然呆然としましたが、どんな者とも必ずコミュニケーションは成立するという河合健監督の矜持が伝わったエンディングでした。

 映画館で見て、非日常を体験しませんか。まだ上映中ですので未見の方はぜひ映画館で「わかりあえる」ことを体感してみてください。

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かな

5.0 オリジナル言語やジブリッシュまで、コミュケーション課題を描いた傑作

2026年1月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

新年一発目は、昨年末単館公開なのに2025年ベスト入りに選んでる方がチラホラのこちら。同じこと思ってた同志で朝の回から満員御礼でなんか縁起よさそう。

電器店を営むろう者のシングルファーザーが、街おこしでお店が持ち上げられ、近くにオープン準備してるケバブ店のクルド人軍団とトラブルになる話。

家族で楽しめるドラマとして「侍タイムスリッパー」クラスのクオリティ。監督自身もCODAということは関係なく、むちゃくちゃスリリングでコミカルなエンタメになってる。

言語によるコミュケーション課題を描きつつ、じゃあどうすればいいかという提案まできっちり語るのに感服した。

演劇でデタラメ語でコミュケーションの演技の練習をするメソッド、ジブリッシュを表現してると思った。

衝撃のラストを観客に向かって突きつけるのも映画館での体験ならでは。

上映時間は長めですが、このくらいの尺かけて描くのは当然の内容。素晴らしかったです。

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minavo