劇場公開日 2006年7月1日

「子供向けアニメで、進歩史観へのアンチテーゼを説いている」カーズ tさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0子供向けアニメで、進歩史観へのアンチテーゼを説いている

tさん
2018年1月22日
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この物語は、傲慢な一匹オオカミの男の成長物語。
そして、現代社会風刺。
進歩史観へのアンチテーゼ。
そして、ノスタルジー映画でもある。
子供向けアニメで、これほどの多くのものを含めて、かつ、エンターテインメント性も申し分ない。

トイストーリーよりもカーズが好きです。

今だからこそ、現代人はこの映画をもう一度観た方が良い。

現代の主流の考え方。それは、
私たちは苦しいことや戦いに勝った先に幸せ、成功がある。
すなわち、幸せになるために、勝つために、成功するために生きる、という考え方である。
しかしそれは、キリスト教に端を発する、進歩史観、いわゆる1つの哲学でしかない。
死んだ後に天国へ行ける。
苦しいことの先に幸せや楽しいことがある、というこの考え方は、普遍的な哲学では決してないのである。

映画の中で、
車は楽しみに行くために走ってたんじゃなくて、楽しみながら走ってたの。
というセリフが出てくる。
これは進歩史観に対するアンチテーゼだ。
上のセリフを人生に置き換えてみる。

人は楽しいことをするために生きているんじゃなくて、生きていることが楽しいんだ。
人は幸せを得るために生きているんじゃなくて、生きていることが幸せなんだ。

発想の転換を教えてくれる。

人は糧を得るために仕事をしているんじゃなくて、仕事をしていること自体が糧になっているんだ。

人間が増えすぎた現代社会。
人間の飽和状態だ。
努力しても報われない人がいることは当たり前なのだ。
報われないことを嘆いている人を見ていると、進歩史観が本当に我々にとって良い哲学であるかどうか?は甚だ疑問である。

たしかに進歩史観があったおかげで、人間はここまで技術発展できた。

しかし、進歩史観も万全ではない。
良いところもあれば、悪いところもある。

違う考え方もあるんだということをこの映画は教えてくれる。

あと、カーマニアにとっては、車ネタが沢山出てくるので楽しいはず。

t