「第2チョコレート工場の味」チャーリーとチョコレート工場 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
第2チョコレート工場の味
ロアルド・ダールの名作児童小説2度目の映画化。2005年の作品。
ティム・バートン監督×ジョニー・デップの名コンビの大ヒット作で、本作で一般的に“チョコレート工場”が浸透したと言っていい。
話は同じ。
今は閉鎖されたチョコレート工場。その経緯や数々の伝説で、より謎めいた感を出している。
ウンパルンパも。何処から来たとか、元々どういう種族だったとか、工場で働く事になったきっかけとか。にしても71年版とは全くの“別種族”だが、歌って踊るのは好き。
ウォンカ個人もより掘り下げ。ジョニデの妙演でエキセントリックなウォンカ像。しかし時折“家族”の話になると…。厳格な歯科医だった父親(クリストファー・リー!)との幼少時のトラウマ。
一方のチャーリーとその家族。チョコを皆で分け合って食べるなど、貧しいながらも幸せで温かな家族。『ネバーランド』で共演したジョニデの推薦。フレディ・ハイモアがとってもピュア。
“家族”が話の要になっている。
招待されたチョコレート工場の不思議な不思議なその中。
トリックアート的だった71年版に比べ、カラフル&ファンタスティックに。
バートン印のダークさは控え目だが、ユーモアというよりブラックジョークはいっぱい。ロアルド・ダール×ティム・バートン、ぴったりカラーが合った。
昔見た時も思ったが、生意気欲深子供たちがお仕置きされるのは痛快。しっかり教訓になっている。
“ウンパルンパの仕置唄”。71年版は所々ミュージカルだったが、本作はウンパルンパがその都度歌って踊るのみ。しかも結構今風に。
その楽曲やウォンカ登場シーンの曲もキャッチー。盟友ダニー・エルフマンの耳に残る音楽作りもさすが。
名作映画のオマージュもあり、バートンの遊び心いっぱい。でも惜しむらくは、“テレビジョンの部屋”で『2001年宇宙の旅』じゃなく『ゴジラ』とかだったら…。
工場招待の目的も同じ。
が、ラストはちと一捻り。
“景品”を譲られるチャーリーだが、条件は全てを捨てて。家族なんて厄介。
何より家族が大事なチャーリーはこれを断る。
ウォンカには訳が分からない。
分からないなら、会いに行けば?
チャーリーに付き添われて、ウォンカは父親と久々の再会。
そして彼も知る。“家族”を。
ウォンカは父親と和解し、チャーリー家に招かれて。
チャーリーは工場を引き継いで、家族と一緒に。
チャーリーも家族もウォンカも、一生幸せに暮らしました。
第2チョコレート工場は…
ちょっぴりブラックだけど、後味はぽかぽかホット。