「見る価値ありだが」新幹線大爆破 zubat山上さんの映画レビュー(感想・評価)
見る価値ありだが
本作を見るためにNetflixに加入した。
見て損なし。
1975年の『新幹線大爆破』の熱烈なファンでこの新しい『新幹線大爆破』を見た人と語り合いたい。
以下ネタバレ。
途中までは、これ前作とストーリー同じやがなと思って見ていた。
宇津井健の役が斉藤工。
千葉真一の役を、のんと草彅剛でシェア。
しかし、肝心の高倉健の役、つまり犯人役が出てこない。前作では、犯人側が視点人物になっていたが、本作では、犯人は誰だ?になっているのだ。
驚くべきは、「ひかり109号事件」が本作の中では歴史的事実であること。つまり、本作は前作の続編とも言えるのである。前作のフィルムの一部が挿入される。前作の登場人物の名前が出てくる。「古賀勝」山本圭が演じた役である。
で、途中で明らかになる犯人。これがまた実にリアリティーがない。どうやって爆弾を仕掛けたのか全くわからない。これは非常に不満な点である。
また、新幹線を途中で切り離し、多くの乗客を救うのだが、これは前作で久富惟晴が「素人考えですがね」と言って提案したアイデアである。これを実行したことにより、救う命の数がすごく減ってしまった。これによりサスペンスが失速した感がある。
爆発を止める方法が事実上ないというのも困った話だ。
最終的な解決策は、いまひとつスッキリしたものではなかったように思う。なるほど!その手があったか!という驚きや納得がないのだ。
それからね、キャストに不満。前作の丹波哲郎・鈴木瑞穂・志村喬・永井智雄・山内明など、良かったなあ。みんな死んじゃったから、これらの人は出せないけど。でも、今なら吉田鋼太郎・柄本明・佐藤浩市・笹野高史・藤竜也・加藤雅也・三浦友和・北大路欣也などを、警察・JR・政府の偉いさん役でちょこっと出してほしいのよねえ。大作感が欲しいのである。
作り手に前作へのリスペクトがあるのはよくわかる。特撮も工夫されている。
それなりに面白いし、ダレるところも少ない。
しかし、あえて言おう。
前作にははるかに及ばない。